いつ)” の例文
ぼくは四五日まへから小田原をだはら友人いうじんうちあそびにいつたのだが、あめばかりで閉口へいかうしたから、これから歸京かへらうとおもふんだ。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ひきモシ若旦那さういつては「イヤ吾儕わしは花見にはモウゆかぬ是から家へかへるなり」と言捨いひすて足を早めるに和吉は本意ほいなき面地おもゝちにて夫では花見はやめになつたかさうして見ば辨當を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
田圃たんぼしぎなにおどろいたかきゝといて、刈株かりかぶかすめるやうにしてあわてゝとんいつた。さうしてのちしろとざしたこほり時々ときどきぴり/\となつてしやり/\とこはれるのみでたゞしづかであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「なにひる少し過ぎだから学校にいつてる時分だ。それに応接だからたつてかまやしない」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
むむ美登利さんはな今の先己れの家の前を通つて揚屋町あげやまち刎橋はねばしから這入はいつていつた、本当に正さん大変だぜ、今日はね、髪をかういふ風にこんな嶋田しまだに結つてと、変てこな手つきして
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
学士がくしですのなんのと云ツたところ味噌摺みそすりはふらずお辞義じぎ礼式れいしきじゆくせざれば何処どこいつてもけいしてとほざけらる〻が結局おちにてだしもけいさるゝだけをとくにしてめてもの大出来おほできといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
つれさきへ東町の自身番へいつて淺草三間町の虎松をよんおけおれは坂本へ鳥渡ちよつとまはつてゆくからと申付て立出れば手先てさき幸藏かうざうは脇差を風呂敷ふろしきつゝみ治助を同道して東町の自身番じしんばんへ來り虎松とらまつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
のぶさんの下駄げたれがげてかう、臺處だいどこほうんでおいたら子細しさいはあるまい、さあへてれをおしと世話せわをやき、鼻緒はなをれしを片手かたてげて、それならのぶさんいつておいで
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
仕舞しまつたら富右衞門殿の方へ返して來よと云にぞ女房は早々にぜん片付かたづけそんなら一寸ちよつといつて參りましやうと云所へ重四郎は三五郎に何かはなしありとて來りしが此咄しを聞てなんだ富右衞門殿の煙草入たばこいれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)