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縊
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くく
ふりがな文庫
“
縊
(
くく
)” の例文
「間違いもなく首を
縊
(
くく
)
って、——それも検死の様子では、人に絞められたのでは無くて、自分で首を縊った年寄の巡礼だったんです」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二、趙家では道士を喚んで首
縊
(
くく
)
りの幽霊を祓う事(
首縊幽霊
(
くびくくりゆうれい
)
は最も獰猛なる
悪鬼
(
あくき
)
で、阿Qが女を口説いたのもその祟りだと仮想する)
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
人の知らないところへ行って、身でも投げたか、首でも
縊
(
くく
)
ったか。それとも平気で生きているか。そんなことはいっさい判りません。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「まだ面白い事があります首を
縊
(
くく
)
ると
背
(
せい
)
が
一寸
(
いっすん
)
ばかり延びるそうです。これはたしかに医者が計って見たのだから間違はありません」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人里にも住めず山にも帰れず、その時いったいどうするぞ? 首を
縊
(
くく
)
るかのたれ死にをするか? どっちにしても可哀そうなものだ
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
其内、稲次郎は此辺で所謂
即座師
(
そくざし
)
、
繭買
(
まゆかい
)
をして失敗し、田舎の失敗者が皆する様に東京に流れて往って、
王子
(
おうじ
)
で首を
縊
(
くく
)
って死んだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「常々、ご病身でもあったせいでしょうが、問罪の状をお渡しすると、その夜、自らお
頸
(
くび
)
を
縊
(
くく
)
って、あわれ自害してお果て遊ばしました」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
堅いようなのを買って糸で
縊
(
くく
)
って風通しの好い処へ釣るしておくと二、三日目か四、五日目位でちょうどいい食べ頃が来ます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
これが
嵩
(
こう
)
じると自分までヒステリーのようになって、暇を取ったくらいでは気がすまないで、面あてに首でも
縊
(
くく
)
ろうかと思う時さえあった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
あのお臀の上で首を
縊
(
くく
)
りたいというやつがいたが、全く死場所ではああいうつるつるてんの、ゴクラクみたいな処はないね。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして、ある月のよい晩のこと、窓の外に出っ張っている、電線引込用の小さな横木に
細引
(
ほそびき
)
をかけて、首を
縊
(
くく
)
って自殺をしてしまったのです。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
また或る時、借金のために財産をなくしかけて、首を
縊
(
くく
)
ろうか、身を投げようかと思案しながら道を歩いている町の人に
出遭
(
でっくわ
)
したことがある。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
形式だけの検束をうけて、留置場の中で特別の待遇をうけて居た鈴木が、この明け方、首を
縊
(
くく
)
っていたのを、看守の巡査が発見したのだった。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
庭の松が、ただ
慄然
(
ぞっ
)
とするほど、その人待石の松と枝振は同じらしい。が、どの枝にも首を
縊
(
くく
)
る
扱帯
(
しごき
)
は燃えてはおりません。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この町へ帰って来てしばらくしてから吉田はまた首
縊
(
くく
)
りの縄を「まあ馬鹿なことやと思うて」
嚥
(
の
)
んでみないかと言われた。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「お前も新聞で美人と書かれちやア、もう、——また一度毒を飮むか、くびを
縊
(
くく
)
るかしなけりやア、義理がすむまいぜ。」
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
それはまるで、めいめいの長靴を、きちんと上の棚にのせておいて、さてゆうゆうと首を
縊
(
くく
)
った
自殺者
(
じさつしゃ
)
のようだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
広い会所の中は揉合うばかりの
群衆
(
ぐんじゅ
)
で、相場の呼声ごとに場内は色めきたつ。中にはまた首でも
縊
(
くく
)
りそうな顔をして、冷たい壁に
悄
(
しょんぼ
)
り
靠
(
もた
)
れている者もある。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
首を
縊
(
くく
)
るべきであろうか? 各人をして自分の仕事に意をそそぎ、彼が作られたものになろうとつとめしめよ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
その話の途中で、私が前に寺田先生から聞いていた、寒月の「首
縊
(
くく
)
りの力学」の出所を話したら、それは面白いからぜひ書くようにと勧められたわけである。
寒月の「首縊りの力学」その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
ただでさえ
脾弱
(
ひよわ
)
いのが益々病身になってしまいましたが、とうとうしまいには心の罪に責められて、あの婆の寝ている暇に、首を
縊
(
くく
)
って死んだと云う事です。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
権助が主人の使いに行き、一両の金を落として途方に暮れ、旦那へ申し訳なしとて思案を定め、並木の枝にふんどしを掛けて首を
縊
(
くく
)
るの例は世に珍しからず。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
貧乏で首を
縊
(
くく
)
る人も無いことは無い。しかしそれは貧乏がその人を殺したと云わんよりは、貧乏即不幸福の強迫観念がその人を殺したと云った方が正しかろう。
貧富幸不幸
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ほほう」と検事は目を丸くして「では儂が首を
縊
(
くく
)
らん前に、事件の真相を報告するようにしてくれ
給
(
たま
)
え」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
頸を
縊
(
くく
)
られた鶏か何かのやうに、ひくひくと全身を痙攣させながら手足をばたばたさせてゐるのだつた。
