トップ
>
鵜呑
>
うの
ふりがな文庫
“
鵜呑
(
うの
)” の例文
そんなマジナイみたいな文句を
鵜呑
(
うの
)
みにし真にうけているだけで、実生活では全然それを信じていないのが人の心というものである。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ましてそれを、(そうであろう)を(そうであった)にして、
鵜呑
(
うの
)
みにしてしまって、
冷罵
(
れいば
)
するのはあまりの
呵責
(
かしゃく
)
ではあるまいか。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
器械的に
利休
(
りきゅう
)
以後の規則を
鵜呑
(
うの
)
みにして、これでおおかた風流なんだろう、とかえって真の風流人を馬鹿にするための芸である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幼児ほど
形
(
かたち
)
の上から物を
鵜呑
(
うの
)
みにするものはない。そうしてその鵜呑みにしたことを、よいこととして守ってゆくものはない。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
そうかと思うと一方で立体派や未来派のような舶来の不合理をそのままに
鵜呑
(
うの
)
みにして有難がって模倣しているような不見識な人の多い中に
津田青楓君の画と南画の芸術的価値
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
彼らの評論を読み、彼らが好んで宣言するものを
鵜呑
(
うの
)
みにする、多くの愚人らにたいして、また自分自身にたいして、彼らは法則をたれていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
言葉そのままを
鵜呑
(
うの
)
みにするわけではないが、こうまで強く言い張られると、しばらくその言を信じておくほかはない。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「自分のほうがはるかに人間は上である」と、充分自信はもっているが、単にそれだけを強味として相手を
鵜呑
(
うの
)
みにしてしまうわけにもゆかなかった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と云うのは、これがはたして法水の神技であるにしても、とうていそのままを
鵜呑
(
うの
)
みに出来なかったほど——むしろ狂気に近い仮説だったからである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「父上は誰よりもおまえがお好きだし、おまえの云うことは
鵜呑
(
うの
)
みにお信じなさる、だからこんどは気をつけて、つまらぬことは云わぬようにしてくれ」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鵜呑
(
うの
)
みにして埋めて来た
哀
(
かな
)
しみが
抉
(
えぐ
)
りだされるのだ、「蝦夷のうぐいすめは季節の去就にまよっておるのじゃ、たわけもの
奴
(
め
)
が、
碌
(
ろく
)
なことはあるまいさ」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
お勢と顔を見合わせると文三は不思議にもガラリ気が変ッて、
咽元
(
のどもと
)
まで込み上げた免職の二字を
鵜呑
(
うの
)
みにして何
喰
(
く
)
わぬ
顔色
(
がんしょく
)
、肚の
裏
(
うち
)
で「もうすこし
経
(
た
)
ッてから」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
近頃学術的な研究も盛んになったが、初めから
鵜呑
(
うの
)
みに無批判的に有難がっている人々が多い。茶人はさておき、学者にさえ未だにそういう人が多いのは誠にこまる。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
が、すでに数年密偵部にいるのだから、
下手
(
へた
)
に反問することの危険を熟知している。すべて命令は
鵜呑
(
うの
)
みにすべきで、勝手に
咀嚼
(
そしゃく
)
したり吐き出したりすべきものではない。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
われらがいかなる書物をも
鵜呑
(
うの
)
みにすることができず、いかなる学者をも崇拝するにいたらなかったのは全く自分の哲学を尺度として、他人の説の寸法を測ったからである。
我らの哲学
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
恐らく父と心を一つにした時代、父の心を
鵜呑
(
うの
)
みにしていた頃の言で、後年の二十代三十代の定家を思い比べると、この言には父の影響によるところがよほどあるように思う。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
もっとも陰口
中傷
(
あてこすり
)
は概して解かれぬままに
鵜呑
(
うの
)
みとなれど、
連
(
つる
)
べ放つ攻城砲のみはいかに超然たるお豊も当たりかねて、恋しき人の
家
(
うち
)
ならずばとくにも逃げ
出
(
いだ
)
しつべく思えるなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そうして王政維新後、滔々たる西洋崇拝熱と共に
鵜呑
(
うの
)
みにされて来た、こうした舶来の思想に侵犯され、毒化されて行きつつ在る日本の前途を見て、
逸早
(
いちはや
)
く寒毛樹立したに違いない。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「うん……」私は自分にどうしてそんな父とは異った苗字がついているのか
訊
(
き
)
こうともせずに、まるで自分の運命そのもののように、それをそのまま
鵜呑
(
うの
)
みにしようと努力していた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一体、新聞紙は、犯人らしき者が捕えられると、直ちに、さながらそれが真犯人であるかのように伝えるもので、又世人もすぐにそれをそのまま
鵜呑
(
うの
)
みにして信じてしまう癖があるようです。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
差当
(
さしあた
)
り、出家の物語について、何んの思慮もなく、批評も出来ず、感想も
陳
(
の
)
べられなかったので、言われた事、話されただけを、
不残
(
のこらず
)
鵜呑
(
うの
)
みにして、
天窓
(
あたま
)
から
詰込
(
つめこ
)
んで、胸が
膨
(
ふく
)
れるまでになったから
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこのロッジ寄りに席を取って、サッパーにしては重苦しい、
豪華
(
ごうか
)
な肉食をこの娘はうんうん
摂
(
と
)
る。貝原は不思議がりもせず、小初をこういう性質もある娘だと
鵜呑
(
うの
)
みにして、どっちにも連れて行く。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
幸い
午近
(
ひるぢか
)
くのことで見渡す川岸に人の往来は
杜絶
(
とだ
)
えている。長吉は出来るだけ早く
飯
(
めし
