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不肖
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ふしょう
ふりがな文庫
“
不肖
(
ふしょう
)” の例文
賢と
不肖
(
ふしょう
)
ともなる。正と邪ともなる。男と女ともなる。貧と富ともなる。老と若、長と幼ともなる。その他いろいろに区別ができる。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不肖
(
ふしょう
)
じゃございますが、この
近江屋平吉
(
おうみやへいきち
)
も、小間物屋こそいたしておりますが、
読本
(
よみほん
)
にかけちゃひとかど
通
(
つう
)
のつもりでございます。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
我身
(
わがみ
)
も
不肖
(
ふしょう
)
ながら家庭料理の改良を
本
(
もと
)
として大原ぬしの事業を助けばやと未来の想像は愉快に
充
(
みた
)
されて結びし夢も
温
(
あたたか
)
に楽しかりき。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「
不肖
(
ふしょう
)
羅門塔十郎、不才をもって、老公のお
眼鑑
(
めがね
)
を身にうけ、ここ数年来、寝食を忘れて苦心はしておりますなれど、何せよ……」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よって
不肖
(
ふしょう
)
わたくしが家老の職につき、御養育に専念いたしておりましたところ、この春ごろから
慮外
(
りょがい
)
な風説を耳にいたすようになりました
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
「
不肖
(
ふしょう
)
は河野久と申す者でございますが、これからお弟子になされてくださいませ、一体ここは何と云う処でございましょう」
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主人側は、かく朝野の名流の御来場を賜わりましたことは、
不肖
(
ふしょう
)
身にとって光栄とするところでございます、テナことを言うのであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
余が如きは
不肖
(
ふしょう
)
ながら、一旦外患の迫るにおいては、一死以て君に
酬
(
むく
)
い、武門の面目を
辱
(
はずかし
)
めざるべし。この心日光廟も、弓矢八幡も照覧あれ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「身
不肖
(
ふしょう
)
ながら狩野宗家、もったいなくも絵所預り、日本絵師の総巻軸、しかるにその作入れられずとあっては、家門の恥辱にござります!」
北斎と幽霊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
諸君!
不肖
(
ふしょう
)
久保井克巳
(
くぼいかつみ
)
が当校に奉職してよりここに六年、いまだ日浅きにかかわらず、前校長ののこされた美風と当地方の健全なる空気と
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あらゆる意味に於て
不肖
(
ふしょう
)
の子である私は、父の生前に思わしい孝行を尽し得なかった。これからは父の死後の父に、心の限り孝行をして行きたい。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その場へ呼んで遣るのだ。万一間に合わぬ事があったら、それはお前が女に生れた
不肖
(
ふしょう
)
だと、
諦
(
あきら
)
めてくれるより外ない
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それで
甚
(
はなは
)
だ迷惑であるからご免を
蒙
(
こうむ
)
りたいといって再三辞退を申したけれども、
是非
(
ぜひ
)
何か述べる様にというので
不肖
(
ふしょう
)
を
顧
(
かえり
)
みず一言述べようと思います。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
そしてそれがまた父をして私を、この上もない不真実な生意気な
傲慢
(
ごうまん
)
な「
不肖
(
ふしょう
)
の子」だと思わせたに相違なかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「
不肖
(
ふしょう
)
黒田勇は興国塾生一同を代表して、友愛塾の諸兄に初対面のごあいさつを申し述べる光栄を有します。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それが思わぬ
伽藍
(
がらん
)
の焼失を招いたのは、この身の
不肖
(
ふしょう
)
でござりましょう。昔のことを顧みますれば、かつては源平共に朝家のお守りとして活躍したものでした。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
不肖
(
ふしょう
)
栄三郎といえどもかかるそらごとは真に受けぬぞ! 小策を
弄
(
ろう
)
す奸物めッ! いずれそのうち参上してつるぎにかけて申し受くるからさよう心得ろ——はっはははは
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「大丈夫です。
不肖
(
ふしょう
)
ながら
大辻
(
おおつじ
)
