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一時
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いちどき
ふりがな文庫
“
一時
(
いちどき
)” の例文
一時
(
いちどき
)
に落ちかかって来た、巨大な花びらに似た女たちの下敷きになって、小柄な豆八老人は、悲鳴をあげた。すり抜けて、廊下に出た。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
だから人間は余計に
服
(
の
)
まなければ利くまいと思って、その赤玉ちうのを二つ買って来た。これを
一時
(
いちどき
)
に服んだら大抵利くだろう。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
一時
(
いちどき
)
にゃ一人ずつ、一時にゃ一人ずつ。」とリヴジー先生が笑った。「あなたは今のフリントのことを聞いたことがおありでしょうな?」
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
わたしの心の花々は、
一時
(
いちどき
)
に残らずもぎ取られて、わたしのまわりに散り敷いていた。——投げ散らされ、
踏
(
ふ
)
みにじられて。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
小児
(
こども
)
は
一時
(
いちどき
)
に
哄
(
どッ
)
と囃したが、滝太郎は俯向いたまま、突当ったようになって
立停
(
たちどま
)
ったばかり、形も崩さず自若としていた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
三人が
一時
(
いちどき
)
に乘りたいと云ふのだ、で、まづどうやら老僕ジョンの骨折で、皆が代る代る乘ること、そして第一番に上の兄さんが乘ることになつた。
駅伝馬車
(旧字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
こんな幸福が
一時
(
いちどき
)
にあたしを訪れて来るなんて!……あたし、何だかまるで、一生の幸福が一ぺんに来てしまったような気がするの。ねえ、文麻呂。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「浦瀬は日本人だ」ルパンは
傲然
(
ごうぜん
)
として云い放った。「俺は嘗つてモロッコ人を三人、
一時
(
いちどき
)
に射殺したことがある」
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
阿「ウーン紀伊國屋、まア
其処
(
そこ
)
へ置きな、遣らぬではない、遣るが残念だから
一時
(
いちどき
)
に思い切って五十両
賭
(
がけ
)
と
為
(
し
)
よう」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「なにしろ、お前、ああいう気性の母親さんだから、
一時
(
いちどき
)
に
下手
(
へた
)
なことは話せない」と正太も言った。「お前が側に附いていて追々と話して
進
(
あ
)
げるんだネ」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは——私はまた、乳母と見た
月蝕
(
げっしょく
)
の暗さを思い出してしまう。それはこの嬉しさの底に隠れている、さまざまの
物
(
もの
)
の
怪
(
け
)
を
一時
(
いちどき
)
に放ったようなものだった。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
傍に居た大勢の人々も驚いて皆
一時
(
いちどき
)
に娘の顔を見つめました。皆から顔を見られて、娘は恥かしそうに
口籠
(
くちご
)
もりましたが、とうとう思い切って
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
ソレ
行燈
(
あんどん
)
を
其方
(
そっち
)
へ遣っちまっちゃア見る事が出来やあしねえ、本当にこんな金目の物を
一時
(
いちどき
)
に取った程
楽
(
たのし
)
みな
事
(
こた
)
アねえぜ、コウ
余
(
あんま
)
り明る過ぎらア、行燈へ何か掛けねえ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると、毎年きまりのように風雨がやって来て、
一時
(
いちどき
)
にすべての花を
浚
(
さら
)
って行って
了
(
しま
)
う。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
……ト此の奇異なる珍客を迎ふるか、不可思議の
獲
(
え
)
ものに
競
(
きそ
)
ふか、
静
(
しずか
)
なる池の
面
(
も
)
に、眠れる
魚
(
うお
)
の如く
縦横
(
じゅうおう
)
に
横
(
よこた
)
はつた、樹の枝々の影は、
尾鰭
(
おひれ
)
を跳ねて、幾千ともなく、
一時
(
いちどき
)
に皆
揺動
(
ゆれうご
)
いた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「パッキンレイはよかった。」こう云って、皆
一時
(
いちどき
)
に、失笑した。
父
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「時機なぞはいつでも宜しい。とりあえず福岡鎮台をタタキ潰せば
