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不残
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のこらず
ふりがな文庫
“
不残
(
のこらず
)” の例文
旧字:
不殘
病院に
入切
(
はいりきり
)
で居ながら、いつの
何時
(
なんどき
)
には、姉さんが誰と話をしたッて事、
不残
(
のこらず
)
旦那様御存じなの、もう
思召
(
おぼしめし
)
ったらないんですからね。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若
(
もし
)
私にも御嫌疑被為在候へば、何等の弁解も不仕候間、
速
(
すみやか
)
に私
御召捕
(
おめしとり
)
に相成、私一人
誅戮
(
ちゆうりく
)
被為遊
(
あそばされ
)
、他之者は
不残
(
のこらず
)
御赦免之御処置
相願度
(
あひねがひたく
)
奉存候。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
実
(
じつ
)
は
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
との
談話
(
だんわ
)
において、この
上
(
うえ
)
も
無
(
な
)
い
満足
(
まんぞく
)
を
得
(
え
)
ましたのです。で、
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
のお
話
(
はなし
)
を
不残
(
のこらず
)
伺
(
うかが
)
いましたから、こんどはどうぞ
私
(
わたくし
)
の
話
(
はなし
)
をもお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さい。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一、帯刀ノ者
不残
(
のこらず
)
寺院ヘ立退恭順可罷在事
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
壁に五段ばかり棚を釣って、重ね、重ね、重ねてあるのは、
不残
(
のこらず
)
種類の違った植物の標本で、中には
壜
(
びん
)
に密閉してあるのも見える。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
前年その長屋の表町に道普請があって、向側へ砂利を
装上
(
もりあ
)
げたから、この町を通る腕車荷車は
不残
(
のこらず
)
路地口の際を
曳
(
ひ
)
いて通ることがあった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不残
(
のこらず
)
ずツと引込んで、座敷の
隅々
(
すみずみ
)
へ
片着
(
かたづ
)
いて、右も左も見通しに、
開放
(
あけはな
)
しの野原も急に広くなつたやうに思はれたと言ひます。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
(先晩の
麁忽
(
そこつ
)
は、
不残
(
のこらず
)
手前でございます。愛吉さんは宵から寝ていて何にも知りやしねえもんですから、申訳のために手前が
身体
(
からだ
)
を
退
(
ひ
)
きます。)
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
水底のその欠擂鉢、
塵芥
(
ちりあくた
)
、
襤褸切
(
ぼろぎれ
)
、釘の
折
(
おれ
)
などは
不残
(
のこらず
)
形を消して、
蒼
(
あお
)
い潮を
満々
(
まんまん
)
と
湛
(
たた
)
えた
溜池
(
ためいけ
)
の
小波
(
さざなみ
)
の上なる家は、掃除をするでもなしに美しい。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴様も覚えておいてちと慰みに
覗
(
のぞ
)
いて見い。犬川でぶらぶら散歩して歩いても何の興味もないで、
私
(
わし
)
があの印を付けておく内は
不残
(
のこらず
)
趣味があるわい。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
不残
(
のこらず
)
叩き売った道具のお
銭
(
あし
)
が、ずッしりあるんだ。お
前
(
め
)
さんが、蔦ちゃんに遣れって云うのを、まだ預っているんだから、遠慮はねえ、はははは、」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尾張
(
をはり
)
の
停車場
(
ステーシヨン
)
で
他
(
た
)
の
乗組員
(
のりくみゐん
)
は
言合
(
いひあ
)
はせたやうに、
不残
(
のこらず
)
下
(
お
)
りたので、
函
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
には
唯
(
たゞ
)
上人
(
しやうにん
)
と
私
(
わたし
)
と
二人
(
ふたり
)
になつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其処
(
そこ
)
でこの
虫
(
むし
)
の
望
(
のぞみ
)
が
叶
(
かな
)
ふ
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
はありつたけの
蛭
(
ひる
)
が
不残
(
のこらず
)
吸
(
す
)
つたゞけの
人間
(
にんげん
)
の
血
(
ち
)
を
吐出
(
はきだ
)
すと、
其
(
それ
)
がために
土
(
つち
)
がとけて
山
(
やま
)
一ツ一
面
(
めん
)
に
血
(
ち
)
と
泥
(
どろ
)
との
大沼
(
おほぬま
)
にかはるであらう
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
どなたも
箸
(
はし
)
一本持っちゃあいらっしゃらないんで、追々集った、番頭小僧、どれも
不残
(
のこらず
)
着のみ着のまま。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
橋がペンキ
塗
(
ぬり
)
になって、黒塀が
煉瓦
(
れんが
)
に
換
(
かわ
)
ると、
蛙
(
かわず
)
、船虫、そんなものは、
不残
(
のこらず
)
石灰
(
いしばい
)
で殺されよう。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尤
(
もツと
)
も
那
(
あ
)
のこれから
冬
(
ふゆ
)
になりまして
山
(
やま
)
が
宛然
(
まるで
)
氷
(
こほ
)
つて
了
(
しま
)
ひ、
川
(
かは
)
も
崖
(
がけ
)
も
不残
(
のこらず
)
雪
(
ゆき
)
になりましても、
貴僧
(
あなた
)
が
行水
(
ぎやうずゐ
)
を
遊
(
あそ
)
ばした
彼処
(
あすこ
)
ばかりは
水
(
みづ
)
が
隠
(
かく
)
れません、
然
(
さ
)
うしていきりが
立
(
た
)
ちます。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それだから
追分
(
おいわけ
)
が
何時
(
いつ
)
でもあわれに感じらるる。つまる
処
(
ところ
)
、
卑怯
(
ひきょう
)
な、臆病な老人が念仏を唱えるのと大差はないので、
語
(
ご
)
を換えて言えば、
不残
(
のこらず
)
、
節
(
ふし
)
をつけた不平の
独言
(
つぶやき
)
である。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
嘲笑
(
あざわら
)
って、車夫に
指揮
(
さしず
)
して、一軒店を開けさして、
少時
(
しばらく
)
休んで、支度が出来ると、帰りは船だから車は
不残
(
のこらず
)
帰す事にして、さて
大
(
おおい
)
なる花束の糸を解いて、縦に石段に投げかけた七人の裾袂
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
差当
(
さしあた
)
り、出家の物語について、何んの思慮もなく、批評も出来ず、感想も
陳
(
の
)
べられなかったので、言われた事、話されただけを、
不残
(
のこらず
)
鵜呑
(
うの
)
みにして、
天窓
(
あたま
)
から
詰込
(
つめこ
)
んで、胸が
膨
(
ふく
)
れるまでになったから
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
およそ何だ、
身体
(
からだ
)
中の精分が
不残
(
のこらず
)
集って熟したような鼻ッつきだ。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
来るだけは
不残
(
のこらず
)
来ました。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども
不残
(
のこらず
)
事実で。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
残
常用漢字
小4
部首:⽍
10画
“不残”で始まる語句
不残真紅