療治りょうじ)” の例文
電柱でんちゅうに、「ほねつぎもみ療治りょうじ」と看板かんばんのかかっているところから、路次ろじがると、たりに表側おもてがわ西洋造せいようづくりにした医院いいんがあります。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねがわくはだ、きみ、どうぞ一つ充分じゅうぶんかれしんじて、療治りょうじせん一にしていただきたい。かれわたしにきっときみ引受ひきうけるとっていたよ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
古河市五郎は療治りょうじが届かないで、三月末に死んだ。四月になっても、多々良村では海馬の噂がまだやまない。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
のみならず次第に衰弱する。その上この頃は不如意ふにょいのため、思うように療治りょうじをさせることも出来ない。聞けば南蛮寺なんばんじの神父の医方いほう白癩びゃくらいさえ直すと云うことである。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
してこの類の病気には信仰がいちじるしく功をそうしたろうけれども、黴菌ばいきんから起こる病いのごときに至っては、宗教が入りんではかえって療治りょうじ邪魔じゃまになることが多い。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
いよいよ腸窒扶斯に違いない、本当に療治りょうじしなければ是れは馬鹿にならぬ病気であるとう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その人はたいそううでのある人だけれどもだんだんに目が悪くなって、早く療治りょうじをしないとめくらになって画家をはいさねばならなくなるから、どうか金を送って医者に行けるようにしてやりたい。
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
医者いしゃというお医者いしゃ行者ぎょうじゃという行者ぎょうじゃあつめて、いろいろ手をつくして療治りょうじをしたり、祈祷きとうをしたりしているが、一向いっこうにしるしがえない。それはそのはずさ、あれは病気びょうきではないんだからなあ。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
呂昇は無頓着に三絃取ってしゃに構え、さっさと語り出した。咽喉のどをいためて療治りょうじ中だと云うに、相変らず美しい声である。少しは加減して居る様だが、調子に乗ると吾を忘れて声帯せいたいふるうらしい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今の白痴ばかも、くだんの評判の高かった頃、医者のうちへ来た病人、その頃はまだ子供、朴訥ぼくとつな父親が附添つきそい、髪の長い、兄貴がおぶって山から出て来た。脚に難渋なんじゅう腫物はれものがあった、その療治りょうじを頼んだので。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よ。こんな気のなげ療治りょうじなんかを待っていられるものか
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで内供は日毎に機嫌きげんが悪くなった。二言目には、誰でも意地悪くしかりつける。しまいには鼻の療治りょうじをしたあの弟子の僧でさえ、「内供は法慳貪ほうけんどんの罪を受けられるぞ」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かくてイワン、デミトリチは宿やどかりることも、療治りょうじすることも、ぜにいので出来兼できかぬるところから、幾干いくばくもなくして町立病院ちょうりつびょういんれられ、梅毒病患者ばいどくびょうかんじゃ同室どうしつすることとなった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
死灰再燃しかいさいねん、人も同様、身体が弱れば食物しょくもつを変えたり、転地療治りょうじをしたり、温泉にゆあみしたりして健康を回復するが、住居も変えず、居ながらにして心的境遇を一変する方法もあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おじいさん、うたをうたうからすというようなものは、めったにあるものでありません。きっとこれをったら、いいかねになります。あなたは、そのかね療治りょうじをなさったらいかがですか。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
『別府の温泉まで、療治りょうじにお連れするんです』
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうしてそれからうちあたたか閑静かんせい書斎しょさいかえって……名医めいいかかって頭痛ずつう療治りょうじでもしてらったら、ひさしいあいだわたくしはもうこの人間にんげんらしい生活せいかつをしないが、それにしてもここはじつにいやなところだ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「これは、ほんとうにいいところだ。」と、すずめはおもいました。もの心配しんぱいもなく、にはいって、療治りょうじをするうちに、はねきずもだんだんになおって、まったく健康けんこうからだとなったのであります。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)