がこの大きい眼をガッと開くと、富士山の腹の中まで見通してしまいます。帆村荘六の留守のうちは、この大辻に歯の立つ奴はまずないです」
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これ然しながら
不肖
(
ふしょう
)
私の語ではない、実にシカゴ畜産組合の肉食宣伝のパンフレット中に今朝拝見したものである。終に臨んで
勇敢
(
ゆうかん
)
なるマットン博士に
深甚
(
しんじん
)
なる敬意を寄せます。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
僕は大佐で、まだ司令官になる柄でない、しかし、今や命令によって、
不肖
(
ふしょう
)
ながら昭和遊撃隊の司令官になったんだ。まあ、どこまでやれるか、生命のあるかぎり、やって見よう。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
不肖
(
ふしょう
)
ながら学資を供せんとの意味を含みし
書翰
(
しょかん
)
にてありしかば、天にも昇る心地して
従弟
(
いとこ
)
にもこの喜びを分ち、かつは郷里の父母に遊学の許可を請わしめんとて急ぎその旨を申し送り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
勿体なくも平林殿の後役を
不肖
(
ふしょう
)
文治に
仰付
(
おおせつ
)
けられました、一同左様心得ませえ
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし日頃の
誼
(
よし
)
みを以て、御辺の首は某がつないで上げたのだと、重ねて申されましたので、兵部殿は顔色を変えられ、何と云われるぞ、
不肖
(
ふしょう
)
ながら某のことを御前に於いて
悪様
(
あしざま
)
に申すような者は
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
疑いもなく
不肖
(
ふしょう
)
この私を頭においてのことであります。
火夫
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
不肖
(
ふしょう
)
の眼では、あの男を敵方にまわしておいては、将来の大計にも不利と考えたので、礼を執って、今日の来訪を約しておいたのです。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、予が前で
神仏
(
しんぶつ
)
の名は申すまい。
不肖
(
ふしょう
)
ながら、予は天上皇帝の神勅を蒙って、わが日の本に
摩利
(
まり
)
の教を
布
(
し
)
こうと致す沙門の身じゃ。」
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
不肖
(
ふしょう
)
なりといえども軽少ながら鼻下に
髯
(
ひげ
)
を蓄えたる男子に女の自転車で
稽古
(
けいこ
)
をしろとは情ない、まあ落ちても善いから当り前の奴でやってみようと抗議を申し込む
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
老女の言葉の裏には、我々を三千石以下と見ているものらしい。
不肖
(
ふしょう
)
ながら我々、未来の
大望
(
たいもう
)
を抱いて国を去って奔走する目的は、三千や一万のところにあるのではない。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「一つ競作をやりましょうかな。これから尊家が一作、
不肖
(
ふしょう
)
が一作、ともに敵討の新作を書き下ろして、どっちが世に受けるか競作というのをやってみましょう。いかが。」
仇討たれ戯作
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
某
法名
(
ほうみょう
)
は
孤峰不白
(
こほうふはく
)
と自選いたし
候
(
そろ
)
。身
不肖
(
ふしょう
)
ながら見苦しき最期も致すまじく存じおり候。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私如き
不肖
(
ふしょう
)
の者には
推量
(
おしはか
)
ることさえ出来ぬほどの大計略をお胸の中に絶えず蔵されておいでの
筈
(
はず
)
ゆえ、その父上の
行
(
な
)
された所業の善悪是非の批評など、どうして私に出来ましょうや。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妾
不肖
(
ふしょう
)
なりといえどもわが子はわが手にて養育せん、誓って
一文
(
いちもん
)
たりとも彼が保護をば仰がじと
発心
(
ほっしん
)
し、その
旨
(
むね
)
言い送りてここに全く彼と絶ち、家計の保護をも謝して全く独立の歩調を
執
(
と
)
り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
旦那様
私
(
わたくし
)
は身
不肖
(
ふしょう
)
にして、
未
(
ま
)
だ
仇
(
あだ
)
たるお國源次郎に
𢌞
(
めぐ
)
り逢わず、未だ本懐は遂げませんが、丁度旦那様の一周忌の御年囘に当りまする事ゆえ、此の
度
(
たび
)
江戸表へ立帰り、御法事御供養をいたした上
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
空
(
むな
)
しく、その方どもが、蜂須賀村へ帰るのは、
一分
(
いちぶん
)
が立たぬというなら、
不肖
(
ふしょう
)
十兵衛の身を、
擒人
(
とりこ
)
として、連れて行くもよい。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
