ゐのしゝ)” の例文
ゐのしゝきばこさへました、ほんにさいでござります、御覧ごらうじまし。』と莞爾々々にこ/\しながら、てのひららしてせたところを、二人ふたり一個ひとつづゝつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
繩をかけて、足の裏を見ると、丁度土踏つちふまずのあたりに、ほんの一寸五分ばかりの小さいゐのしゝ文身ほりものしてあつたのです。
それからして石器時代せつきじだい人間にんげんかひさかなほかに、おもゐのしゝだとか鹿しかだとかをりして食料しよくりようにしてゐたことがられます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そこにはゐのしゝかれて死すべき者が、貨幣かね模擬まがへを造りつゝ、センナのほとりもたらすところのうれへ見ゆべし 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ゐのしゝきば犬齒けんし發達はつたつしたもので、このきば獲物えものっかけたり、てきふせいだりします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
藁屑と泥にまみれてぼやきつゝゐのしゝの口うごめきあさる
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
巳之吉の蛇が腹に卷き付いて居るのをして、亥太郎のゐのしゝは足の裏にあるに相違ないといふ結論に到達したのでした。
いてストンと貴女あなたくつうらかへしてげた、げるとるとはやこと!……卷狩まきがりゐのしゝですな、踏留ふみとまつた學生がくせい突退つきのけて、眞暗まつくら三寶さんばう眞先まつさき素飛すつとびました。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うまほか動物どうぶつぞうには、うしだとかさるだとかゐのしゝだとか、またかもにはとりなどもあり、なか/\面白おもしろいです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
獵師などが山狩の時持つて行くやつ、重くて物凄くて、ゐのしゝなどを一と突きする道具、これで頸動脈けいどうみやくをやられては、獰猛極まる銀之助も、一とたまりも無かつたでせう。
とき、おうらくちびるひらいて、そうおとしたとふ、ゐのしゝきばさい自分じぶんくちふくんでた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから、これら骨角器こつかくきによつてけだもの種類しゆるい調しらべてますと、たいていゐのしゝ鹿しかのものであることがわかり、また貝塚かひづかからほねつのるいても、やはりゐのしゝ鹿しかおもなるものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これだけはたしかで御座います、十二支組の殘黨で、生き殘つて居るのが、鼠の文身をして居るお珊と、蛇の文身をして居る巳之吉みのきちと、ゐのしゝの文身をして居る亥太郎ゐたらうと三人だけですが、その三人が
ゐのしゝまぐろへ出刄庖丁を抛つた話は聞かないな、ハツハツハツ」