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馳駆
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ちく
ふりがな文庫
“
馳駆
(
ちく
)” の例文
これ勝伯が一
身
(
しん
)
を以て
万死
(
ばんし
)
の途に
馳駆
(
ちく
)
し、その
危局
(
ききょく
)
を
拾収
(
しゅうしゅう
)
し、維新の大業を
完成
(
かんせい
)
せしむるに余力を
剰
(
あま
)
さざりし
所以
(
ゆえん
)
にあらずや
云々
(
うんぬん
)
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
ぜひなく陣頭に立つときでも、不利と見れば見得なく逃げるし、すすんで乱軍の中を
馳駆
(
ちく
)
するような猛将ぶりは彼にはなかったことである。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ我が思ふままに
馳駆
(
ちく
)
して可なり。試みに芭蕉一派の連句を
披
(
ひら
)
き見よ。その古格を破りて縦横に思想を吐き散らせし処常にその妙を
見
(
あら
)
はすを。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
馳駆
(
ちく
)
する騎馬、討合う軍兵、敵も味方も入乱れて、
雄叫
(
おたけ
)
びと
鬨
(
とき
)
の声と、さながら荒れ狂う
怒濤
(
どとう
)
のような白兵戦になった。
蒲生鶴千代
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
マダ自分へ課せられた使命ははたされていないから、これから足腰の達者な間はこの
闊
(
ひろ
)
い天然の研究場で
馳駆
(
ちく
)
し、出来るだけ学問へ貢献するのダ。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
▼ もっと見る
世代の荒浪と
擾乱
(
じょうらん
)
の
馳駆
(
ちく
)
に揉まれて、十世のあいだ安泰につづいていたこの目立たない小藩主の血には、無視されたと知るたびに重く
沈澱
(
ちんでん
)
する意志があった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「山東洋、ヨク三承気ヲ運用ス。
之
(
これ
)
ヲ傷寒論ニ対検スルニ、
馳駆
(
ちく
)
範ニ
差
(
たが
)
ハズ。真ニ二千年来ノ一人——」
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お高は、蒼い空気の中で、土を蹴って
馳駆
(
ちく
)
し狂闘している人々を、なさけない眼で見はじめた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
吉川君はその令嬢の見合写真を万一の場合のお守りにして、求婚戦場を
馳駆
(
ちく
)
しているのだった。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
弥生
(
やよひ
)
ヶ岡の一週、
駿河台
(
するがだい
)
の三週、牛門の六閲月、我が一身の
怱忙
(
そうばう
)
を極めたる如く、この古帽も
亦
(
また
)
旦暮
(
たんぼ
)
街塵に
馳駆
(
ちく
)
して、我病める日の外には殆んど一日も休らふ事
能
(
あた
)
はざりき。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
余おもえらく、わが
邦
(
くに
)
の人、学術・品行ともに
西人
(
せいじん
)
に
後
(
おく
)
るる、あにただ数里の外のみならんや。いま人をして日夜
馳駆
(
ちく
)
せしむるも、なお数十年の後にあらずんば、その地位に達せず。
日曜日之説
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
山野を
馳駆
(
ちく
)
して快い汗をかくか、天潤いて雨静かな日は明窓
浄几
(
じょうき
)
香炉詩巻、
吟詠
(
ぎんえい
)
翰墨
(
かんぼく
)
の遊びをして性情を
頤養
(
いよう
)
するとかいう風に、心ゆくばかり自由安適な生活を楽んでいたことだったろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
創造的勢力と馬を
駢
(
なら
)
べて、相
馳駆
(
ちく
)
するものあり、之を交通の勢力とす。
国民と思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
勿論美しい高原に悠々と牛馬の
起臥
(
きが
)
しているさまや、自由に
馳駆
(
ちく
)
している奔放なさまは、高原の景趣を一層平和に一層雄大ならしめ、いやが上にも感興を高めることのあるのは疑う可くもないが
高原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
現代俳壇の乱闘場裏に
馳駆
(
ちく
)
していられるように見える闘士のかたがたが俳句の精神をいかなるものと考えていられるかは自分の知らんと欲していまだよく知りつくすことのできないところである。
俳句の精神
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その間
僅
(
わず
)
かに三十年、
而
(
しこう
)
して彼が社会に
馳駆
(
ちく
)
したるは嘉永四年
侯駕
(
こうが
)
に
扈
(
こ
)
して江戸に
赴
(
おもむ
)
きたるより以来、最後の七、八年に過ぎず。彼の社会的生涯かくの如く短命なり。彼果して伝うべきものあるか。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「
鞍馬
(
あんば
)
長途の
馳駆
(
ちく
)
、なんで服装を問おう。今日、
朕
(
ちん
)
が危急に馳せ参った労と忠節に対しては、他日、必ず重き恩賞をもって酬ゆるであろうぞ」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さりながら愚考はいたく異なり、和歌の精神こそ衰えたれ
