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無手
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むず
ふりがな文庫
“
無手
(
むず
)” の例文
雨戸を一枚
蹴開
(
けひら
)
いて、其儘
朧銀
(
おぼろぎん
)
の夜の庭へ、怪鳥の如く飛降りるのを待つてましたとばかり、下から
無手
(
むず
)
と飛付いたものがあります。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彌次馬の聲援、畢竟は我が味方と、芳は勇み立つて、
無手
(
むず
)
と對手の襟髮を掴むや、
馬手
(
めて
)
の下駄は宙を飛んで、その
頬桁
(
ほほげた
)
を見舞はんとす。
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
言畢
(
いひをは
)
つて、
肩
(
かた
)
に
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
け、
雪
(
ゆき
)
なす
胸
(
むね
)
に
毛
(
け
)
だらけの
手
(
て
)
を
無手
(
むず
)
と
置
(
お
)
き、
横
(
よこ
)
に
掴
(
つか
)
んで、ニタ/\と
笑
(
わら
)
ふ。……と
婦
(
たぼ
)
も
可厭
(
いと
)
はず、
項
(
うなじ
)
も
背
(
せな
)
も
靡
(
なび
)
いて
見
(
み
)
える。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それはイガ栗頭の黒木繁であったが、毛ムクジャラの両腕を引き曲げて、寝巻の胸に沈み込んだメスの柄を、品夫の右腕と一緒に
無手
(
むず
)
と掴んだ。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ひょろひょろ
転
(
ころ
)
げかけるところを
無手
(
むず
)
と私の
襟
(
えり
)
をひっ
捉
(
つか
)
まえて、まるで
賽
(
さい
)
の
磧
(
かわら
)
の子供が鬼にふん
捉
(
づか
)
まえられて行くような具合に、柵外へ
掴
(
つか
)
み出されてしまった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
床前の白綸子の
褥
(
しとね
)
に僧形の三斎は、
無手
(
むず
)
と坐って、
会釈
(
えしゃく
)
も無く、
閾際
(
しきいぎわ
)
に遠慮深く坐った平馬と、その傍に、膝こそ揃えているが、のほほんと、目も伏せていない
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
たちまち武男は
無手
(
むず
)
とわが手を握られ、ふり仰げば、涙を浮かべし片岡中将の双眼と
相対
(
あいむか
)
いぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
お銀様が驚いて飛び上ろうとするのを、主膳は
無手
(
むず
)
と押えてしまいました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
脱けても知らずに口を
開
(
あ
)
いて、小さな舌を出したなりで、一向正体がない……其時忽ち
暗黒
(
くらやみ
)
から、
茸々
(
もじゃもじゃ
)
と毛の生えた、節くれ立った大きな腕がヌッと出て、正体なく寝入っている所を
無手
(
むず
)
と
引掴
(
ひッつか
)
み
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そをやう/\に
堪
(
た
)
へ忍びて、心も危ふく
御酌
(
おしゃく
)
に立ち候ひしに、御盃の数いく程も無きうちに、
無手
(
むず
)
と妾の手を
執
(
と
)
り給ひつ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二つ、三つ、五つ、曲者は額と頤と、
掌
(
てのひら
)
を打たれひるむところを、力自慢の八五郎が、後から
無手
(
むず
)
と組み付いたのです。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
婦人
(
おんな
)
は
右手
(
めて
)
を
差伸
(
さしのば
)
して、
結立
(
ゆいたて
)
の
一筋
(
ひとすじ
)
も乱れない、お辻の高島田を
無手
(
むず
)
と
掴
(
つか
)
んで、づツと立つた。手荒さ、
烈
(
はげ
)
しさ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いうより早く隣席にありし武男が手をば
無手
(
むず
)
と握りて二三度打ちふりぬ。同時に一座は総立ちになりて手を握りつ、握られつ、皿は二個三個からからとテーブルの下に
転
(
まろ
)
び落ちたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
其處にマゴマゴして、追ひ詰められた鼠のやうに、逃げ路を搜して居た彌吉は、ガラツ八の手に
無手
(
むず
)
と
襟髮
(
えりがみ
)
を掴まれたことは言ふ迄もありません。
銭形平次捕物控:176 一番札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と叫んで椅子から跳ね起きて、
颯
(
さっ
)
と頬を染めながら私を突き
除
(
の
)
けて逃げ出そうとした。その右手を私は
無手
(
むず
)
と捕えた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
好接異客
(
このんでいかくにせつす
)
、は
可
(
い
)
いが、お
追從連
(
つゐしようれん
)
を
眼下
(
がんか
)
に
並
(
なら
)
べて、
自分
(
じぶん
)
は
上段
(
じやうだん
)
、
床
(
とこ
)
の
前
(
まへ
)
に
無手
(
むず
)
と
直
(
なほ
)
り、
金屏風
(
きんびやうぶ
)
に
御威光
(
ごゐくわう
)
を
輝
(
かゞや
)
かして、
二十人前
(
にじふにんまへ
)
の
塗
(
ぬり
)
ばかり
見事
(
みごと
)
な
膳
(
ぜん
)
、
青芋莄
(
あをずゐき
)
の
酢和
(
すあへ
)
で、どぶろくで
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
吾
(
われ
)
