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仰有
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おっしゃ
ふりがな文庫
“
仰有
(
おっしゃ
)” の例文
頼まれれば禁酒会会長でも憲兵少将でもイヤとは
仰有
(
おっしゃ
)
らずに、オデン屋の開店祝いの招待と同じように馳せ参じるにきまってるから
戦後文章論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ちょいと皆様に申上げまするが、ここでどうぞ貴方がたがあッと
仰有
(
おっしゃ
)
った時の、手附、
顔色
(
かおつき
)
に体の
工合
(
ぐあい
)
をお考えなすって下さいまし。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あなた! あなた! 早く何とか
仰有
(
おっしゃ
)
ったらいいでしょう! 早く何とかこの者共に仰有ったら! 言語道断な……言語道断な!」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
お書きになって、あたしに、速達にして出してくれと
仰有
(
おっしゃ
)
ったのでよく覚えていますわ。上書は、たしかにあなたの名前でしたもの
殺人迷路:06 (連作探偵小説第六回)
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
葉子
(
ようこ
)
は、学校から帰ると大急ぎで野原へ出て、いつぞや森先生が
仰有
(
おっしゃ
)
った、お好きな花を抱えきれないほどたくさんに摘みとった。
先生の顔
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
▼ もっと見る
紀介様のお顔はやはり平明な落着きを見せていられ、わたくしに言いたいことを
仰有
(
おっしゃ
)
ったあとの満足さでかがやいていられました。
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
が、また
飜
(
ひるがえ
)
って考えますと、これも御無理がないと思われるくらい、中御門の御姫様と
仰有
(
おっしゃ
)
る方は、御美しかったのでございます。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「わしが逃げるものか。お前はわしが金を取ったものと勘違いをして、しきりに山分けにしようと
仰有
(
おっしゃ
)
ったが、どう云うものじゃ」
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「たいして御心配も要らないと、先生が
仰有
(
おっしゃ
)
っていましたわ。でも暫く我慢して、安静にしていらっしゃるようにとのことですわ」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とお祖父さんは口癖のように
仰有
(
おっしゃ
)
る。家のものばかりでなく、碁の客
謡曲
(
うたい
)
の相手までが三度に一度は愛孫の
逸話
(
いつわ
)
を拝聴させられる。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「それはそうと、あなたはむす子さんのいいつけ通りの着物の色や柄を買って着ると
仰有
(
おっしゃ
)
ったね。その襟の赤と黒の色の取り合せも?」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
女々
(
めめ
)
しいからよ。
君前
(
くんぜん
)
であの
態
(
ざま
)
は何のことかい。なぜ泣いたか殿はお気付き遊ばしておられるぞ。あの時も意味ありげに
仰有
(
おっしゃ
)
った筈じゃ。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
本当
(
ほんと
)
に
嘸
(
さぞ
)
御不自由でございましょうねえ、
皆
(
みんな
)
気の附かない者ばかりの
寄合
(
よりあい
)
なんですから。どうぞ何なりと御遠慮なく
仰有
(
おっしゃ
)
って下さいまし。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「そんな大きな声で
仰有
(
おっしゃ
)
らないで下さい、当分この研究は秘密にして置きたいと思いますから、決して他言なさらないように」
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お母さんは、人間は恐ろしいものだって
仰有
(
おっしゃ
)
ったがちっとも恐ろしくないや。だって僕の手を見てもどうもしなかったもの」
手袋を買いに
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
将軍は私にそのように
仰有
(
おっしゃ
)
られました。特に私をその役にえらばれたのも、私が中尉殿のもとの部下であったということかららしいのです。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
ええ、無論その
撥
(
ばち
)
形の刃先に着いていた砂は、顕微鏡検査に依って、
貴方
(
あなた
)
の
仰有
(
おっしゃ
)
った通り、あちらの屍体の傷口の砂と完全に一致しました。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
それァもう
仰有
(
おっしゃ
)
るまでもなく承知いたしております。つまらない
饒舌
(
おしゃべり
)
をして
掛替
(
かけがえ
)
のない首でも取られた日にゃ
御溜小法師
(
おたまりこぼし
)
が御座いませんや。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
或いは、これがオツだと
仰有
(
おっしゃ
)
って、天ぷらを載っけたお茶漬、天茶という奴を食べる。そりゃあ、結構なもんに違いないさ。
下司味礼賛
(新字新仮名)
/
古川緑波
(著)
「ハイ、二郎様と
仰有
(
おっしゃ
)
いまして、矢張り手前共にお泊りで、只今お留守でございますが、母屋の方にお部屋がございます」
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
マルセーユの石山のノートルダム寺院の
尖塔
(
せんとう
)
の黄金像にもまして、自分は、日本女優花子の美は自分にとって尊いなどと、お世辞を
仰有
(
おっしゃ
)
るのです。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
「ハア……舶来の飛び切りのリネンのカーテンが掛かって、何十円もするチューリップの鉢が、幾つも並んでいるのが不思議と
仰有
(
おっしゃ
)
るのでしょう」
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「女中三人に下僕が二人、閑静な
生活
(
くらし
)
をしているよ、だから遊びに来るがよい。——などと
仰有
(
おっしゃ
)
ったお言葉も、あてにならないようでございますね」
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あなたがいなくなると
仰有
(
おっしゃ
)
るのは、あなたが危害を加えられた場合のことを仰有るのだろうと思いますが、あなたが危害を受けられて悪いときなら
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「お母さんの
仰有
(
おっしゃ
)
るのも
尤
(
もっと
)
もです。それなら都にいさえしなければ、こんないやな目にもあわずに済むんですもの」
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「※さんがそれを間違えて、『何だ、これは、
水瓜
(
すいか
)
なら食え』なんて
仰有
(
おっしゃ
)
って、船の中で
解
(
ほど
)
いて見ましたッけ……」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お婆様はやがてきっとなって私を前にすえてこう
仰有
(
おっしゃ
)
いました。
日頃
(
ひごろ
)
はやさしいお婆様でしたが、その時の言葉には私は身も心もすくんでしまいました。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「はい。北条新蔵と
仰有
(
おっしゃ
)
いまして、北条
安房守
(
あわのかみ
)
の御子息——兵学を御修行なさるために、小幡先生のお手許に、長年お仕えをしているお方でございます」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
冗談
(
じょうだん
)
じゃアない。あの方はA嬢と
仰有
(
おっしゃ
)
る私共の大切なお客様ですよ。お父様の病気見舞にいらしって、今日で
既
(
も
)
う一週間も御滞在になっているのですよ。」
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
もう追っつけ、お戻りになるだろうと
仰有
(
おっしゃ
)
る
故
(
ゆえ
)
、そのままにしましたが、何か途中で、変ったことでも——?
