“午近”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひるちか50.0%
ひるぢか50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
人目ひとめけるために、わざと蓙巻ござまきふかれた医者駕籠いしゃかごせて、男衆おとこしゅう弟子でし二人ふたりだけが付添つきそったまま、菊之丞きくのじょう不随ふずいからだは、その午近ひるちかくに、石町こくちょう住居すまいはこばれてった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その誠が通ったか、あくる朝、江田善兵衛や村井河内守などが遊びに来て、何かと、忌憚きたんのない話をして帰ったが、午近ひるちかい頃、あらためて、政職の使いとして、益田孫右衛門が彼を迎えに来た。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸い午近ひるぢかくのことで見渡す川岸に人の往来は杜絶とだえている。長吉は出来るだけ早くめしでもさいでもみん鵜呑うのみにしてしまった。釣師はいずれも木像のように黙っているし、甘酒屋の爺は居眠りしている。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
幸ひ午近ひるぢかくのことで見渡みわたす川岸に人の往来わうらい杜絶とだえてゐる。長吉ちやうきち出来できるだけ早くめしでもさいでもみん鵜呑うのみにしてしまつた。釣師つりしはいづれも木像のやうに黙つてゐるし、甘酒屋あまざけやぢゝ居眠ゐねむりしてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)