)
でも
菜
(
さい
)
でも
皆
(
みん
)
な
鵜呑
(
うの
)
みにしてしまった。釣師はいずれも木像のように黙っているし、甘酒屋の爺は居眠りしている。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし、こんな
生煮
(
なまに
)
えの言葉をそのまま
鵜呑
(
うの
)
みにされても困る。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
その言葉をそのまま
鵜呑
(
うの
)
みにしたわけじゃないが、それも俺に
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
幼児は
外形
(
かたち
)
を見、その外形を
鵜呑
(
うの
)
みにするものだから、
裏店
(
うらだな
)
に育っている子供と、生活様式の十分にととのっている家の子供とは、言葉でも動作でも
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
その
滑稽
(
こっけい
)
な演奏者らであり、その
鵜呑
(
うの
)
みにしたがってる聴衆であって、彼らの濃厚な
馬鹿
(
ばか
)
さ加減は、重々しい雲のように作品のまわりに立ちこめていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし、やがてそれを受取った日、さすがに曹操は、
鵜呑
(
うの
)
みにそれを信じなかった。むしろ疑惑の眼をもって、一字一句をくり返しくり返しながめていた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と云うのは、これがはたして法水の神技であるにしても、とうていそのままを真実として
鵜呑
(
うの
)
みに出来なかったほど、むしろ怖れに近い仮説だったからである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
これをそっくり
鵜呑
(
うの
)
みにするには
奇蹟
(
きせき
)
を信じる精神がいる。小学校の六年生と思いこんでいたのである。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
何でも
鵜呑
(
うの
)
みにしては消化されない、歯の
咀嚼
(
そしゃく
)
能力は退化し、食ったものは栄養にならない。しかるに如何なる案内者といえども絶対的に誤謬のないという事は保証し難い。
科学上における権威の価値と弊害
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
少年時代に
鵜呑
(
うの
)
みに覚えたのだが、いま口にしてみると、深い慰さめを感じることができた。
つばくろ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼女は二つのおなじ英語の書籍を持って、一つにはすっかりと一字一字仮名をつけ、返り点をうち、
鵜呑
(
うの
)
みの勉強をはじめた。教える方が面倒なために持てあますほどであった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
大きい
鮟鱇
(
あんこう
)
が、腹の中へ、
白張提灯
(
しらはりぢょうちん
)
鵜呑
(
うの
)
みにしたようにもあった。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幸ひ
午近
(
ひるぢか
)
くのことで
見渡
(
みわた
)
す川岸に人の
往来
(
わうらい
)
は
杜絶
(
とだ
)
えてゐる。
長吉
(
ちやうきち
)
は
出来
(
でき
)
るだけ早く
飯
(
めし
)
でも
菜
(
さい
)
でも
皆
(
みん
)
な
鵜呑
(
うの
)
みにしてしまつた。
釣師
(
つりし
)
はいづれも木像のやうに黙つてゐるし、
甘酒屋
(
あまざけや
)
の
爺
(
ぢゝ
)
は
居眠
(
ゐねむ
)
りしてゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
外形を
鵜呑
(
うの
)
みにして信ずる幼児、それにお行儀をおしえ、道徳をおしえ、あるいは親のさまざまの好みや主観を直通させること、それは頭の悪い軽薄な人間を
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
この前の拙稿でも露骨にいった通り、史書そのものからして実に玉石同盆という厄介なもので、滅多に
鵜呑
(
うの
)
みにすると、
苺
(
いちご
)
と思って石を噛むことが少なくない。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
クリストフはすべてを
鵜呑
(
うの
)
みにした。彼はコリーヌとあの若い婦人との国を非常に愛したがっており、使いはたすべき多くの感激をもっていて、それを利用した。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
特攻隊は女房があっては出来ないね、などとフザけたことを
鵜呑
(
うの
)
みにして疑ることすらないのである。
デカダン文学論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
大きすぎる打撃を独りでじっと
耐
(
こら
)
えてきたのに、あの人はいわば、知らぬ他人の二人になにもかも話した、中傷をそのまま
鵜呑
(
うの
)
みにし、無いことを有ったことのように信じて
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
世間並のことならなんでも
鵜呑
(
うの
)
みに気にかけないタチだから、妹一家が疎開する、よかろう、面倒みてやれ、病気になった、よかろう、手当をしてやれ、それだけのことで
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
コカールの演説を一つも聞きもらしたことがなく、その言葉を
鵜呑
(
うの
)
みにし、その
諧謔
(
かいぎゃく
)
に
頤
(
あご
)
を打ち開いて打ち笑い、その
罵
(
ののし
)
りに湯気をたてて憤り、戦闘と約束された天国とに夢中になっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「あの処罰は吟味が充分でなかった、小野の館の家老、奥山出雲と
鷺坂靱負
(
さぎさかゆきえ
)
の告訴を
鵜呑
(
うの
)
みにし、かれらの叛意がいかなる
仔細
(
しさい
)
によるものか、という事情は不問のまま処罰がおこなわれたのだ」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けれど、彼には見境いのない
鵜呑
(
うの
)
みは出来なかった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
探偵小説のトリックはそういうものだと
鵜呑
(
うの
)
みにして疑っていないのだ。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
鵜呑
(
うの
)
みにしてしまう、私が人足部屋へ近よれなくなったのもそのためだ
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鵜
漢検準1級
部首:⿃
18画
呑
漢検準1級
部首:⼝
7画
“鵜”で始まる語句
鵜
鵜飼
鵜沼
鵜匠
鵜殿
鵜住居
鵜戸
鵜烏
鵜鶘
鵜殿長照