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腹癒
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はらい
ふりがな文庫
“
腹癒
(
はらい
)” の例文
「こいつは金になる。ならなかったら範宴のやつを素裸にして、
都大路
(
みやこおおじ
)
へ
曝
(
さら
)
し物にして曳き出し、いつぞやの
腹癒
(
はらい
)
せをしてやろう」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尤
(
もっと
)
も、敏子に対する
腹癒
(
はらい
)
せの感情も手伝った。綺麗さっぱりとはねつけられた返礼としては正に
屈竟
(
くっきょう
)
の手段であらねばならぬ。
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
この
腹癒
(
はらい
)
せには何か
巧
(
うま
)
い口実を見付けて、手当の五十円を半分に引下げてさえしまえば、つまり二人で一人の女を抱えたという名義が立つ
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この片一方の腕に
対
(
てえ
)
しても、
面
(
かお
)
が合わせられねえ仕儀さ。何とかしてこの
腹癒
(
はらい
)
せをしねえことには、この虫がおさまらねえ。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「自分デ恋ノ冒険ヲ楽シムコトガ出来ナクナッタ
腹癒
(
はらい
)
セニ、セメテ他人ニ冒険サセテ、ソレヲ見テ楽シム。人間モモウコウナッチャ哀レナモノサ」
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
それは
皆
(
み
)
んな世上の噂だよ。私に構って貰えない世上の女達が、勝手な事を言いふらして、
腹癒
(
はらい
)
せをして居るのだよ。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それみろ! てめえは浪岡が高価な馬だってことを知っていて、わしへの
腹癒
(
はらい
)
せにわざと怪我をさせたんだろう?」
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
私はその
腹癒
(
はらい
)
せに、ありのままのことを言ってやりました。彼女はただ一笑に付し去って、平然と私に答え返します。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
遊女から振られた
腹癒
(
はらい
)
せに
箪笥
(
たんす
)
の中に
糞
(
くそ
)
を入れて来たことなどを実験談のようにして話しているが、まだ、少年の私がいても
毫
(
すこし
)
も邪魔にはならぬらしい。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
腹癒
(
はらい
)
せもあったが、空にひっかかった月からがして、何かこうおれたちをいじめつけるようにきびしく、ロマンティックで、反撥と誘惑のようなものから
放浪作家の冒険
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
余り期待が大きかったので、これなら規模は小さいが、岩は寧ろ一之関の
厳美
(
いつくし
)
渓の方がよいと思わず独語したのは、少し
当
(
あて
)
のはずれた
腹癒
(
はらい
)
せに外ならない。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
この
腹癒
(
はらい
)
せには、何か復讐をしてやらなければ気が済まないと、連れの八重子の
訝
(
いぶか
)
るのも
関
(
かま
)
わずに、ぷん/\腹を立てながら、もう約束の時間にも間もないので
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
パルク・ロアイヤル街を横ぎっていると、
林檎菓子
(
りんごがし
)
を食えなかったことがいまいましくてたまらなくなり、ま昼間芝居の広告を思う存分引き裂いて
腹癒
(
はらい
)
せをした。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この調子では今に警視庁は都下に起る毎日百人
宛
(
ずつ
)
の死者の
枕頭
(
ちんとう
)
に立って殺人審問をしなければ居られなくなるだろうなどと
毒舌
(
どくぜつ
)
を
奮
(
ふる
)
い、一杯
担
(
かつ
)
がれた
腹癒
(
はらい
)
せをした。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
よしよし日ごろやっつけられる
腹癒
(
はらい
)
せに今日こそ
虐
(
いじ
)
めてやれと、私は意地のわるい考えをした。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そうして、それがお母様の世間に対する
腹癒
(
はらい
)
せであるかのように思われまして「不義者の子」という名前が、何ともいえず気持ちよくさえ思われて来るので御座いました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
基康や、あの裏切者の成経や康頼の目前で死んだならば、すこしは
腹癒
