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雜談
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ざつだん
雜談の間に周三は、何かひツかゝりを作へては、お房の
素性と
經歴とを探つた。そして
約想像して見ることが出來るまでに
手ぐり出した。
昨夜も、
一昨夜も、
夕食果てゝ
後は
部室の
窓を
開放して、
海から
送る
凉しき
風に
吹かれながら、さま/″\の
雜談に
耽るのが
例であつた。
や、
大失敗と、がツかりして、
先づ
本堂の
椽側へ
腰を
掛ける。いつしかそれが
誰先きとなく
草鞋を
脱ぐ。
到頭四
人本堂へ
上り
込んで、
雜談をする。
寐轉ぶ。
先刻宗助の
樣子を、
氣の
毒に
觀察した
同僚は、
彼の
質問の
奧に
雜談以上のある
意味を
認めたものと
見えて、
前よりはもつと
親切に
其方面の
話をして
聞かした。
柩を
送つた
人々が離れ/″\に
歸つて
來るまでは
雜談がそれからそれと
止まなかつた。
其晩彼は
宗助と一
時間餘りも
雜談に
耽つた。
彼の
重々しい
口の
利き
方、
自分を
憚かつて、
思ひ
切れない
樣な
話の
調子、「
然るに」と
云ふ
口癖、
凡て
平生の
彼と
異なる
點はなかつた。
饂飩が
竭きて
茶碗が
亂雜に
投げ
出された
時夜の
遲いことに
無頓着な
彼等はそれから
暫く
止めどもなく
雜談に
耽つた。
彼等は
遂に
自分の
村落に
野合の
夫婦が
幾組あるかといふことをさへ
數へ
出した。
彼等は
裏戸の
陰に
聚まつて
雜談に
耽つた。