を忘れて立上った。爪先走りに切戸の
傍
(
かたわら
)
に駈け寄って、白木の膳を差入れている、赤い、丸々と肥った女の腕を
狙
(
ねら
)
いすまして
無手
(
むず
)
と引っ掴んだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
馬場要は
無手
(
むず
)
と膝を掴みました。もう一言言ひ過ぎたら、平次を拔き討ちにやつ付けたかも知れません。
銭形平次捕物控:050 碁敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
百人長は
毛脛
(
けずね
)
をかかげて、李花の腹部を
無手
(
むず
)
と
蹈
(
ふ
)
まへ、ぢろりと
此方
(
こなた
)
を
流眄
(
しりめ
)
に懸けたり。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
八五郎はその前へ、火鉢を挾んで
無手
(
むず
)
と坐りました。女と差向ひになると、妙に固くなる八五郎です。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
鷹揚
(
おうやう
)
に、
然
(
しか
)
も
手馴
(
てな
)
れて、
迅速
(
じんそく
)
に
結束
(
けつそく
)
し
果
(
は
)
てた
紳士
(
しんし
)
は、
其
(
そ
)
の
爲
(
ため
)
に
空
(
むな
)
しく
待構
(
まちかま
)
へて
居
(
ゐ
)
たらしい
兩手
(
りやうて
)
にづかりと
左右
(
ひだりみぎ
)
、
其
(
そ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
の、
頸上
(
えりがみ
)
と
思
(
おも
)
ふあたりを
無手
(
むず
)
と
掴
(
つか
)
んで
引立
(
ひつた
)
てる、と
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
無手
(
むず
)
と私の両手を掴みながら、抱き寄せるようにして湯の中から引っぱり出した。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お富は繩を打たれないばかり、八五郎に
無手
(
むず
)
と腕を押へられて、ツイ艶めかしい悲鳴をあげるのです。
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と眼を丸くして見上げ見下ろす祖父の手首を与一は両手で
無手
(
むず
)
と掴んだ。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
石地蔵
(
いしじぞう
)
が
無手
(
むず
)
と
胡坐
(
あぐら
)
してござります。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八五郎は
疾風
(
しっぷう
)
の如く飛んで行くと、畑を突っきって逃げて行く男の後ろから、
無手
(
むず
)
と組みつきました。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
肩を
無手
(
むず
)
と取ると
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
不意に、木戸に隱れて居たガラツ八、飛出さうとする清次の後ろから、
無手
(
むず
)
と組み付きました。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘お駒の視線に追はれて、パツと逃出した男は、八五郎の
糞力
(
くそぢから
)
に
無手
(
むず
)
と組付かれました。
銭形平次捕物控:173 若様の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その後ろから
無手
(
むず
)
と組付いたのは、ガラツ八の八五郎でなくて誰であるものでせう。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
咄嗟
(
とつさ
)
の間に、飛出さうとする女は、八五郎の馬鹿力に、
無手
(
むず
)
と押へられたのです。
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
群衆の中から八五郎が飛出して、曲者の後ろから、
無手
(
むず
)
と組み付いたのです。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は小さい方を追ふと見せて、實は大きい方の影へ
無手
(
むず
)
と組み付きました。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
曲者の匕首を持つた手は
無手
(
むず
)
と
掴
(
つか
)
まれました。
逆
(
ぎやく
)
に
捻
(
ひね
)
つて膝の下に敷くと
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
無手
(
むず
)
と手首などをつかんで、引っ立てるような恰好でつれて来たのです。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八は漸く
葛籠
(
つゞら
)
をハネ開けて、曲者の後から
無手
(
むず
)
と組付きます。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
パツと飛ぶのを、平次の十手は後ろから
無手
(
むず
)
とその肩を押へました。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
後ろから伸びた八五郎の手は、その帶際を
無手
(
むず
)
と掴みました。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
縁側で待機して居た八五郎は、
無手
(
むず
)
とそれに組付きました。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひるむ後ろから、
無手
(
むず
)
とガラツ八が組付いて居たのです。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎が
無手
(
むず
)
と組み付いたのです。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“無手”で始まる語句
無手法
無手無眼