直樣すぐさま)” の例文
新字:直様
私は直樣すぐさまどんぶりの蓋を取つておつゆ一滴餘さず掻込んで謝つたが、Z・K氏の機嫌は直りさうもなく、明日出直して來いと私を突き返した。
足相撲 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
さても越前守には紀州より兩臣歸着きちやくにて逐一ちくいち穿鑿せんさく行屆たれば直樣すぐさま沐浴もくよくなし登城の觸出ふれだし有て御供揃ともそろひに及び御役宅おやくたくを出で松平伊豆守殿御役屋敷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れがあんこのたねなしにつていまからはなにらう、直樣すぐさまかけてはいたけれど中途なかたびきやくことはれない、うしような、と相談そうだんけられて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
多分彼は私が乞食ではなくて、好事家かうずかの婦人が自分の黒パンに興味をそゝられたものとでも思つたらしかつた。で、私は彼の家が見えなくなると直樣すぐさま、坐り込んで食べ初めた。
列車が動き出すと共に直樣すぐさま自分は止せばよかつたと後悔した。丁度夕日の悲しく照す品川の入海と水田の間々あひだ/\に冬枯れした雜木の林をば、自分は遣瀬のない心持で眺め遣つた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
にん園丁えんてい直樣すぐさま各自てんで平伏ひれふしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さし無念ははらしたれど今は此地に住居はならじと直樣すぐさま此處を立去たちさり是よりは名を嘉傳次かでんじあらため大坂へ出夫より九州へ赴き所々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はゝさまに直樣すぐさまお出下さるやう、今朝よりのお苦るしみに、潮時は午後、初産なれば旦那とり止めなくお騷ぎなされて、お老人としよりなき家なれば混雜お話しにならず、今が今お出でをとて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
呼出し其方兩人は是より直樣すぐさま紀州表和歌山へ赴き大黒屋源左衞門榎本屋えのもとや三藏の兩人りやうにんを調べ澤の井が宿を尋ね天一坊の身分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はゝさまに直樣すぐさまいでくださるやう、今朝けさよりのおるしみに、潮時しほどき午後ごゞ初産ういざんなれば旦那だんなとりめなくおさわぎなされて、お老人としよりなきいゑなれば混雜こんざつはなしにならず、いまいまでをとて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日けふよりすぐにおまをしまする、敷金しきゝん唯今たゞいまいてまゐりまして、引越ひきこしはこの夕暮ゆふぐれ、いかにも急速きふそくでは御座ござりますが直樣すぐさま掃除さうぢにかゝりたう御座ござりますとて、なん仔細しさいなく約束やくそくはとゝのひぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いろいろのひと鳥渡ちよつとかほせて直樣すぐさまつまらないことつて仕舞しまふのだ、傘屋かさやせんのお老婆ばあさんもひとであつたし、紺屋こうやのおきぬさんといふちゞれつひと可愛かあいがつてれたのだけれど
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あとでいたとき直樣すぐさまかへしにかうとつたら、親父とつさんにあたまから小言こゞとつて其時そのとき泣寢入なきねいり一昨年おととしはそらね、おまへつてるとほ筆屋ふでやみせ表町おもてまち若衆わかいしゆ寄合よりあつ茶番ちやばんなにかやつたらう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)