親父はただの人である。草葉の蔭で親父が見ていたら、定めて
不肖
(
ふしょう
)
の子と思うだろう。不肖の子は親父の事を思い出したくない。思い出せば気の毒になる。——どうもこの画はいかん。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悪いといへば兼吉つあんの顔色の悪さ、一通りの事ではなささうなり、今から帰るでもあるまじ、
不肖
(
ふしょう
)
して
己
(
おれ
)
に附き合ひ喫み直してはと遠慮なき
勧
(
すすめ
)
に、お
上
(
かみ
)
が指図して
案内
(
あない
)
さするは二階の六畳
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
従前どおりおれの手もとにおいたとて、貴様らに迷惑の相かかるようなことはいたさぬ。源十郎、
不肖
(
ふしょう
)
なりといえども、年長者の敬すべきは存じておる。いま貴様らに見せるものがあるから庭先へまわれッ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
身
(
み
)
不肖
(
ふしょう
)
にも小野寺家の
嫡孫
(
ちゃくそん
)
にて候、かようの時、うろつきては、家の
疵
(
きず
)
、一門のつらよごし、時至らば、心よく死ぬべしと、思い極め申し候。
日本名婦伝:小野寺十内の妻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴家の御子息にも、
不肖
(
ふしょう
)
のせがれにも、もっともっと真剣の境地を悟らしめなければ、ついには型にのみ陥ち入りましょう。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「では、何と仰っしゃいます……。
不肖
(
ふしょう
)
藤吉郎の言をおきき容れ下さいまして、お市の方さま、和子さま達のおん身を……」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「同慶のいたりです。ここに
不肖
(
ふしょう
)
賢俊を以て、すなわち、光厳上皇の御院宣を、足利家へお
降
(
くだ
)
しあらせられました。つつしんでお受け申されい」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
慈愛をかくして
峻烈
(
しゅんれつ
)
に
不肖
(
ふしょう
)
の子を叱りながらもどこやらに
惻々
(
そくそく
)
と悩んでいる厳父のこころが
傷
(
いた
)
ましい強さで、(かまいつけるな)といってある。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それをお誓いあるならば、
不肖
(
ふしょう
)
ですが、範宴は、一歳のあなたよりは、何歳かの長上ですからお導きいたしてもよいが」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この上は
不肖
(
ふしょう
)
ですが、武芸十八
般
(
ぱん
)
、知るかぎりの
技
(
わざ
)
は、ご子息にお授けいたそう。ご子息の名は、史進といわるるか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
不肖
(
ふしょう
)
、
奉行
(
ぶぎょう
)
の身をもって、
混乱
(
こんらん
)
のなかとはいえ、
過激
(
かげき
)
に
似
(
に
)
たことばを
発
(
はっ
)
したのは、
重々
(
じゅうじゅう
)
なあやまり、どうかお気持をとりなおしていただきたい」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「このうえは、天意に
訊
(
き
)
いてみようではないか。あくまで盧大員を主座に仰ぐべきか、
不肖
(
ふしょう
)
、どうしても私がよいのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
心し給え、
大衆
(
だいしゅ
)
。いずれか秋にあわで果つべきじゃ。ここに
不肖
(
ふしょう
)
文覚、いささか思いをいたし、かくは路傍に立って、われらの同血に告ぐるゆえん。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「また、わが君のおうえにも、かならず輝きの日がまいりましょう。いや、
不肖
(
ふしょう
)
民部の
身命
(
しんめい
)
を
賭
(
と
)
しましても、かならずそういたさねば相なりませぬ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上
(
かみ
)
、天理にさからい、
下
(
しも
)
、父のおしえを聞かずでは、生きているほど、親の
業苦
(
ごうく
)
を深くする
不肖
(
ふしょう
)
な者となりましょう。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何といっても、先の見えない暗愚な将でもあり、故義元にとっては、
不肖
(
ふしょう
)
な
世継
(
よつぎ
)
であったといわれても仕方がない。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“不肖”の意味
《名詞・形容動詞》
不肖(ふしょう)
(一般には謙遜の語として用いて)優れているとされる、父や師に似ずに、劣っていること。
(出典:Wiktionary)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
肖
常用漢字
中学
部首:⾁
7画
“不肖”で始まる語句
不肖児
不肖者
不肖針作