形骸
(
けいがい
)
はなお保つべし、今にして精神を入れ替えなば再び健全なる和歌となりて文壇に
馳駆
(
ちく
)
するを
得
(
う
)
べきことを保証致候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
来たなッ! と見るや、膝をついて隻手の左剣、逆に、左から右へといくつかの
脛
(
すね
)
をかっ裂いて、倒れるところを蹴散らし、踏み越え、左膳の乾雲丸、一気に鉄斎を望んで
馳駆
(
ちく
)
してくる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
浴びて
馳駆
(
ちく
)
した人間かと疑われるほど、のどかな、むしろ
縹渺
(
ひょうびょう
)
たる感じでした
石ころ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
此
(
この
)
勢
(
いきおい
)
に乗ぜよやと、張玉、朱能等、いずれも
塞北
(
さいほく
)
に転戦して
元兵
(
げんぺい
)
と
相
(
あい
)
馳駆
(
ちく
)
し、千軍万馬の間に老い
来
(
きた
)
れる者なれば、兵を率いて夜に乗じて突いて出で、
黎明
(
れいめい
)
に至るまでに九つの門の其八を奪い
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
孫策の馬は、稀世の名馬で「五
花馬
(
かば
)
」という名があった。多くの家臣をすてて、彼方此方、平地を飛ぶように
馳駆
(
ちく
)
していた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さりながら愚考はいたく異なり、和歌の精神こそ衰へたれ、
形骸
(
けいがい
)
はなほ保つべし、今にして精神を入れ替へなば、再び健全なる和歌となりて文壇に
馳駆
(
ちく
)
するを得べき事を保証致候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
いよいよ、彼の
馳駆
(
ちく
)
をゆるす戦線も圧縮されてきた。——宋江はたのしんでいた。「今日こそは、張清の
阿修羅
(
あしゅら
)
な姿を、近々、この目で見られようか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その歌、『古今』『新古今』の
陳套
(
ちんとう
)
に
堕
(
お
)
ちず
真淵
(
まぶち
)
、
景樹
(
かげき
)
の
窠臼
(
かきゅう
)
に陥らず、『万葉』を学んで『万葉』を脱し、
鎖事
(
さじ
)
俗事を捕え
来
(
きた
)
りて縦横に
馳駆
(
ちく
)
するところ、かえって高雅
蒼老
(
そうろう
)
些
(
さ
)
の俗気を帯びず。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
およそ明智軍として、今日まで
馳駆
(
ちく
)
した大小二十六、七度の戦場のいずこへ臨んだときよりも、この日の勢揃いには、すでに毛穴のそそけ立つような緊張があった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、戦場の
馳駆
(
ちく
)
を、また、武功帳の
筆頭
(
ふでがしら
)
にもなろうことを、決してあきらめてはいないのであった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大人
(
おとな
)
げない飾り物だ——と日頃からいっていて、戦場に出ると、つねに、路傍の笹の枝を切って、無造作に、よろいの背に差し、
悍馬
(
かんば
)
を
馳駆
(
ちく
)
して働きまわるところから
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
侍臣が止めるつもりでかれの
轡
(
くつわ
)
を
阻
(
はば
)
めたが、ふり飛ばされて、あッと、起きあがってみた時は、もう主君のすがたは、白と黒の
卍
(
まんじ
)
のなかに、魔人のような
馳駆
(
ちく
)
を見せていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これを、
力技
(
ちからわざ
)
と御覧あるは、お考えちがいでござる。力を入れたら、槍の
柄
(
え
)
が折れる。また、すぐ腕が疲れてしまう。——それでは、戦場を
馳駆
(
ちく
)
して、何ほどの働きがなりましょうや」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、ばかり和田山を中心に
馳駆
(
ちく
)
しているのは、ほとんど、信長の兵のみだった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
賤
(
しず
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
七本槍のひとりにも名が見えるし、晩年には
出雲
(
いずも
)
、
隠岐
(
おき
)
の二ヵ国二十四万石を領し、六十九歳で世を終るまでの四十余年間というものは、戦場を
馳駆
(
ちく
)
して武名の聞えを取った人だが
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とにかく、
若君
(
わかぎみ
)
は、はじめておおらかな
正義
(
せいぎ
)
の天地を自由に
馳駆
(
ちく
)
する
秋
(
とき
)
がきたと、
非常
(
ひじょう
)
なおよろこびで、
以後
(
いご
)
は
武田残党
(
たけだざんとう
)
の名をすてて、われわれ一
味
(
み
)
の
党名
(
とうめい
)
も、
天馬侠党
(
てんまきょうとう
)
とよぶことにきまったのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“馳駆”の意味
《名詞》
馬を走らせること。
奔走すること。
競争すること。
(出典:Wiktionary)
馳
漢検準1級
部首:⾺
13画
駆
常用漢字
中学
部首:⾺
14画
“馳駆”で始まる語句
馳駆奔突