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しょうよう
ふりがな文庫
“
逍遙
(
しょうよう
)” の例文
しかし私は途中でこのあてなしの
逍遙
(
しょうよう
)
を切り上げもう一ぺん元の所へ立ち帰り「前句」の場面に立ちもどってしかとこれを見直してみる。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし、いつもの
逍遙
(
しょうよう
)
の癖から二度目にベンチに近寄った時、注意深く彼女をながめた時、彼はそれがやはり同じ人であることを認めた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
八月十六日以来、謙信は只々山上を
逍遙
(
しょうよう
)
して古詩を咏じ琵琶を弾じ自ら小鼓をうって近習に謡わせるなど余裕
綽々
(
しゃくしゃく
)
であった。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『月光をして
汝
(
なんじ
)
の
逍遙
(
しょうよう
)
を照らさしめ』、自分は夜となく朝となく山となく野となくほとんど一年の歳月を逍遙に暮らした。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
エマルソン言えることあり、最も冷淡なる哲学者といえども恋愛の猛勢に駆られて
逍遙
(
しょうよう
)
徘徊
(
はいかい
)
せし少壮なりし時の霊魂が負うたる
債
(
おいめ
)
を
済
(
すま
)
す
能
(
あた
)
わずと。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
前後
撞着
(
どうちゃく
)
、意気
沮喪
(
そそう
)
、
逍遙
(
しょうよう
)
、頭の中だけの恋愛、そんなことに時間と力とを
無駄
(
むだ
)
に費やしては、数か月の努力勉強をもたえず駄目にしてしまっていた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
新しい薔薇戦争の勃起する魅力がそこにある。
黄浦口
(
コウホコウ
)
にのぞんだパブリック・ガーデン、そこでは四十幾種類かの人種がプラタナスの木蔭を
逍遙
(
しょうよう
)
している。
新種族ノラ
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
そのなかを、おしのびの南町奉行大岡越前守忠相、自邸の庭でも
逍遙
(
しょうよう
)
するように片手を袖に悠然と縫ってゆく。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
而
(
そう
)
して木の葉の
網目
(
あみめ
)
を
洩
(
も
)
る日光が金の
斑点
(
はんてん
)
を地に落すあの
白樺
(
しらかば
)
の林の
逍遙
(
しょうよう
)
! 先生も其処に眠って居られる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ある日の午後、庸三と葉子はまだ秋草には少し早い百花園を
逍遙
(
しょうよう
)
していたが、
楽焼
(
らくや
)
きに二人で句や歌を書きなどしてから、すぐ近くの鳥金へ飯を食べに寄ってみた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
客観的には憎ったらしい程
図々
(
ずうずう
)
しく、しっかりとした足どりで、歩いたらしい。しかも一つ処を幾度も幾度もサロンデッキを
逍遙
(
しょうよう
)
する一等船客のように往復したらしい。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
一日も早くあすこから『この土手に登るべからず』という時代遅れの制札が取除かれ、自由に愉快に
逍遙
(
しょうよう
)
漫歩
(
まんぽ
)
を楽しみ得るの日の来らんことを
鶴首
(
かくしゅ
)
している次第である。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
今日の日曜を
野径
(
のみち
)
に
逍遙
(
しょうよう
)
して春を探り歩きたり。
藍色
(
あいいろ
)
を漂わす大空にはまだ消えやらぬ
薄靄
(
うすもや
)
のちぎれちぎれにたなびきて、晴れやかなる朝の光はあらゆるものに流るるなり。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それは遊びであり、また休息であり、
逍遙
(
しょうよう
)
、
徒渉
(
としょう
)
、掘ること、捕えること、ねそべること、泳ぐことであった——壇の上の婦人たちに見張られ、呼びかけられながらである。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
そして葉子が家の中をいやが上にも
整頓
(
せいとん
)
して、倉地のために住み
心地
(
ごこち
)
のいい巣を造る間に、倉地は天気さえよければ庭に出て、葉子の
逍遙
(
しょうよう
)
を楽しませるために精魂を尽くした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
嘯詠吟哦
(
しょうえいぎんが
)
、
或
(
あるい
)
は
獅子
(
しし
)
の
繍毬
(
しゅうきゅう
)
を
弄
(
ろう
)
して日を消するが
如
(
ごと
)
くに、
其
(
その
)
身を終ることは
之
(
これ
)
有るべし、
寒山子
(
かんざんし
)
の如くに、
蕭散閑曠
(
しょうさんかんこう
)
、
塵表
(
じんぴょう
)
に
逍遙
(
しょうよう
)
して、其身を
遺
(
わす
)
るゝを
得
(
う
)
可きや
否
(
あらず
)
や、疑う可き也。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
墳墓の土地の風景と、
濶歩
(
かっぽ
)
した城廓の姿と——そして、それらの人に混って、自分もまたそこに
逍遙
(
しょうよう
)
していた。大小を腰に挾み、麻がみしもに威儀をただして大広間に進んでいた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
冬の一番の眺めは雪の降った中に
数多
(
あまた
)
の鶴が
逍遙
(
しょうよう
)
して居るのを見るのですが、ラサ府では雪が降っても大抵二、三日で融けてしまう。その雪も一尺以上積もるということは稀です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
夕べの
観経
(
かんきん
)
