癲癇てんかん)” の例文
今からかんげえてみるとあの時はヨッポド頭が変テコになっていたんですね。やっぱり地球癲癇てんかんの続きだったかも知れませんでしたがね。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
医師はちょっと滑稽こっけいに感じて、癲癇てんかんといっても、軽兆候が見える程度のものだから、そんなに用心する必要はないと言い残して帰った。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
一時は癲癇てんかんのような症状をつづけたことがあるとか伝えられているから、幾分かその頭脳に故障を来たしていたのかも知れないが
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
第二種(疾病編)疫、痘、ぎゃく、卒中、失神、癲癇てんかん、諸狂(そう性狂、うつ性狂、妄想狂、時発狂、ヒステリー狂等)、髪切り病、恙虫つつがむし
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それは一種特別な奇妙な叫び声ではあったが、もうずっと前から聞き覚えのある癲癇てんかん持ちが発作を起こして卒倒する時の叫び声であった。
私の脳髄の金的きんてきを射貫いてしまったものか、それ以後げんざいまで続いて、私は実に異様な、いまわしい癲癇てんかん持ちみたいな男になりました。
トカトントン (新字新仮名) / 太宰治(著)
診断の結果医者は、『癲癇てんかんですです』といい、なかなか業病で時々ところきらわず発作するのだがそのまま死ぬものではない。
成善の生れた時、岡西玄庵が胞衣えなを乞いに来た。玄庵は父玄亭に似て夙慧しゅくけいであったが、嘉永三、四年の頃癲癇てんかんを病んで、低能の人と化していた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そのまま、癲癇てんかんのように口からあわをふいてうめいているのを、焼跡の軍夫が見つけて、附近の官軍の小隊へらせに走った。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以てはかる時は君子と雖も計り得るにやすしとかや扨も山田元益げんえきはお光の婚姻こんれいさまたげるため此小西屋の店へ來り癲癇てんかんなるよし餘所ながらはなし出せば主個あるじ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今われわれが物語ってるような戦いは、理想を求むる一つの痙攣けいれんにほかならない。束縛されたる進歩は病いを得て、かかる悲壮な癲癇てんかんの発作をなす。
「いや、結果は充血でなくて、反対に脳貧血を起すのだよ。おまけに、グリージンゲルという人は、それに癲癇てんかん様の痙攣けいれんを伴うとも云っているんだ」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ところで、いったいこの婚約は単なる囈語のために破られたのでしょうか、それとも癲癇てんかん発作ほっさのためでしょうか。
そしてこうも書いてあった。「われわれはこういう癲癇てんかん持ちどもにはもうたくさんだ。われわれは秩序であり、理性であり、古典的均衡である……。」
その手足は癲癇てんかんの発作を今にも起こそうとしている人のように、ぴりぴりと引きつってきた。その口のあたりの相貌はみにくくゆがんで、固くなっていた。
癲癇てんかんか何かの発作がおこつて、一時意識を失いそのまま溺死したのかも知れない状態にあるので、今や医師の供述、観察は非常に重大なものとなつて来た。
殺人鬼 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
「あたし、この話をするときは癲癇てんかんが起るのよ。あなた、あたしの身体からだが後ろへ反らないように抱いててよ。」
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ただし、われわれのある者は、死者が癲癇てんかんあるいは痙攣のごとき疾病を有するものと思考し、一同も同感なり。
ツルゲニェフ以上の芸術家として、有力なる方面の尊敬を新たにしつつあるドストイェフスキーには、人の知るごとく、小供の時分から癲癇てんかん発作ほっさがあった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大徳屋の一人娘下谷小町と言われたお菊さんは、父親の手一つで育ったが、何の因果か二つのやまいがあった。一つは癲癇てんかんで、一つは——これは言わない方がいい。
癲癇てんかんや常習的酒呑みには結婚をさせぬとかいうごとき規則の設けてあるところがすこぶる多い。
民種改善学の実際価値 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
たもとを分かったのだったが、例の癲癇てんかんもちの稲次の穴埋めに、オーロラの見えるという豊原からやって来た染福は、前身が人のめかけであり、てられて毒を仰いで死にきれず
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
敗れた埃及軍を追うて、いにしえ白壁しらかべの都メムフィスに入城した時、パリスカスの沈鬱ちんうつな興奮はさらに著しくなった。癲癇てんかん病者の発作ほっさ直前の様子を思わせることもしばしばである。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
労働者のクラブには衛生陳列室があって、性病とその遺伝の害悪を模型や図解で示し、肺病、癲癇てんかん、アルコール中毒等についても若者たちの具体的、日常的要心を喚起している。
花のたより (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
外に物欲しげな人間が見ているのを、振り返ってもみずに、面白げに飲んだり食ったりしゃあがる。おれは癲癇てんかん病みもやってみた。口にシャボンを一切入れて、くちびるから泡を吹くのだ。
橋の下 (新字新仮名) / フレデリック・ブウテ(著)