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「トマトのお料理のこと
仰有
(
おっしゃ
)
るんでしょう。とても酢っぱくて、貴方のお口に合いそうもありませんわ。」
罠を跳び越える女
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
爾々
(
そう/\
)
全く所天に随て行たのです余「では馬車に乗ても矢張其後に随て行く様に仕込で有ますか、何でも太郎殿はリセリウ
街
(
まち
)
から馬車に乗たと
仰有
(
おっしゃ
)
ッた様でしたが」
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
何事についても、滅多に間違ったことを
仰有
(
おっしゃ
)
らぬお兄様だったけれど、今度の正確さだけは恨みに思います。こんなにまで、言い中てて下さらなくともよかったのに。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
、と
仰有
(
おっしゃ
)
ったあなたのお言葉はこの手紙を書いている時でさえ弱いわたしの心に鳴り響いています。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
「……いま、なにか
仰有
(
おっしゃ
)
ったのはあなたでしたか。……あたしはいったい、どうしたのでしょう」
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「まあ、その、ちょっとね。へへへへ、夜目が利くと
仰有
(
おっしゃ
)
いましたので……どうも相済みません」
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「そう改まって
仰有
(
おっしゃ
)
るほどの金じゃアありませんが、街へ出た時にでもお役に立てて下さい」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
全く女史の
仰有
(
おっしゃ
)
る如く、問題の適不適を考えて持って行くべきでしょうが、此の問題ならあの人は熱をもって話すだろうと思っても、決して然うはゆかぬ場合もあるのですもの。
職業の苦痛
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
暁
(
あかつき
)
の夢のいまだ
覚
(
さ
)
めやらぬほどなりければ、何事ぞと半ばは
現
(
うつつ
)
の中に問い
反
(
かえ
)
せしに、女のお客さんがありますという。
何
(
なん
)
という方ぞと重ねて問えば富井さんと
仰有
(
おっしゃ
)
いますと答う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「まあ、我慢したまえ。地獄は永久につづくぞよ」と平気で
仰有
(
おっしゃ
)
っているようにみえる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
水熊のご馳走は一にお登世、二に料理と人様が
仰有
(
おっしゃ
)
るくらいだ。早く顔を出しといで。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「このお父さまは何を
仰有
(
おっしゃ
)
るんです。何も別にそれより外のことはないのですよ。」
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
何にも知らぬ女たちにとつてはその御親切は却つて迷惑なものではないでせうか? 公娼廃止と云ふ事は成程あなたの
仰有
(
おっしゃ
)
るやうな理由で出来るかもしれませんが売淫と云ふ侮辱から多くの婦人を
青山菊栄様へ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「奥さんは起きるのがお厭なんです。旦那、起きるのは厭だと
仰有
(
おっしゃ
)
るんです。どうぞ
堪忍
(
かんにん
)
してあげて下さい。奥さんは、嘘でもなんでもございません、それはそれはお可哀相なかたなんですから——」
狂女
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
そんな野暮は
仰有
(
おっしゃ
)
るまいと実は気にする者がないということだ。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
と
仰有
(
おっしゃ
)
って、少しだまっていらっしゃると思ったら泣出して
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
と、
仰有
(
おっしゃ
)
ったのでございました。
両面競牡丹
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
お父様……何にも
仰有
(
おっしゃ
)
らないで! と娘は
犇
(
ひし
)
と私の手に
縋
(
すが
)
り付きました。今は真夜中で侍女たちはみんな昼の疲れで眠っております。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
せっかく天皇様が日本国を下さると
仰有
(
おっしゃ
)
るのですから、と、道家は日本国をもらった、もらった、とウワゴトみたいに言っている。
織田信長
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
お呑みになりまして、『お
寝
(
やす
)
み』と
仰有
(
おっしゃ
)
いましたので、私はお部屋を出ました。それっきり今朝まで、私はお部屋に這入りませんでした
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
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仰有之候