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足柄
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あしがら
ふりがな文庫
“
足柄
(
あしがら
)” の例文
夕陽の中に富士
足柄
(
あしがら
)
を望みし折の嬉しさなど思い出してはあの家こそなど見廻すうちにこゝも後になり、
大磯
(
おおいそ
)
にてはまた乗客増す。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「飛んだことになりました、生憎相談相手もなく、肝腎の岡さんは三日前から、
足柄
(
あしがら
)
へ用事があつて出かけ、明日でなければ戻りません」
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここから先にも、
清見潟
(
きよみがた
)
、黄瀬川、
足柄
(
あしがら
)
、大磯小磯、そして鎌倉口の
仮粧坂
(
けわいざか
)
まで、ほとんど
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の花を見かけない宿場はない。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その一人は例のサンカの
児
(
こ
)
で、相州の
足柄
(
あしがら
)
で親に
棄
(
す
)
てられ、甲州から
木曾
(
きそ
)
の山を通って、名古屋まできて警察の保護を受けることになった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
足柄
(
あしがら
)
の箱根の山の中には数え切れぬほどの
不逞
(
ふてい
)
の
賊
(
やから
)
どもが
蟠居
(
ばんきょ
)
しているのだそうだ。いつ我々に対して
刃向
(
はむか
)
って来るか分ったものではない。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
▼ もっと見る
「おお、
足柄
(
あしがら
)
君。わしは山形警部だが、大至急そのへんの家から、服を借りて来て、わしに着せてくれ。
風邪
(
かぜ
)
をひきそうだ。はァくしょん!」
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
足柄
(
あしがら
)
に
縁
(
えん
)
のありさうな
山
(
やま
)
のかみは、おかゝのでんぶを
詰
(
つま
)
らなさうに
覗
(
のぞ
)
きながら、バスケツトに
凭
(
もた
)
れて
弱
(
よわ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
東の窓からは近く
香貫
(
かぬき
)
徳倉
(
とくら
)
の小山が見え、やゝ遠く箱根の圓々しい草山から
足柄
(
あしがら
)
の尖つた峰が望まるゝ。北の窓からは
愛鷹山
(
あしたかやま
)
を前に置いた富士山が仰がるゝ。
樹木とその葉:04 木槿の花
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
わたくしはやっと
病褥
(
びょうじょく
)
を出たが、医者から転地療養の勧告を受け、学年試験もそのまま打捨て、父につれられて小田原の町はずれにあった
足柄
(
あしがら
)
病院へ行く事になった。
十六、七のころ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日の西に入りてよりほど
経
(
へ
)
たり。箱根
足柄
(
あしがら
)
の上を包むと見えし雲は
黄金色
(
こがねいろ
)
にそまりぬ。
小坪
(
こつぼ
)
の
浦
(
うら
)
に帰る漁船の、風落ちて陸近ければにや、
帆
(
ほ
)
を下ろし漕ぎゆくもあり。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
足柄
(
あしがら
)
の
彼面此面
(
をてもこのも
)
に
刺
(
さ
)
す
羂
(
わな
)
のかなる
間
(
ま
)
しづみ
児
(
こ
)
ろ
我
(
あれ
)
紐
(
ひも
)
解
(
と
)
く 〔巻十四・三三六一〕 東歌
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
悉く惡い
蝦夷
(
えぞ
)
どもを平らげ、また山河の惡い神たちを平定して、還つてお上りになる時に、
足柄
(
あしがら
)
の坂本に到つて食物をおあがりになる時に、その坂の神が白い鹿になつて參りました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
相模よりさきへは行かなかつたらしいが、これは古の事で上野は
碓氷
(
うすひ
)
、相模は箱根
足柄
(
あしがら
)
が自然の境をなしてゐて、将門の方も先づそこらまで片づけて置けば一段落といふ訳だつたからだらう。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
大阪の天王寺
蕪
(
かぶら
)
、函館の
赤蕪
(
あかかぶら
)
、秋田のはたはた魚、土佐のザボン及び
柑
(
かん
)
類、
越後
(
えちご
)
の
鮭
(
さけ
)
の
粕漬
(
かすづけ
)
、
足柄
(
あしがら
)
の
唐黍
(
とうきび
)
餅、
五十鈴
(
いすず
)
川の
沙魚
(
はぜ
)
、山形ののし梅、青森の
林檎羊羹
(
りんごようかん
)
、
越中
(
えっちゅう
)
の
干柿
(
ほしがき
)
、伊予の
柚柑
(
ゆずかん
)
、
備前
(
びぜん
)
の沙魚
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「当時、私は大尉で、『
足柄
(
あしがら
)
』の副長付をしていた」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「飛んだことになりました、
生憎
(
あいにく
)
相談相手もなく、肝腎の岡さんは三日前から、
足柄
(
あしがら
)
へ用事があって出かけ、明日でなければ戻りません」
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは
足柄
(
あしがら
)
山の明神が生意気な山だといって、足を挙げて蹴くずされたので、それで足高は低くなったのだといっております。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もし、それに間に合っていたなら、
足柄
(
あしがら
)