(
はらい
)
せにもなるのだったと思った。今死んでは犬死にであると思った。が、死のうという心は変らなかった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
砂馬を殺せなかった
腹癒
(
はらい
)
せに、こんなことをしようとしたのか。砂馬の埋めあわせだったら、砂馬と同じ日本人をバラしたらいいんで、何も中国人を殺そうとしなくてもいい。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
遅蒔きながら何とかその
腹癒
(
はらい
)
せもならぬものかと、左思右考してわずかに一策を得た。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
亥「
爺
(
ちゃん
)
、
己
(
おら
)
ア了簡があって業平橋の文治郎のどてっ腹を抉って
腹癒
(
はらい
)
せをして来るのだ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
寒い!(がたがたと震えて、)いつでもお爺さんに河豚鍋のおつきあいで
嘲笑
(
あざわら
)
われる
腹癒
(
はらい
)
せに、
内証
(
ないしょ
)
で、……おお、寒! ちびちびと
敵
(
かたき
)
を取ろうと思ったが、恐入って飲めんのでした。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
軍人で出先きを
塞
(
ふさ
)
がれた
腹癒
(
はらい
)
せを禅学にぶち込んだ程あつて、胡椒のやうにひりゝとした禅機の鋭さにかけては、その頃の
居士
(
こじ
)
仲間の随一であつたが、ある時その居士の玄関へ立つて
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
反動的な
嫌悪
(
けんお
)
の情が彼の総身に
寒気
(
さむけ
)
を立てさすであろうとは思ったが、それと同時に、何か
腹癒
(
はらい
)
せに彼女をさんざん
弄
(
もてあそ
)
んでやりたいような悪魔的な野心も
芽生
(
めば
)
えないわけに行かなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そう思いながら僕も滅入った気持を引立てようとこの詩人に
倣
(
なら
)
って、(仏蘭西へ行けない
腹癒
(
はらい
)
せに、)せめては新しき背広なりと着て、——いや冗談じゃない、そんな贅沢ができるものか。
十年
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
文子にふられた
腹癒
(
はらい
)
せに酒をのみ女にたはむれるわけではないのである。むしろさういふ生き方や、こぢつけや、解釈を彼は最も軽蔑してゐた。それぞれひとつの現象にすぎないのである。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
張飛は拝謝して、
腹癒
(
はらい
)
せのように痛飲したが、関羽は口にふくんだ酒を、曹操の眼がそれた隙に、うしろへ吐いてしまった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして相当の
容貌
(
ようぼう
)
だと思ったので、
腹癒
(
はらい
)
せのために、わざとザビーネの注意をひくように、大声にちやほやした。彼はうまくザビーネの注意をひき得た。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
小気味よしと見たのではあるまいが、また、自分が逃げ出すことのできない
腹癒
(
はらい
)
せの私怨とのみは思われません。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それがせめてもの——
翌
(
あく
)
る日は死んで行く私の
腹癒
(
はらい
)
せだったのです。その晩帰ると、奉公人に皆んな暇を出し、この家に火をつけて、私は首でも縊るつもりでした。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
きつと自分が連れて行つて、思ふさまいぢめて、
腹癒
(
はらい
)
せをする気なのだらう。さうでなかつたら、庄造の好きな物を一つでも取り上げて、意地悪をしようと云ふのだらう。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
エポニーヌの方はジャヴェルの手で「あげられた。」しかしそれはジャヴェルのつまらない
腹癒
(
はらい
)
せだった。エポニーヌはアゼルマといっしょにマドロンネット拘禁所に入れられた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
これを思って来ると、おきみも陰険でいやらしい女と思いますが、そんなことを知らないで坊っちゃん気質に
任
(
まか
)
せ手近かで
腹癒
(
はらい
)
せしたがる池上も随分浅墓なものだと思われて来ます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
俺は無名の作家たちが、文壇の
流行児
(
はやりっこ
)
の悪口を思う存分にいい合って、自分たちの認められない
腹癒
(
はらい
)
せをする場合を、考えることができた。俺と吉野君との会話も、ほとんどそれに近かった。
無名作家の日記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
