つかまつり)” の例文
御不審可被為在あらせらるべく候へ共、方今之時勢彼之者共かのものども厳科に被行候おこなはれさふらたちまち人心離叛つかまつり、他の変を激生仕事つかまつること鏡に掛て見る如くと奉存候。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「しづ/\としつはらひつかまつり関東勢百万も候へ、男は一人もなく候よし雑言もうし、大阪へ引取申候」と『北川覚書』に出ている。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
されど全く身に覚えなき事なれば大いに仰天つかまつり、さま/″\に歎き悲しみけれども更にお聴入なく、今は所詮しよせん逃れぬところと覚悟を極め候が
先刻大津の銚子屋にて御面談の儀に付御書状の趣き逐一承知つかまつり候御申越の時刻無相違そういなく御出合申可おであいもうすべく貴殿にも御覚悟にて御出張可有之これあるべく此段及御答こたえにおよび候也
朶雲拝誦だうんはいしょう。老兄忽然こつぜんノ御出府、意外驚異つかまつり候。まず以テ御壮健ニ御座ナサレ賀シ奉候。折悪おりあシク昨年来房州ヘ遊歴留守中早速ニ拝眉はいびヲ得ズ、消魂ニ堪ヘズ候。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「近頃立身致し候。紙幣は障子を張る程有之これあり諸君も尊敬つかまつり候。研究も今一足故暫時ざんじ不便を御辛抱願候。」
革トランク (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
其の言には、政宗今日夕刻よりにわか虫気むしけまかり在り、何とも迷惑いたし居り候、明日の御働き相延ばされたく、御先鋒さきつかまつり候事成り難く候、とあるのであった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
冷光院殿れいこういんでん御尊讐ごそんしゅう吉良上野介殿きらこうづけのすけどの討取るべき志これあるさむらいども申合せそうろうところ、この節におよび大臆病者ども変心こころをかえ退散つかまつり候者えらみ捨て、ただ今申合せ必死相極め候面々めんめん
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
それ東京とうきやう出來できなかつたら、故郷こきやう住居すまひもとめるやうに、是非ぜひ恰好かつかうなのを心懸こゝろがける、と今朝けさ從※いとこふから、いや、つかまつりまして、とつい眞面目まじめつて叩頭おじぎをしたつけ。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「僕は、本月本日を以て目出たく死去つかまつり候」という死亡の自家広告を出したのは斎藤緑雨さいとうりょくうが一生のお別れの皮肉というよりも江戸ッ子作者の最後のシャレの吐きじまいをしたので
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
貴墨きぼく拝見つかまつり候、あらたに師を失いたる吾々が今日に処するの心得いかんとの御尋おたずね、御念入の御問同憾どうかんいたりに候、それにつき野生も深く考慮を費したる際なれば、腹臓なく愚存ぐぞんちんもうすべく候
師を失いたる吾々 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「御当地初御目見得はつおめみえ、長崎流曲独楽きょくごま廻し嵐粂吉あらしくめきち、近日、賑々にぎにぎしく小屋びらきつかまつりそうろう
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十日の御書状拝見つかまつり候。庭の模様がへ、北村のおくりし朝顔の事などうけたまわり候。おきみさんより同日の書状まゐり候。家事(しゅうとめに仕へ子を育つるなど)のため何事(文芸など)も出来ぬよしかこちきたり候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
是非々々御出京下されたく、幾重にも希望つかまつり候。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
一筆申上げそうろう、先日は遠路わざわざお越し下され候処田舎のこととて何の風情ふぜい無之これなくまことに失礼つかまつり何卒なにとぞこれにおりなく又この秋には皆様にて茸狩たけがりにおいで下されたくお待ち申上げ候
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかしその後は薗八節再興の御手筈おてはずだん/\と御運びの事と推察つかまつりをり候処実は今夕偶然銀座通にてお半様に出遇であひ彩牋堂より御暇おいとまになり候由承り、あまりといへば事の意外なるに驚愕仕きょうがくつかまつり候次第。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
此節少々快方候、しかし他出致しかね候まゝ御無礼つかまつり候。此えり麁物そぶつながら呈上(○蘭の絵ハ御苑ニアル分ヲ写させ申候)。御笑留ごしょうりゅう被下度、外粗大なる冬瓜とうがん一つ御目にかけ申候。まづ過日之御礼迄如此かくのごとく候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
一筆啓上つかまつりそうろういま御意ぎょい
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かるやきかつ私家名淡島焼などと広く御風聴被成下なしくだされ店繁昌つかまつりありがたき仕合しあわせ奉存ぞんじたてまつり製法入念差上来候間年増し御疱瘡流行の折ふし御軽々々御仕上被遊候御言葉祝ひのかるかるやき水の泡の如く御いものあとさへ取候御祝儀御進物にはけしくらゐほどのいもあとも残り不申候やうにぞんじけしを
思いがけなき所にて思いがけなき君の姿を見申そうろう。たとい装いを変え給うとも、三年このかた夢寐むびにも忘れぬ御面影おんおもかげを、いかで見逃し候べき。わらわは始めより頭巾の女の君なる事を承知つかまつり候。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)