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なまみ
ふりがな文庫
“
生身
(
なまみ
)” の例文
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
りやあ
生身
(
なまみ
)
をぐつ/\
煮着
(
につ
)
けたのだ、
尾頭
(
をかしら
)
のあるものの
死骸
(
しがい
)
だと
思
(
おも
)
ふと、
氣味
(
きみ
)
が
惡
(
わる
)
くツて
食
(
た
)
べられねえツて、
左樣
(
さう
)
いふんだ。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は、丁度、濡れそぼたれた獣同志が、互に身を寄せて暖め合うような、
生身
(
なまみ
)
の愛と憎と惨めさを感じずには居られないのである。
無題
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
生身
(
なまみ
)
に匕首を突刺されて、叫び声一つたてぬ筈がない、これはその時すでに完全に死んでいた証拠さ、それには一寸毒殺以外にない
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それがほんとうの
生身
(
なまみ
)
であり、生身から
滴
(
したた
)
らす粘液がほんとうの苦しみからにじみ出たものである事は、君の詩が証明してゐる。
月に吠える:02 月に吠える
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それがほんとうの
生身
(
なまみ
)
であり、生身から
滴
(
したた
)
らす粘液がほんとうの苦しみからにじみ出たものである事は、君の詩が証明してゐる。
月に吠える:01 序
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
いはば私が、大理石の肉体から次第に
生身
(
なまみ
)
の人間になつて行く歴史がはじまる。しかしその変化は直ぐにはやつて来なかつた。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
それは平手か、コブシかわからないが、とにかく
生身
(
なまみ
)
の柔らかい手で、コンクリートの壁をポトポトとたたく音であった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、それを覆う千古の氷雪と、大氷河の
囲繞
(
いにょう
)
。とうてい五百マイルの旅をして核心を衝くなどということは、
生身
(
なまみ
)
の人間のやれることではない。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
身は
桑門
(
そうもん
)
となるまでも
生身
(
なまみ
)
の大黒天と崇め奉らんと企つる内、
唐穴
(
からっけつ
)
になって下山しとうとう走り大黒を拝まなんだ。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「それは君、お互
生身
(
なまみ
)
の人間だ。機械とは違うんだから、半期に二日や三日の欠勤は不可抗力じゃなかろうか?」
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
鮭の脂と塩気とがいゝ塩梅に飯に滲み込んで、鮭は却って
生身
(
なまみ
)
のように柔かくなっている工合が何とも云えない。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ほら、あれを見たか。あれが、叩きつける“椅子”じゃ。あれでは硬い壁に叩きつけられて、
生身
(
なまみ
)
の人間は一たまりもあるまい。
可哀
(
かわい
)
そうに死んだか」
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
体質の弱い人間が
生身
(
なまみ
)
に墨や朱を
注
(
さ
)
すと、生命にかゝわると昔からきまっているんだから、どうにも仕様がない。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「まずあの女もこっちのものだ。
生身
(
なまみ
)
を
賞翫
(
しょうがん
)
した上に、いや応なしに献金させる。悪くないなア、おれの商売は」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いや、あの人は軽々しく偶像のために、それこそ神から与えられた
生身
(
なまみ
)
をむなしく犠牲にするような愚かなまねはしないであろう。——そして、そうだ。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
大日向教は、人間の心の病ひをなほさうと云ふ心願のもとに生れたのです。
生身
(
なまみ
)
の躯を
診
(
み
)
る医者はあつても、精神を診て慰めてくれる医者はありません。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
竹光で外から搜つて、三度目に致命的な突きをくれるといふのは、
生身
(
なまみ
)
の人間を相手には出來ないことです。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
生身
(
なまみ
)
の体はいつどんなことがあるか知れないで、それで
私
(
わし
)
が言わないことじゃなかった。いい加減に締っておくだったい。」と、母親は弟に
怨
(
うら
)
みを言った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ふざけちゃあいけねえぜ、米友様だってこれ、
生身
(
なまみ
)
を持った
身体
(
からだ
)
だ、飛道具でやられてたまるかい。ムク、こうしちゃあいられねえぞ、
俺
(
おい
)
らに続け、
合点
(
がってん
)
か」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
食われる物がわれわれの
生身
(
なまみ
)
を支持し、もしくはわれわれの精神生活を鼓舞する糧となるのでなくて、われわれのうちに巣くう蛆虫の食い物となる場合である。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
またとらえられたいっぴきの
縞鯛
(
しまだい
)
が人魚の食膳にのぼりました。ほくそ
笑
(
え
)
んでむしゃむしゃと
生身
(
なまみ
)
の魚をかじる人魚の口は、耳まで裂けているようにみえました。
人魚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
いや堪え難いのみでなく、
生身
(
なまみ
)
の体だ、その苦痛に
克
(
か
)
ちきれなくなって、この口から、万一にも、勤王方の不利なこと一点でも洩らしたら
愧死
(
きし
)
しても足りないことだ。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いずれにしても、肉を
生身
(
なまみ
)
で食うのが一番
美味
(
うま
)