そして癲癇てんかんのような烈しい発作は現われなくなった。もし母が昔の女の道徳にとらわれないで、真の性質のままで進んでいったならば、必ず特異な性格となって世の中に現われたろうと思う。
私の父と母 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
更に又全ヨオロツパを挙げて十字軍に加はらせたのも、——しかしそれは「文芸的な、余りに文芸的な」問題ではないかも知れない。癲癇てんかんは古来「神聖な病」と云ふ名を与へられてゐる。
当時の菰田家のあるじというのは、癲癇てんかんの持病を持っていて、それがこうじて、少し前に一度死を伝えられ、附近の評判になった程の立派な葬式さえいとなんだのですが、それが、不思議にも生き返って
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼は益々強慾がうよくになり貸金の回収手段の非道ひどさは随分泣かされてゐる人間も多く、家作も次々に建てたが、最近手を出した製氷所が失敗して、癲癇てんかんになつたのも積悪の報だらう、と云ふ噂を聞いた。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
大方滝太郎様にやられたんでしょう、可い気味だ、ざまあ! はははは。やあ、苦しがりやあがって、島野さんの首っ玉へかじりついた。あの人がまた、血を見ると癲癇てんかんを起すくらい臆病おくびょうだからね。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
恰度癲癇てんかんの様な痙攣を起し、その痙攣中に一時意識を失うのだ。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
癲癇てんかんでしょう? 泡を吹いています」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
長「へえ五時いつゝ前に癲癇てんかんが起りましたえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「へえ……あの、癲癇てんかんでございます」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こじきの癲癇てんかんだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
こうしてベシイ・コンスタンス・アニイ・マンディは、入浴中の「癲癇てんかんの発作」で、裸体という失礼な風俗のまま見事に昇天してしまった。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
長い癲癇てんかんの発作でございますよ、おっそろしく長い発作なのですよ、幾時間も、いえ、ことによったら、一日も二日も続くかもしれません。
癲癇てんかんなら差詰さしづめ地球癲癇だったのでしょうが、そんなオボエは毛頭なかったんで……自分でも、おかしいと思いましたよ。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
幼少の頃の友矩には、癲癇てんかんのような持病があって、この老人には、そんな世話をやかせた事だの、寝小便の癖までを、知り抜かれているからである。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敗醤〔オミナエシ〕科の薬用植物で、癲癇てんかん、ヒステリー痙攣けいれん等に特効あるため、学者の星と云われる木星の表徴とす。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
玄亭の長男玄庵はかつて保の胞衣えなを服用したという癲癇てんかん病者で、維新後間もなく世を去った。次男がこの養玄で、当時氏名をあらためて岡寛斎おかかんさいといっていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
呼入よびいれ今の次第和吉が來りし事よりして斷りたるは癲癇てんかんと云ふらしたる元益が所爲しわざよること是はまた家主庄兵衞が戀慕れんぼに出で云々かく/\なりし一一什しじふ委敷くはしくかたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「全く天才だ」と云う東風君について「全く癲癇てんかんだ」と迷亭君がつけた。主人は「早く弾いたらよかろう」と云う。独仙君は困ったものだと云う顔付をする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大徳屋の一人娘下谷小町と言はれたお菊さんは、父親の手一つで育つたが、何んの因果いんぐわか二つのやまひがあつた。一つは癲癇てんかんで、一つは——これは言はない方が宜い。
医学部門 人体異状、癲癇てんかん、ヒステリー、諸狂、仙術、妙薬、食い合わせ、マジナイ療法の類
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
近頃烏森からすもりから住み替えて来た、あだっぽいところでよく売れる癲癇てんかんもちの稲次、お神が北海道時代にもらって芸者屋に預けておいた養女の梅福、相撲すもうの娘で小粒できりりとしたおしゃくの小福
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
オルガは昨夜、急に癲癇てんかんの発作を起して彼の手首に爪を立てたのだ。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
癲癇てんかん病みの喜どん
それにあの男の作は癲癇てんかんみの譫語うわことに過ぎない。Gorkiゴルキイ は放浪生活にあこがれた作ばかりをしていて、社会の秩序を踏み附けている。これも危険である。
沈黙の塔 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「なんともないのか。今、叔父御が駆けこんで来て、お前が癲癇てんかんを起してひッくり返っている、大変だぞ、直ぐ行ってみろ、といわれて仰天して見にきたのだが」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)