例の、
闘鶏師
(
とりし
)
仲間の者が、
腹癒
(
はらい
)
せに、その後、藩邸にまで
襲
(
や
)
って来たので、問題は、家老の耳にも、主君にも、家中全体に知れ渡ってしまった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
詩人はむっとして、
腹癒
(
はらい
)
せに音楽を批評した。邪魔な音楽で詩句を聞かせる妨げになると不平を並べた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それがせめてもの——翌る日は死んで行く私の
腹癒
(
はらい
)
せだつたのです。その晩歸ると、奉公人に皆んな暇を出し、この家に火をつけて、私は首でも
縊
(
くゝ
)
るつもりでした。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
きつと自分が連れて行つて、思ふさまいぢめて、
腹癒
(
はらい
)
せをする気なのだらう。さうでなかつたら、庄造の好きな物を一つでも取り上げて、意地悪をしようと云ふのだらう。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは
相思
(
そうし
)
のなかであろうともなかろうとも、男女がさし向いで話をすることを、その狐は理由なしに
嫉
(
ねた
)
む、そうしてその
腹癒
(
はらい
)
せのために、何か悪戯をして帰るとのことじゃ。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
苦しめた奴は、こいつとこいつだ。
腹癒
(
はらい
)
せにかたづけてきた。——
沂嶺
(
きれい
)
の虎をあわせれば都合これで六匹だ。畜生に身を
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現在の光栄に到達するまでにはいろんな目に会ってきたが、成功してその
腹癒
(
はらい
)
せをしてるのだった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
きっと自分が連れて行って、思うさまいじめて、
腹癒
(
はらい
)
せをする気なのだろう。そうでなかったら、庄造の好きな物を一つでも取り上げて、意地悪をしようと云うのだろう。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何か失敗があったその
腹癒
(
はらい
)
せか、そうでなければ、首尾よくマドロスに私刑を加え終って後、こうして駒井の番所近く、第二の示威として藁人形を焼き立てようとするものらしい。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
叱られた
腹癒
(
はらい
)
せに、素晴らしいネタを挙げて来ようというのでしょう。
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
色より慾に引ッくり返った新造は、乾分の仁三を
女衒
(
ぜげん
)
の久六の所へ走らせ、手筈をきめて、京の色街へ、千浪を売り飛ばそうと
企
(
たくら
)
んだ。それが彼の
腹癒
(
はらい
)
せであった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先年あれほど彼に屈辱を与えたその
惨
(
みじ
)
めな作イフィゲニアが、ドイツの批評家らから賞賛され劇場から求められてるのを見るのは、彼にとってはやはり一つの
腹癒
(
はらい
)
せだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼が行きがけの
駄賃
(
だちん
)
に屍骸の鼻を斬ったのは、口惜し
紛
(
まぎ
)
れの
腹癒
(
はらい
)
せであったか、せめて目的の一端を果たす気であったか、或は、大胆な少年もさすがにその時は
狼狽
(
ろうばい
)
した結果であったか
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さて——と、今晩、これから落着くところは、
自暴
(
やけ
)
だな、自暴と二人連れで、この
腹癒
(
はらい
)
せに乗込んでみてえところはさ、目抜きのところはすっかり焼けてしまっていて、どうにもならねえ。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
叱られた
腹癒
(
はらい
)
せに、素晴らしいネタを擧げて來ようと言ふのでせう。
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それをてめえ、有り難えと思わず、
欝
(
ふさ
)
いで、さアあったという段になってから、じぶくるなんざあ
吾儘
(
わがまま
)
すぎるッてもんだぞっ。俺たち夫婦を、板ばさみにして、
腹癒
(
はらい
)
せする気かっ
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしては
良人
(
おっと
)
を怒らしたり、またこの小都市で受くる厭な事柄の
腹癒
(
はらい
)
せをしていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
腹
常用漢字
小6
部首:⾁
13画
癒
常用漢字
中学
部首:⽧
18画
“腹”で始まる語句
腹
腹這
腹立
腹掛
腹痛
腹鼓
腹匍
腹部
腹背
腹帯