)” の例文
綺麗なのが不仕合せ——不思議な言葉ですが、封建的にり堅めたやうな江戸時代には、さう言つた例も少なくなかつたのです。
そのお疵へ何かりぐすりのようなものをぬって、もうひとりの黒装束は、さらし布でその疵をおつつみしようとしているのでございます。
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
本邦で蛇の脱皮ぬけがらで湯を使えばはだ光沢を生ずと信じ、『和漢三才図会』に雨に濡れざる蛇脱へびのかわの黒焼を油でって禿頭はげあたまに塗らば毛髪を生ずといい
あの黒方くろほうと云う薫物たきもの、———じんと、丁子ちょうじと、甲香こうこうと、白檀びゃくだんと、麝香じゃこうとをり合わせて作った香の匂にそっくりなのであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
よくれたと思う時分に火から卸してパイ皿があれば結構ですし、なければブリキ皿へバターを敷いて今のジャガ芋を半分ほど下へ敷きます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
り餌をやると、自分たち同類の鳥が巣を作る、至極あつらえ向きの捏土こねつちだと思いこんで、ただ本能的にその上にうずくまる。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
醫者いしや爼板まないたのやうないたうへ黄褐色くわうかつしよく粉藥こぐすりすこして、しろのりあはせて、びんさけのやうな液體えきたいでそれをゆるめてそれからながはさみ白紙はくしきざんで
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うちへ帰っての毒薬を水飴の中へ入れてって見たが、思うようにいけません、どうしても粉が浮きます、綺麗な処へ礜石よせきの粉が浮いて居りますので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
竹串に刺してり焼きにするのがいちばんうまいのだとか、おとなびた口ぶりで話し続けながら、焼けてくる魚に塩を振りかけたり、幾たびも裏表を返したりした。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼は心胆しんたんるため、毎夜、細糸を以って白刃を天井につるし、その下に眠るのを常としたという。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日から清吉は父親と仕事場に並んで蝋をっては人形の形を造って見るが、うも自分がかつて東京にいて見たような西洋の蝋人形のようにはうまく行かなかった。
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大きな乳鉢にゅうばちでつなぎになる薬を入れ——ヒヨスもはいったようでした——乳鉢でり合せ、お団子くらいのよいほどの固さになった時、手に少し油を附けて、両手でんで
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
昌黎しやうれいまこととせず、つまびらか仔細しさいなじれば、韓湘かんしやうたからかにうたつていはく、青山雲水せいざんうんすゐくついへ子夜しや瓊液けいえきそんし、寅晨いんしん降霞かうかくらふ。こと碧玉へきぎよく調てうたんじ、には白珠はくしゆすなる。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たたきには、卵をどっさりいれてよくり合わせないと、うまくない。卵を節約したに違いない。へんに饂飩粉うどんこくさいじゃないか。なってないねえ。やっぱり田舎だ。まあ、仕様が無い。食おう。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
第百三十六 オムレツの三 前のものよりモット上等にすると玉子の黄身ばかりへ少し塩を加えてよくよくって
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
支那でも初至の天癸から紅鉛を製し、童男女の尿より秋石をり、また新産児の胞衣えなを混元毬など尊称して至宝となし、内寵多き輩高価に求め服して身命をうしのうた例、『五雑俎』等に多く見ゆ。
丁寧ていねいにすればその肉を肉挽器械にくひききかいで挽いてバターと塩と溶き芥子と外に細かく刻んだ玉葱でもぜて少しるようにしてパンの間へ挟むとようございます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今日書物で読んでさも自分がり出したように、科学の学識のと誇る事どもも皆過去無数こうの間不文の衆人が徐々に観察し来った功績の積もった結果だから、読書しない人の言を軽んずべきでなく
ぬか六合に塩四合を白水しろみずってその中へ鰯を漬けて圧石おしをして二日ばかり過ぎてのち糠を洗って酢で食べてもよいしいてもよし、野菜と一緒に煮てもようございます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それから木の杓子しゃくしで休みなくまわしてるようにするのですがこれがむずかしいもので随分骨が折れます。段々と煉っているとちょうど生麩なまぶのようになって来てブツリブツリと中が泡立ちます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
○南京豆の豆腐は摺った南京豆一杯と上等葛一杯と水五、六杯の割にてよく交ぜ合せて鍋に入れ、火にかけて充分にり、四角な器に入れ冷し、これを葛の餡掛あんかけにしてもよし、酢味噌にしてもよし。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あれには先ず兜鉢かぶとばちのようなものへバターを大匙に五杯取りまして上等のお砂糖を大匙に五杯入れて玉子廻しの器械でよく泡立てるようにります。バターと申しても匂いのあるバターではいけません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)