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益〻
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ますます
ふりがな文庫
“
益〻
(
ますます
)” の例文
「はーて、こいつは
益〻
(
ますます
)
いぶかしい。下谷の
溝店
(
どぶだな
)
で
売卜者
(
ばいぼくしゃ
)
というと、おれにも心当りがあるんだが、そしておまはんは、何という者だね」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伯夷
(
はくい
)
・
叔齊
(
しゆくせい
)
、
賢
(
けん
)
なりと
雖
(
いへど
)
も、
(七三)
夫子
(
ふうし
)
を
得
(
え
)
て
名
(
な
)
益〻
(
ますます
)
彰
(
あら
)
はれ、
顏淵
(
がんえん
)
、
篤學
(
とくがく
)
なりと
雖
(
いへど
)
も、
(七四)
驥尾
(
きび
)
に
附
(
ふ
)
して
行
(
おこなひ
)
益〻
(
ますます
)
顯
(
あら
)
はる。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
かくして、お前は心の
隅
(
すみ
)
に容易ならぬ矛盾と、不安と、情なさとを感じながら、
益〻
(
ますます
)
高く
虚妄
(
きょもう
)
なバベルの塔を登りつめて行こうとするのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
清信が役者一枚絵は元禄以降
正徳
(
しょうとく
)
年中において次第に流行しその後継者たる鳥居派二世の絵師
清倍
(
きよます
)
に至りて
益〻
(
ますます
)
流行を極め
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この大旅行の突発性や無根拠さは、さらに事後の彼を見れば
益〻
(
ますます
)
はっきりする。なるほど彼は
笞刑
(
ちけい
)
の現場を見て幾晩か眠れなかったと告白する。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
しかるにその
後
(
のち
)
の
趨勢
(
すうせい
)
は
頓
(
とみ
)
に一変して貿易市場における信用全く地に落ち、輸出高
益〻
(
ますます
)
減退するの悲況を呈するに至れり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
拝啓、
益〻
(
ますます
)
御清栄奉賀候
(
ごせいえいがしたてまつりそろ
)
。昨晩親方お見えに相成り、建前有之由につき、何卒至急御帰宅
被下度願上候
(
くだされたくねがいあげそろ
)
。先日のことは呉れ呉れも私が悪く、
今更
(
いまさら
)
後悔罷在候
(
こうかいまかりありそろ
)
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
行為的直観的に、ポイエシス的に、我々の自己は
益〻
(
ますます
)
明となるのである。芸術は非論理的と考えられる。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
彼は
益〻
(
ますます
)
神仏にすがつて到頭四国の遍路を
了
(
を
)
へた。その時には眼が余程
好
(
よ
)
く見えるやうになつた。
遍路
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
こうして魔神宗介様は多数の
眷族
(
けんぞく
)
を従えられ、いよいよ
益〻
(
ますます
)
人間に向かって惨害をお下しなされるうち、世はやや
治
(
おさ
)
まって
信長
(
のぶなが
)
時代となりさらに
豊臣
(
とよとみ
)
時代となりとうとう徳川時代となった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
而して本校の学生諸君にして、学に理学に従わんと欲するものは、宜しく
益〻
(
ますます
)
その志想を堅くし、今日の風潮以外に立ち、異日の好菓を収むべし。これ余が諸君に
至嘱
(
ししょく
)
する所なり(大喝采)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
いつ、どこから、だれがこの部屋に
這入
(
はい
)
って来て、自分の留守にいるのだろう。そうした想像の謎の中で、
得体
(
えたい
)
のわからぬ一つの予感が、疑いを入れない確実さで、
益〻
(
ますます
)
はっきりと感じられた。
ウォーソン夫人の黒猫
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
回向
(
えこう
)
、
引導
(
いんどう
)
も型の如くに
執
(
と
)
り行ったが、和尚の顔色は
益〻
(
ますます
)
勝
(
すぐ
)
れず、
土気色
(
つちけいろ
)
のむくみを表わし、
眉間
(
みけん
)
