)” の例文
さてその上で双方に不服がなければ改めて媒人なこうどを立て、結納を取り交し、五とか、七荷とか、十三荷とか、花嫁の荷物を婚家へ運ぶ。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その時お持になつた色々の調度、箪笥、長持、総てで以て十四——一荷は一担ひとかつぎで、畢竟つまりひらたく言へば十四担ぎ有つたと申す事ぢや。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それは帯地一巻持参したいところであるが、間に合いかねるからと言って、白無垢しろむく一反、それに酒の差樽さしだるを祝って来てある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
数歩のうちに、下のほうから一の酒桶をかついで登ってくる男が見えた。魯智深は、はからずも巡り会った恋人にでも引かれるように
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
座の一隅にはひくい脚を打った大きな折敷おしき柳樽やなぎだる置かれてあった。客が従者じゅうしゃに吊らせて来て此処へおくったものに相違無い。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
三日三晩村中呼んでの飲明のみあかしだの、「目出度めでた〻〻〻めでた若松様わかまつさまよ」の歌で十七の嫁入荷物を練込ねりこむなぞは、大々尽だいだいじんの家の事、大抵は万事手軽の田舎風
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
五百らは路用の金がきた。江戸を発する時、多く金を携えて行くのは危険だといって、金銭を長持ながもち五十余りの底にかせて舟廻ふなまわしにしたからである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
当日の荷物に箪笥の数を多くすれば、五では間に合はず七荷になるから、それだけかつぐ人間の数も増える。
よめいり荷物 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
「ガエタアノ、お婆さんが病気でたきぎりに行かれないから、今夜わたしと一所に森へ行つて、薪を一二お婆さんへ持つて行つてやる手伝ひをして頂戴な。」
翻訳小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
道士は人をあつめて数十の水を運ばせ、それを堂上にぶちまけさせると、一方の隅の五、六尺ばかりの所は、水が流れてゆくと直ぐに乾いてしまうのである。
二十のうち半分は空であるが、半分はつまっているので、たぽたぽと時折音がする。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
己は梨子なしを一かついで歩き、幾籠売っても一両の金は儲からないのに、己に一両も小遣いを呉れられるような身の上に成ったは、御主人さまのお蔭だから、御主人を大事に思うなら
あんたの阿母おかんの來やはつた時は、えらいこツちやツた。七でなア。……今でも納戸なんどにおまツしやろ、あの箪笥や長持は皆阿母おかんが持つて來やはつたんや。あの長押なげしに掛けたある薙刀なぎなたも。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
担ぎ荷十七供人ともびと六十余人、乗替えの輿は五つというむやみな仕組だった。
先に立朱網代の乘物には常樂院天忠和尚跡は四人の徒士かち若黨長棒の駕籠には山内伊賀亮ほかに乘物十六ちやう駄荷物十七桐棒きりぼう駕籠五挺都合上下二百六十四人の同勢どうぜいにて道中すぢは下に/\と制止聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一、伊達だてどの——五つ、および仙台味噌せんだいみそ
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と、気前よくぜにを渡し散らす。——従卒は命じられるまま文房具屋では、筆、墨、すずり、紙など買入れ、市場ではした鶏一羽、酒一を。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尾州から江戸送りの大筒おおづつの大砲や、軍用の長持が二十二さおもこの街道に続いたことを思い出し、一人持ちの荷物だけでも二十一もあったことを思い出して
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
およめさんの荷物は、民間では、五の荷物がごく普通であつた。三では少しさびしく、七ではちいつとばかり贅沢だつたが、だいじな一人娘なぞには親がきばつて七荷にすることが多かつた。
よめいり荷物 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
掃除しけるが下男げなんの善助は最早もはや膳部ぜんぶも出來たれば寶澤に申ける御膳ごぜんも出來候へばお師匠樣へ差上給へといへば寶澤は此時なりとかねたくみし事なれば今われ給仕きふじしては後々のさはりに成んと思ひければ善助にむかひ我は油手あぶらてなれば其方給仕きふじして上られよとたのむに何心なき善助は承知していまみづ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
白龍は、舟夫かこの手をかりて、二酒桶さかおけをおろしていた。そして女のすべても連れて行って、砂丘のほとりに休んでいる将士に酒をすすめ廻った。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半蔵は大小二の旅の荷物を引きまとめ、そのうち一つは琉球りゅうきゅう莚包こもづつみにして、同行の庄屋たちと共に馬荷に付き添いながら板橋経由で木曾街道の方面に向かった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
要するに、事々、幕府の示威であり、二張輿はりごしは、かくて東海道の宿々を、よい見世物とされて行くにちがいない。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大阪表へお立退たちのきになるんで、家財諸道具が荷梱にごりで七十箇、箱とこもで二十余り、それを今夜のうちに船積みしろという無理な註文じゃございませんか。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると四ツ辻に、ぽちと赤く、露灯かんてらの灯が見えた。それは夜ッぴての遊蕩客あそびきゃくのためにある夜通し屋の一で、生姜湯しょうがとう売りの王じいさんだ。ひょいと見かけて。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巻絹十ぴき、砂金一のう、酒一、大鯛一台などの品々を供にになわせて、そのお使者は、女輿おんなごしを中門で降り、色代しきたいうやうやしげに——若殿さま御婚礼のお祝いに
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その前日、秀吉は、酒のたると、多くの食物とを、城中へ寄贈した。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)