立歸たちかへ)” の例文
新字:立帰
知らず彦兵衞は金のつるに有り付たりとよろこび勇み望みの荷物を請取うけとりこれあゝしてかうしてと心によろこび我がを指て立歸たちかへり淺草御門迄來懸る處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほかことでもござりませんが、手前てまへ當年たうねんはじめての御奉公ごほうこうにござりますが、うけたまはりますれば、大殿樣おほとのさま御誕生ごたんじやう御祝儀ごしうぎばん、お客樣きやくさまがお立歸たちかへりにりますると
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうしてあたまひやくすりと、桂梅水けいばいすゐとを服用ふくようするやうにとつて、不好いやさうにかしらつて、立歸たちかへぎはに、もう二とはぬ、ひとくる邪魔じやまるにもあたらないからとさうつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此家このいゑをばいゑとおもふべからず、立歸たちかへらるゝものおもふな、つみはおのづからりたるべし、はやて、とあるに、れはあまりのお言葉ことばわれわることあらばなにとて小言こごとたまはぬ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ロレ では、ちゃれ。今日けふ立歸たちかへって、うれしさうにもてなし、パリスどのとの祝言しうげん承諾しょうだくしやれ。明日あす水曜日すいえうびぢゃ。明日あすなんとかして一人ひとりでおやれ、乳母うばをもおなにはかさッしゃるな。
とう/\しろ立歸たちかへ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
あげて悦び涙にくれたりけり又豐島屋十兵衞は有難き仕合せ委細畏まり奉つるとて立歸たちかへりしが此事番頭始めへ相談に及びし處右の女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おもふはれに定操ていさうければにや、ろきこゝろのやるかたもなし、さて松野まつの今日けふことば、おどろきしはわれのみならず竹村たけむら御使者おししやもいかばかりなりけん、立歸たちかへりてくなりしとも申さんに
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
幸ひに早々立歸たちかへりしが靱負は主に對ひ白水翁の方へ參り斯樣々々かやう/\云々也しか/\なりと有し事共物語ものがたりしかば主は驚き白水翁が斯申時はと思ひながら靱負の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
づる大黒傘だいこくがさうへゆきつもるといふもなきばかりすみやかに立歸たちかへりて出入でいり車宿くるまやど名殘なごりなく出拂ではらひて挽子ひきこ一人ひとりをりませねばおどくさまながらと女房にようばう口上こうじやうそのまゝのかへごとらばなにとせんおたくにおあんじはあるまじきに明早朝みやうさうてう御歸館ごきくわんとなされよなど親切しんせつめられるれど左樣さうもならず
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)