癩を病む青年達
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
「ですけど先生、いったい小六さんは、自分から首を
縊
(
くく
)
ったのでしょうか、それとも、誰かほかに……」
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
事件というのは西村のお
母
(
っか
)
さんが
昨夜
(
ゆうべ
)
のうちに首を
縊
(
くく
)
ったので、
昨日
(
きのう
)
のハイカラ
美人
(
さん
)
が殺したのじゃないかと、疑いがかかっているらしい……というのであった。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
例えば、その家には先年自害したものがあるとか、首
縊
(
くく
)
りしたるものがあるとかの言い伝えがある。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「借金を背負っても、首は
縊
(
くく
)
れるし、女に迷うても、水に陥れるぞ。この間の死の区別は
如何
(
いかん
)
」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「俺は、仕舞ひには彼処で首を
縊
(
くく
)
りはしないか? 彼処では、何かが俺を招いてゐる」
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
いっそ首でも
縊
(
くく
)
って我と我が命を断つに
如
(
し
)
かないと
屡々
(
しばしば
)
思い詰めた事でありました。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
怎
(
どう
)
した破目かで破産して、夫といふ人が首を
縊
(
くく
)
つて死んで了つた為め、新家の家の家政を手伝ひ
旁々
(
かたがた
)
、亡夫の忘れ形見の藤野さんを伴れて、世話になりに来たのだといふ事であつた。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
房枝が帯をかけた鴨居に帯をかけて首を
縊
(
くく
)
り、机の上に三本の遺書が置いてあった。
錯覚の拷問室
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
……それから僕は、どんなことになっても決して、監獄で首を
縊
(
くく
)
ったりはしないよ。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
この神職はもと
負荷人足
(
にもちにんそく
)
の成上りで、一昨冬妻と口論し、妻首
縊
(
くく
)
り死せる者なり。かくて神林伐採の許可を得たるが、その春日社趾には目通り一丈八尺以上の周囲ある古老杉三本あり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
縊
(
くく
)
って死んだんです。貞吉君は
何
(
ど
)
うせ親父に責め殺されるんだと言っていました
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
つい首なんぞ
縊
(
くく
)
ってしまったのでしょうが、どうもそういうことがあってからは村の者たちも気味悪がってあの近辺へも寄りつかぬような始末でして、さぞ荒れていることと思いますが
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そんな平凡な生活をする位なら、
寧
(
いっ
)
そ首でも
縊
(
くく
)
って死ン
了
(
じま
)
え、などと蔭では嘲けったものだったが、嘲けっている
中
(
うち
)
に、自分もいつしか
所帯染
(
しょたいじ
)
みて、人に嘲けられる身の上になって了った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
あいつは気の弱い奴だから、そんなことばかりしていると、いずれ首でも
縊
(
くく
)
ってしまう。高木は血便が出るほど勉強して、俺を無罪にしたンだから、それ位の罪は、とっくに消滅している。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
おや、おばあさんはもう切子灯籠を釣ったのかとよく見ると、それは灯籠ではなくて、おばあさん自身、首を
縊
(
くく
)
っていたのでした。真新しい白い浴衣が切子灯籠の垂れ紙にも見えたのでした
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お杉の母親は、まだお杉が幼い日のころ、彼女ひとりを残しておいて首を
縊
(
くく
)
って死んだのだ。お杉はそれからの自分が、どうしてこの上海まで流れて来たか、今は彼女の記憶も
朧
(
おぼろ
)
げであった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それが出来ないような意気地なしなら、首でも
縊
(
くく
)
って
一思
(
ひとおも
)
いに死んでしまえ
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こんな山奥に逃込むとは驚いた女もあるものかな、もしや男と共に谷間へ
投身
(
みなげ
)
でもしたのではあるまいか、どこかそこらの森林で首でも
縊
(
くく
)
って死んだのではあるまいかと思うと、余り
好
(
い
)
い気持はせぬ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
そして一番先にぶつかった柳の木で首を
縊
(
くく
)
っちまうぞ!
富籤
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「首でも
縊
(
くく
)
ろうかってときに、夫婦喧嘩ができるかい」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「奴、今に厭世自殺するぜ、
首
(
くび
)
縊
(
くく
)
ってよ。」
背後
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
「放っておけば大黒屋の亭主は本当に首でも
縊
(
くく
)
るかも知れませんよ。それに、品川小町のお関を見ただけでも、とんだ眼の
法楽
(
ほうらく
)
だ——」
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もしや首でも
縊
(
くく
)
るのかと、提灯を袖に隠しながら抜き足をして近寄ると、それが丸多の主人であったので、おどろいて声をかけました。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
甲州街道は大部分
繃帯
(
ほうたい
)
した都落ちの人々でさながら縁日のようでした。途中で
根
(
こん
)
竭
(
つ
)
きて首を
縊
(
くく
)
ったり、倒れて死んだ者もあります。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「わかっている。まちがえばこの首を、千年杉の
梢
(
こずえ
)
で
縊
(
くく
)
るだけのことだ。……だが心配は無用、わしだって、まだ死にとうない」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縊
漢検1級
部首:⽷
16画
“縊”を含む語句
首縊
縊殺
縊死
見縊
縊死体
縊死者
縊付
縊死人
縊死自殺
縊附
首縊幽霊
首縊松