の憂悶は隠しもあえず、全身衰微の色深く、歩く足にも力失せがちな有様がただならなかった。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
妬
(
ねた
)
みと惜しみと
悔恨
(
くやみ
)
との念が一緒になって旋風のように
頭脳
(
あたま
)
の中を回転した。師としての道義の念もこれに交って、
益〻
(
ますます
)
炎を
熾
(
さか
)
んにした。わが愛する女の幸福の為めという犠牲の念も加わった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
梅雨
鬱陶
(
うっとう
)
しき折柄貴家皆々様
益〻
(
ますます
)
御隆盛之段
奉大賀
(
たいがたてまつり
)
候
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
然し二人の愛が互に完全に奪い合わないでいる場合でも、若し私の愛が強烈に働くことが出来れば、私の生長は
益〻
(
ますます
)
拡張する。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
景公
(
けいこう
)
、
諸大夫
(
しよたいふ
)
と
郊
(
かう
)
に
迎
(
むか
)
へ、
師
(
し
)
を
勞
(
ねぎら
)
ひ
禮
(
れい
)
を
成
(
な
)
し、
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
反
(
かへ
)
つて
(三二)
寢
(
しん
)
に
歸
(
かへ
)
る。
既
(
すで
)
にして
穰苴
(
じやうしよ
)
を
見
(
み
)
、
尊
(
たつと
)
んで
大司馬
(
たいしば
)
と
爲
(
な
)
す。
田氏
(
でんし
)
日
(
ひ
)
に
以
(
もつ
)
て
益〻
(
ますます
)
齊
(
せい
)
に
尊
(
たつと
)
し。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
それも、行く程に駆ける程に、
益〻
(
ますます
)
、加速度となって、息をつくまもありませんから、万太郎はわが身の動揺よりも郷士の労苦を気の毒に思っている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時下
(
じか
)
残暑
(
ざんしょ
)
凌
(
しの
)
ぎがたく
候処
(
そうろうところ
)
益〻
(
ますます
)
御清穆
(
ごせいぼく
)
の
御事
(
おんこと
)
と
存上候
(
ぞんじあげそうろう
)
却説
(
さて
)
伯爵様
(
はくしゃくさま
)
折入
(
おりい
)
って
直々
(
じきじき
)
貴殿
(
きでん
)
に
御意得度思召
(
ぎょいえたきおぼしめし
)
に
被在候間
(
あらせられそうろうあいだ
)
明朝
(
みょうちょう
)
九
時
(
じ
)
御本邸
(
ごほんてい
)
へ
御出仕可然
(
ごしゅっししかるべく
)
此段申進候
(
このだんもうしすすめそうろう
)
早々
(
そうそう
)
頓首
(
とんしゅ
)
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その次の朝もみんなが絵を見せあふと、絵のところが
益〻
(
ますます
)
黒くなつて乾いてゐるのに、ただ僕のだけはゆうべから
癢味
(
かゆみ
)
が増して来、それに
痛味
(
いたみ
)
が加はつて絵のところから汁が出はじめた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
浮世絵木板摺の技術は
大津絵
(
おおつえ
)
の板刻に始まり、
菱川師宣
(
ひしかわもろのぶ
)
の板画
及
(
および
)
書籍
挿画
(
さしえ
)
に因りて漸次に熟練し、鳥居派初期の役者絵
出
(
いづ
)
るに及びて
益〻
(
ますます
)
民間の需要に応じ江戸演劇と
相並
(
あいならび
)
て進歩発達せるなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私はその境地にあって必ず何等かの不満を感ずる。そして一歩を誤れば、その不満を
医
(
いや
)
さんが為めに、
益〻
(
ますます
)
本能の分裂に向って
猪突
(
ちょとつ
)
する。それは危い。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
酔ヘバ則チ一世ヲ
睥睨
(
へいげい
)
シ、モシ意ニ
忤
(
もと
)
ルコトアレバ、
輙
(
すなわ
)
チ面折シテ人ヲ
辱
(
はずか
)
シム。
是
(
ここ
)
ヲ以テ
益〻
(
ますます
)
窮ス。シカモソノ志ノ潔ナル世知ル者ナシ。文久二年壬戌十一月二十八日病ンデ江戸
不忍池
(
しのばずのいけ
)
ノ
僑居
(
きょうきょ
)
ニ没ス。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
益
常用漢字
小5
部首:⽫
10画
〻
“益”で始まる語句
益
益々
益田
益子
益州
益満
益益
益穂
益城
益良夫