頑是ぐわんぜ)” の例文
わたくし負傷けがいたしますとおとつさんいたうないかとつていたはつてれます、わたくし心得違こゝろえちがひから斯様かやう零落れいらくいたし、までつぶれまして、ソノんにも知らぬ頑是ぐわんぜのないせがれ
あの頑是ぐわんぜない太郎たらう寢顏ねがほながめながらいてるほどのこゝろになりましたからは、うでもいさむそばこと出來できませぬ、おやはなくともそだつとひまするし
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日出雄少年ひでをせうねん頑是ぐわんぜなき少年せうねんつねとてかゝる境遇きやうぐうちても、昨夜さくや以來いらい疲勞つかれには堪兼たへかねて、わたくしひざもたれたまゝ、スヤ/\とねむりかけたが、たちま可憐かれんくちびるれてゆめこゑ
姉と一緒に居た間、私は殆んど忿怒いかりといふものも知らなかつたほど自分の少年らしい性質が延びて行つたことを感じます。甥の下にはまだ頑是ぐわんぜない年頃の姪が一人ありました。
に人生の悲しみは頑是ぐわんぜなき愛児を手離すより悲しきはなきものを、それをすらひて堪へねばならぬとは、是れもひとへに秘密をちぎりし罪悪の罰ならんと、吾れと心を取りなほして
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
ぢいひいあたつてたんだ、さうしたらくつゝかつたんだ」さういつて與吉よきちにはかこゑはなつていた。かれなんためにさうかなしくなつたのかむし頑是ぐわんぜない彼自身かれじしんにはわからなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
理由は、女だと母の愛情を以てそれらの頑是ぐわんぜない子供を取扱ふ事が出来るといふのである。ところが、福富の教壇に立つてゐる所を見ると、母として立つてるのとはうしても見えない。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
奥様は世に嬉しげに莞爾にこり御笑ひ遊ばしてネ、先生、私は今もの時の御顔が目にアリ/\と見えるのです、其れから今度は梅子をと仰つしやいますからネ、頑是ぐわんぜない三歳みつの春の御嬢様を
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
オランダの女皇ぢよわうウヰルヘルミナが、まだ頑是ぐわんぜない子供の頃でした。
叔父さんのそばへは文ちやんが来て立つた。叔父さんはその頑是ぐわんぜない容子ようすを見て
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
理由は、女だと母の愛情を以てそれらの頑是ぐわんぜない子供を取扱ふ事が出來るといふのである。ところが、福富の教壇に立つてゐる所を見ると、母として立つてゐるのとはうしても見えない。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かれには寸毫すこし父兄ふけいちからかうぶつてない。頑是ぐわんぜない子供こどもあひだにも家族かぞくちから非常ひじやういきほひをしめしてる。その家族かぞくが一ぱんから輕侮けいぶもつられてるやうに、子供こどもあひだにもまたちひさい與吉よきちあなどられてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
御得意と見えて、声を揚げて飛んで来る男女をとこをんなの少年もあつた——彼処あすこからも、是処こゝからも。あゝ、少年の空想を誘ふやうな飴屋の笛の調子は、どんなに頑是ぐわんぜないものゝ耳を楽ませるであらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)