山上から黄瀬川谷へかけ、尊氏の軍はそのとき限り時代の墳墓に埋没され去ッていたことであったろう。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次第高になつてゆく
愛鷹
(
あしたか
)
と
足柄
(
あしがら
)
との山あひの富士の裾野がずつと遠く、ものゝ五六里が間は望まれるのである。然し、その日は私は頂上まで行き度くなかつた。
樹木とその葉:25 或る日の昼餐
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
その
隙
(
すき
)
を
目懸
(
めが
)
けて、
摩耶
(
まや
)
を司令艦とする
高雄
(
たかお
)
、
足柄
(
あしがら
)
、
羽黒
(
はぐろ
)
などの一万噸巡洋艦は、グングン接近して行った。
的
(
まと
)
と
覘
(
ねら
)
うは、レキシントン級の、大航空母艦であった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかも
眞夜中
(
まよなか
)
の
道中
(
だうちう
)
である。
箱根
(
はこね
)
、
足柄
(
あしがら
)
を
越
(
こ
)
す
時
(
とき
)
は、
内證
(
ないしよう
)
で
道組神
(
だうそじん
)
を
拜
(
をが
)
んだのである。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこより入り
幸
(
い
)
でまして、悉に荒ぶる
蝦夷
(
えみし
)
ども
一四
を言向け、また山河の荒ぶる神どもを平け和して、還り上りいでます時に、
足柄
(
あしがら
)
の坂
下
(
もと
)
に到りまして、御
粮
(
かれひ
)
聞
(
きこ
)
し
食
(
め
)
す處に、その坂の神
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
足柄
(
あしがら
)
の山に手を出す
蕨
(
わらび
)
かな
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
山姥が
坂田公時
(
さかたのきんとき
)
の母であり、これを山中に養育したという話が、特に相州
足柄
(
あしがら
)
の山に属することになったのも、また全然同じ事情からであろうと思う。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
覚一の杖の端を持って、おなじ
足幅
(
あしはば
)
で彼女も歩いた。時には、馬の背も借りたり、
足柄
(
あしがら
)
を越え、富士川天龍も渡って、その夕べ、豊川で
宿
(
やど
)
をさがしていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むくつけき
足柄
(
あしがら
)
男と、江戸の町家の祕藏娘では、いかにも互の理解はむづかしさうです。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この野原を見るには
足柄
(
あしがら
)
連山のうちの乙女峠、または長尾峠からがいゝ。
樹木とその葉:36 自然の息自然の声
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
日本艦隊の
加古
(
かこ
)
、
古鷹
(
ふるたか
)
、
衣笠
(
きぬがさ
)
以下の七千
噸
(
トン
)
巡洋艦隊は、その快速を利用し、
那智
(
なち
)
、
羽黒
(
はぐろ
)
、
足柄
(
あしがら
)
、
高雄
(
たかお
)
以下の一万噸巡洋艦隊と、並行の
単縦陣型
(
たんじゅうじんけい
)
を作って、
刻々
(
こくこく
)
に敵艦隊の
右側
(
うそく
)
を
覘
(
ねら
)
って突き進んだ。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さきの箱根、
足柄
(
あしがら
)
の苦杯を彼は忘れ難い。あのときの戦略的な“読ミ”の不足は大将として恥ずべきだった。だから今はその逆に出た急襲といえなくもない。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曰
(
いわ
)
く矢立峠古くは矢立杉と称す。杉の老木ありて柵を
繞
(
めぐら
)
せり。昔田村将軍この杉の木に矢を射立て木の半身をもって奥羽の境と定む云々。『落葉集』巻十七に相州
足柄
(
あしがら
)
に矢立の杉あり。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
下男友吉
人別
(
にんべつ
)
を調べるまでもなく、相州
足柄
(
あしがら
)
山で熊の子と角力を取つて育つたやうな男、まだ二十六の若い感じで、鹽原多助のやうな心持で江戸へ出て來たのを、兩國でポン引きにしてやられ
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
箱根、
足柄
(
あしがら
)
と、各〻郎党や駒をひきつれて西へ急ぐ他の部隊をながめても、磨墨ほどな逸物は見あたらない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十里木越
(
じゅうりぎごえ
)
をして須山から
足柄
(
あしがら
)
道へ出た古道は、やはり鉄道の通っている今の海岸の砂原があまりに浮島の原であったために、いっそのこと思い切って山に入ったので、伊豆の国府の道順を考えると
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
旅行者は絶え、駅路の
長
(
おさ
)
や役人も、みな逃げ去ったか、姿も影も見せない。——こんなわけなので、征夷大将軍忠文自身が、
足柄
(
あしがら
)
ノ関へかかるのさえ、容易でなかった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
直義は
足柄
(
あしがら
)
を駈けくだって海道の救援に向ったが、しょせん、味方の収拾はつかなかった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして今日、黄瀬川に駐屯して、明日は
足柄
(
あしがら
)
をこえ、鎌倉へ帰って行く途中であった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
柄
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“足柄”で始まる語句
足柄山
足柄下
足柄上
足柄下郡
足柄境
足柄越
足柄道
足柄郡
足柄小船
足柄裏街道