の前のいっときを、気まま身ままに、いと悩みなく
逍遙
(
しょうよう
)
していたのです。
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
御歯黒蜻蛉
(
おはぐろとんぼ
)
が、
鉄漿
(
かね
)
つけた
女房
(
にょうぼ
)
の、
微
(
かすか
)
な夢の影らしく、ひら/\と一つ、葉ばかりの
燕子花
(
かきつばた
)
を伝つて飛ぶのが、此のあたり御殿女中の
逍遙
(
しょうよう
)
した昔の幻を、
寂
(
さび
)
しく描いて、都を出た日
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
破れた
籬
(
まがき
)
の前に座して野菊と語った
陶淵明
(
とうえんめい
)
や、たそがれに、
西湖
(
せいこ
)
の梅花の間を
逍遙
(
しょうよう
)
しながら、暗香浮動の趣に我れを忘れた
林和靖
(
りんかせい
)
のごとく、花の生まれ故郷に花をたずねる人々である。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
文学は伝記にあらず、記実にあらず、文学者の頭脳は四畳半の古机にもたれながらその理想は天地八荒のうちに
逍遙
(
しょうよう
)
して
無碍自在
(
むげじざい
)
に美趣を求む。羽なくして空に
翔
(
かけ
)
るべし、
鰭
(
ひれ
)
なくして海に潜むべし。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
今夜やって来て
逍遙
(
しょうよう
)
していたところ、民弥が屋敷からあらわれた。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われわれ階級の生活に許される程度のわずかな面積を泉水や植え込みや
石燈籠
(
いしどうろう
)
などでわざわざ狭くしてしまって、
逍遙
(
しょうよう
)
の自由を束縛したり
芝刈り
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
物語がようやくここまで進んできた時、すなわちこの二年目に、マリユスのリュクサンブール
逍遙
(
しょうよう
)
はちょっと中絶した。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ふたたび彼は野の
逍遙
(
しょうよう
)
を始めた。そして不可抗の力でベルトルトの農家の方へ引きつけられた。しかし中へははいらなかった。近寄ることもしかねた。遠くからその周囲を回った。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それ手を取れ足を持ち上げよと
多勢
(
おおぜい
)
口々に罵り騒ぐところへ、後園の花
二枝
(
にし
)
三枝
剪
(
はさ
)
んで床の眺めにせんと、
境内
(
けいだい
)
あちこち
逍遙
(
しょうよう
)
されし朗円上人、
木蘭色
(
もくらんじき
)
の
無垢
(
むく
)
を着て左の手に
女郎花
(
おみなえし
)
桔梗
(
ききょう
)
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
フォート区に馬車が出ると各国の若い男女が街路樹の下を腕をくんで
逍遙
(
しょうよう
)
している。夜遊びした孟買女学校の生徒が茶色の肩掛で顔を包んで皮膚には香気ある花を飾って帰途を急いでいる。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
あの時は
山羊
(
やぎ
)
のごとく
然
(
しか
)
り山野泉流ただ自然の導くままに
逍遙
(
しょうよう
)
したり。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その屋敷を眺めながら、六人の男女が
逍遙
(
しょうよう
)
していた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ぶらぶらとその辺を
逍遙
(
しょうよう
)
しておりました。
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
四 深林の
逍遙
(
しょうよう
)
、其他
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その日サン・クルーのマロニエの木の下を
逍遙
(
しょうよう
)
していると、朝の十時ごろ彼らが通るのを見かけた、そして三女神カリテスのことを思い出して叫んだ
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
乾坤
(
けんこん
)
の変であるが、しかもそれは不易にして流行のただ中を得たものであり、虚実の境に出入し
逍遙
(
しょうよう
)
するものであろうとするのが蕉門正風のねらいどころである。
俳諧の本質的概論
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
かくて子供は音響の森の中を
逍遙
(
しょうよう
)
する。自分のまわりに無数の知らない力を感ずる。それらの力は彼を待受け、彼を呼びかけ、そして彼を
愛撫
(
あいぶ
)
せんとし、あるいは彼を
呑噬
(
どんぜい
)
せんとする……。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この夕は空高く晴れて星の光もひときわ
鮮
(
あざ
)
やかなればにや、
夜
(
よ
)
に入りてもややしばらくは流れの
潯
(
ほとり
)
を
逍遙
(
しょうよう
)
してありしが、ついに老僕をよびて落ち葉つみたる一つへ火を移さしめておのれは内に入りぬ。
星
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それは彼女が、ルブラン氏を促してベンチを去り道を
逍遙
(
しょうよう
)
した幾日かのうちの、ある日のことだった。晩春の強い風が吹いて
篠懸
(
すずかけ
)
の木の
梢
(
こずえ
)
を揺すっていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
先頭の人影は年取った市民らしく、少し前かがみに何か考え込んでいて、ごく質素な服装をし、老年のせいかゆっくり歩いて、星明りの夕を
逍遙
(
しょうよう
)
してるもののようだった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
逍
漢検1級
部首:⾡
11画
遙
部首:⾡
14画
“逍遙”で始まる語句
逍遙軒
逍遙遊
逍遙人
逍遙城
逍遙場
逍遙子
逍遙馬車