良
(
え
)
えのでしょう。そうすれば藩内の不平士族が
一時
(
いちどき
)
に武器を
執
(
と
)
って集まって来ましょう」
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
もう紅梅が勤めて居りまして
皆
(
みんな
)
是々
(
これ/\
)
だと打明けて話しました、店の若い者や何かに
皆
(
みんな
)
頼んでありますから、網を張って待って居た処へ、あの侍が来たというので
一時
(
いちどき
)
に取押えましたから
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ついでにお
銚子
(
ちょうし
)
を。火がいいから
傍
(
そば
)
へ置くだけでも冷めはしない。……通いが遠くって気の毒だ。三本ばかり
一時
(
いちどき
)
に持っておいで。……どうだい。岩見重太郎が
註文
(
ちゅうもん
)
をするようだろう。」
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
却
(
かえ
)
って今の御身の上を夢ではないかと思っておいでになる事なぞが、
一時
(
いちどき
)
にすっかり解かったので御座います。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
何
(
ど
)
うもさう
一時
(
いちどき
)
に
纏
(
まと
)
めて
聴
(
き
)
かれると
解
(
わか
)
らぬね、
此
(
この
)
三
幅
(
ぷく
)
対
(
つゐ
)
の
軸
(
ぢく
)
は
己
(
おれ
)
の
祖父
(
そふ
)
が
拝領
(
はいりやう
)
をしたものぢやがね、
釜
(
かま
)
や
何
(
なに
)
かは
皆
(
みな
)
己
(
おれ
)
が買つたんだ、
併
(
しか
)
し
貴様
(
きさま
)
の
見込
(
みこみ
)
で
何
(
ど
)
の
位
(
くらゐ
)
の
価
(
もの
)
があるぢやらう、
此四品
(
このよしな
)
で。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……トこの奇異なる珍客を迎うるか、不可思議の
獲
(
え
)
ものに競うか、
静
(
しずか
)
なる池の
面
(
も
)
に、眠れる
魚
(
うお
)
のごとく縦横に
横
(
よこた
)
わった、樹の枝々の影は、
尾鰭
(
おひれ
)
を跳ねて、幾千ともなく、
一時
(
いちどき
)
に皆揺動いた。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云ううちに、妾をゆすぶっていた六ツの手が
一時
(
いちどき
)
に離れると、妾はフワリと宙に浮いたようになったの。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
實家
(
さと
)
の、
母親
(
はゝおや
)
、
※
(
あね
)
なんぞが、
交
(
かは
)
る/″\
附
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
てくれます
他
(
ほか
)
に、
其
(
そ
)
の
扉
(
ひらき
)
ばかり
瞻
(
みつ
)
めましたのは、
人懷
(
ひとなつ
)
かしいばかりではないのです……
續
(
つゞ
)
いて
二人
(
ふたり
)
、
三人
(
さんにん
)
まで
一時
(
いちどき
)
に
入
(
はひ
)
つて
來
(
く
)
れば、
屹
(
きつ
)
と
其
(
それ
)
が
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
川幅は広いけれども鴻の渡るを見て北條の軍勢が浅瀬を渡って、桜ヶ陣より
一時
(
いちどき
)
に取詰めた処から、かゝる名城も
忽
(
たちま
)
ちにして落城したというが、
時節
(
とき
)
だのう、其の日は
恰
(
ちょう
)
ど
今日
(
こんにち
)
の如く夕暮で
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
最前からオブラーコで飲んだお酒の酔いと、今まで苦しいのを我慢していた
疲労
(
つかれ
)
が
一時
(
いちどき
)
に出ちゃって、いつ軍艦が出帆の笛を吹いたか知らないまんまに睡っていたわ。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
梅「あゝ、だからさ、もう
沢山
(
たんと
)
お仕事もないから私は
一寸
(
ちょっと
)
帰ろうと思ったが、けれどもねえ、綿入物もして置こうと思って、二三日に仕舞になると思って、
一時
(
いちどき
)
に慾張って縫って居るのさ、さぞ不自由だろうね」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
支那人が妙なかけ声をすると
一時
(
いちどき
)
に羽子板の音が聞こえなくなりましたので、変に思って障子を開けて見ますとコハ
如何
(
いか
)
に、たった今までいた美代子さんが影も形も見えません。
クチマネ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
まるで
春秋
(
はるあき
)
の花が
一時
(
いちどき
)
に河を流れて行くようである。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“一時”で始まる語句
一時間
一時颪
一時凌
一時雨
一時餘
一時代
一時余
一時頃
一時性
一時脱