花火はなび)” の例文
わたくしと、日出雄少年ひでをせうねんと、ほか一群いちぐん水兵すいへいとは、りくとゞまつて、その試運轉しうんてん光景くわうけいながめつゝ、花火はなびげ、はたり、大喝采だいかつさいをやるつもりだ。
一昨日をとつひばんよひくちに、まつのうらおもてに、ちら/\ともしびえたのを、海濱かいひん別莊べつさう花火はなびくのだといひ、いや狐火きつねびだともいつた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けくずれるまちでは、花火はなびのごとく、たかがり、ぴかりぴかりとして、凱歌がいかげるごとく、ほこらしげにおどっていました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
しんたのむねからちあげられて、すこしくもったそら花火はなびがはじけたのは、はるすえちかいころのひるでした。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
をしへけるにぞ吉之助承知して其後そののち又々涼船すゞみぶね花火はなび見物けんぶつの時六之助同道どうだうにて吉原へ行き蓬莱屋ほうらいやと云ふ六之助が馴染なじみの茶屋へ上りけるに吉之助は傳兵衞がをしへはこゝなりと女房にようばうむすめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私はまたあの花火はなびといふ奴が好きになつた。花火そのものは第二段として、あの安つぽい繪具で赤や紫や黄や青や、樣ざまの縞模樣しまもやうを持つた花火の束、中山寺の星下ほしくだり、花合戰はながつせん、枯れすすき。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
可愛かあい花火はなびがピーカピカ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
「おや、花火はなびかな。」と、眼鏡めがねをかけたおじさんは、みみをすましました。すると、ドーンドーンとつづいて、しずかな空気くうきをやぶるおとがしたのでした。
どこかで呼ぶような (新字新仮名) / 小川未明(著)
それと同時どうじに、吾等われら陸上りくじやう一同いちどう萬歳ばんざいさけぶ、花火はなびげる、はたる、日出雄少年ひでをせうねん夢中むちうになつて、猛犬稻妻まうけんいなづまともに、飛鳥ひちやうごと海岸かいがんすな蹴立けたてゝ奔走ほんさうした。じつこのしまつて以來いらい大盛况だいせいけう
ほたる野道のみち花火はなび
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
また、なにかのおまつりがあって、そのたびに花火はなびおとが、あちらでも、こちらでもしています。また、あとからあとからと人間にんげんうちでは子供こどもまれています。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
花火はなび
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
かれは、このあいだおとうさんから、お小使こづかいをもらったのを大事だいじにしておけばよかったと後悔こうかいしたのです。バッチンをしたり、花火はなびったりして、みんな使つかってしまったのでした。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
どこかで、ボーンと花火はなびがるおとがしました。きっと、とくちゃんたちが、はらっぱでげているのでしょう。けれど、そこへゆくよりか、おじさんのはなしのほうがおもしろいのでした。
子供の床屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
『このからすはもうじき、川開かわびらきがくる、そのときげる花火はなびなかにいれるのだ。』
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
『うちで心配しんぱいしているといけないから、もうかえりな。おじいちゃんがおくってやる。』と、おじいさんは、花火はなびつくっている小舎こやからて、屋根やねえるまちまで少女しょうじょおくってくれました。
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
くるまとおくにえた、あのもりをいつのまにか、うしろにして、まちたのでした。はじめて、あの花火はなびは、こんど、あたらしく、まち電車でんしゃが、とおったので、その祝賀会しゅくがかいがもよおされるためとわかりました。
どこかで呼ぶような (新字新仮名) / 小川未明(著)