“辱(はづかし)” の例文
何故、新平民ばかり其様(そんな)に卑(いやし)められたり辱(はづかし)められたりするのであらう。何故、新平民ばかり普通の人間の仲間入が出来ないのであらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おん身は衰運に乘じて人を辱(はづかし)めんとはし給はざるべし。むかし交らひ侍りし時より、おん身の心のさる殘忍なる心ならざるを知る。
しかれども富貴を得て、天が下の事一回(たび)は此の人に一四五依(よ)ざす。一四六任ずるものを辱(はづかし)めて命(いのち)を殞(おと)すにて見れば、文武を兼ねしといふにもあらず。
チッバ 叔父上(をぢうへ)、あれは敵方(てきがた)のモンタギューでござる。今夜(こんや)の祝典(しゅくてん)を辱(はづかし)めん惡意(あくい)を抱(いだ)いて來(き)をったのでござる。
学生中からその方は勉強しをつた君達の事ぢやから、今後は実に想遣(おもひや)らるるね。ええ、肩書を辱(はづかし)めん限は遣るも可(よ)からうけれど、注意はしたまへよ、本当に
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それだけで十一年の間玉(たま)のやうに私の思つて来た子は無名の富豪の僕(ぼく)に罵られたのです。辱(はづかし)められたのです。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
學院(がくゐん)に遣(つか)はして子弟(してい)に件(ともな)はしむれば、愚(ぐ)なるが故(ゆゑ)に同窓(どうさう)に辱(はづかし)めらる。更(さら)に街西(がいせい)の僧院(そうゐん)を假(か)りて獨(ひと)り心靜(こゝろしづ)かに書(しよ)を讀(よ)ましむるに、日(ひ)を經(ふ)ること纔(わづか)に旬(じゆん)なるに、和尚(をしやう)のために其(そ)の狂暴(きやうばう)を訴(うつた)へらる。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
演じて夫人の跨下を出づるに至るや、両人覚えず大哭(たいこく)して曰、「名節地を掃(はら)ふこと此(ここ)に至る。夫れ復(また)何をか言はん。然れども孺子(じゆし)の為に辱(はづかし)めらるること此に至る。必ず殺して以て忿念(ふんねん)を洩(も)らさん」
八宝飯 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ジョン・リードの罵倒には、慣(な)れつこになつてゐたので、私は、返答なぞしようとは思はなかつた。私の心配なのは、辱(はづかし)められた後に、きつとやつて來る打擲(ちやうちやく)に、どうして耐へるかと云ふことだつた。
おん身若し彼夕もろひとに辱(はづかし)められんには、われ深く憾(うらみ)とすべし。その事なくして畢(をは)りしは、まことに自他の幸なり。
地(ち)を呪(のろ)ふのぢゃ? 生(せい)と天(てん)と地(ち)と此(この)三(み)つが相合(あひあ)うて出來(でき)た身(み)をば、つい無分別(むふんべつ)に棄(す)てうでな? 馬鹿(ばか)な、馬鹿(ばか)な! 姿(すがた)を、戀(こひ)を、分別(ふんべつ)を辱(はづかし)むる振舞(ふるまひ)といふものぢゃ。
そこで、金銭(かね)ゆゑに売られもすれば、辱(はづかし)められもした、金銭の無いのも謂はば無念の一つです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
破(やぶ)れ傘(がさ)の車(くるま)では、別(べつ)に侮(あなど)られ辱(はづかし)められるとも思(おも)はなかつたが、今(いま)牛(うし)の背(せ)に懸(か)けられたのを見(み)ると、酷(むごた)らしくて我慢(がまん)が出来(でき)ない! 木(き)を刻(きざ)んだものではあるが、節(ふし)から両岐(ふたまた)に裂(さ)かれさうに思(おも)はれて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ジエンナロの面は血色全く失せて、さてはおん身は立聞せしか、おん身は我を辱(はづかし)めたり、我と決鬪せよといふ。其聲極(きはめ)て冷(ひやゝか)に、極てあらゝかなりき。
彼は競争者の金剛石(ダイアモンド)なるを聞きて、一度(ひとたび)は汚(けが)され、辱(はづかし)められたらんやうにも怒(いかり)を作(な)せしかど、既に勝負は分明(ぶんめい)にして、我は手を束(つか)ねてこの弱敵の自ら僵(たふ)るるを看(み)んと思へば、心稍(やや)落ゐぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)