いのだから、
素人
(
しろうと
)
は皮だの腸だのは食わなくてもよい。しかし、頭肉、
口唇
(
こうしん
)
、雄魚の
白子
(
しらこ
)
は美味いから、ちりにして味わうべきだ。
河豚は毒魚か
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
、いくら上手におつしやつたつて、あたしの胸に、ぴんと来ないから、いや……。あたしは、たかだか女よ。
生身
(
なまみ
)
の女よ。一度失つたものは、もう取り返すことのできない、あわれな女よ
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
『
興福寺濫觴記
(
こうふくじらんしょうき
)
』という本は信用のできるものではあるまいが、その中に次のようなことを伝えている。——北天竺
乾陀羅
(
ガンダーラ
)
国の見生王は
生身
(
なまみ
)
の観世音を拝みたくて
発願入定三七日
(
ほつがんにゅうじょうさんしちにち
)
に及んだ。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「ますます手厳しいな、こっちも
生身
(
なまみ
)
の躯だぜ」
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
生身
(
なまみ
)
の
肌
(
はだへ
)
をいたはりつつ
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
然しそれは真珠貝の
生身
(
なまみ
)
が一顆小砂に
擦
(
す
)
られる痛さである。痛みが突きつめれば突きつめるほど小砂は真珠になる。
月に吠える:02 月に吠える
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
然しそれは真珠貝の
生身
(
なまみ
)
が一顆小砂に
擦
(
す
)
られる痛さである。痛みが突きつめれば突きつめるほど小砂は真珠になる。
月に吠える:01 序
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
マストの一本も捻じ倒されたらしく、
生身
(
なまみ
)
の骨をちぎりとるような音と、シンバルを打つような甲板に突きあたる音が、船室にいた英夫たちをおどろかした。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そしてあらゆる夢と希望を矢ひ、優越感を
泥土
(
でいど
)
に委し、はじめて
生身
(
なまみ
)
になつた自分を意識した。……
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
それで
生白
(
なまじろ
)
い色をして、
蒼
(
あお
)
いものもあるがね、煮られて皿の中に横になった姿てえものは、
魚々
(
さかなさかな
)
と
一口
(
ひとくち
)
にゃあいうけれど、考えて見りゃあ
生身
(
なまみ
)
をぐつぐつ
煮着
(
につ
)
けたのだ
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そうです、人造人間です。ですから、毒瓦斯を吸って死んだマリ子は、にせ者のマリ子にちがいありません。そして、そいつは、
生身
(
なまみ
)
の人間でしょう。いま、よく調べてみます」
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あるいは
生身
(
なまみ
)
を
鉄鎖
(
てっさ
)
につなぎ、
開封
(
かいほう
)
の都まで差立てましょうや、この一事も至急お使いをつかわし、お父君の大臣府へ伺いを立てれば、お父君も大そう面目をほどこし、かつまた
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東側から
地形
(
じぎょう
)
は棟の上端までは二十四間三尺二寸七分あるから、いくら米友の身が不死身に出来ているからといって、もともと
生身
(
なまみ
)
を持った人間のことだ、この高さから下へ落ちては
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そやけど、あの散らしには魚の
生身
(
なまみ
)
が這入ってえへなんだよってに、………」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは、剣もこぼれるというジーグフリードの
身体
(
からだ
)
に、どこか一個所、
生身
(
なまみ
)
と異ならぬ弱点があるからだ。それを知ろうと、ハーゲンはクリームヒルトをたぶらかし、聴きだすことができた。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
幸ひその間は戰爭つゞきで、あわただしく過してゐたせゐもあつて、別に
生身
(
なまみ
)
な男の淋しさと云ふものを味はつた事はなかつた。さうしたきざしがあれば、酒を飮んでうさをごまかしてもゐた。
崩浪亭主人
(旧字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「當り前さ、俺は親から貰つた
生身
(
なまみ
)
を汚すことなんか大嫌ひだよ」
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
生身
(
なまみ
)
素肌
(
すはだ
)
の神の如
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
また後醍醐のきみとて、
生身
(
なまみ
)
でおわすからには、
不予
(
ふよ
)
のお
病気
(
わずらい
)
や万一などもないとは限らん。そのたびには、尊氏を憎む者から、この尊氏はあらゆるむじつの疑いと悪逆の名をかぶせられよう。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生身
(
なまみ
)
のお
浦
(
うら
)
だか、
像
(
ざう
)
の
女
(
をんな
)
だか、
分別
(
ふんべつ
)
も
着
(
つ
)
かないくらゐ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
看経
(
かんきん
)
二タ
刻
(
とき
)
、巧雲は、御本尊の地蔵
菩薩
(
ぼさつ
)
までが、いつかしら
裴如海
(
はいにょかい
)
の色白な顔に見えてきて、るると乱れる香煙の糸も
妖
(
あや
)
しく、心は故人の
願解
(
がんほど
)
きどころか、わが
生身
(
なまみ
)
の
願結
(
がんむす
)
びで、うつつはなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“生身”の解説
生身(しょうじん、しゃうじん、しゃうしん、さうじみ)とは、生まれながらの身体を言う。父母から生まれた身体一般を指し、釈迦の肉体を意味し、仏像の対語として用いられる。
のちに、特に仏・菩薩が衆生を救済するために化現(けげん)する化身(けしん)としての身体と同一視される。
(出典:Wikipedia)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生垣
生物
生温
生死