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しお
ふりがな文庫
“
機会
(
しお
)” の例文
旧字:
機會
私が、こう、お受け答えいたしますと、小母さんは、話の
機会
(
しお
)
を見付けられた様に、
長煙管
(
ながきせる
)
を、火鉢の縁で、ぽんと、はたかれまして
ながうた勧進帳:(稽古屋殺人事件)
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
「さあ、掛けて来ようっと」信子が立上ったのを
機会
(
しお
)
に、姉妹はぞろ/\と部屋を出て行った。政江は千満子の帯を直してやった。
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
この取次を
機会
(
しお
)
に、捨吉はおばあさんや姉さんとお母さんとの間に
交換
(
とりかわ
)
される女同志の改まったような挨拶を避けて、玄関を歩いて見た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
独
(
ひと
)
り父親が好い
機会
(
しお
)
として
頻
(
しきり
)
に僕の方へ賛成するが御当人のお代先生は婚礼を済ませて大原君と一緒に行こうと言い出した。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
これを
機会
(
しお
)
に立去ろうとして、振返ると、荒物屋と
葭簀
(
よしず
)
一枚、
隣家
(
りんか
)
が
間
(
ま
)
に合わせの郵便局で。
其処
(
そこ
)
の
門口
(
かどぐち
)
から、すらりと出たのが例のその人。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
が、しまいには彼も
我
(
が
)
を折って、求馬の顔を尻眼にかけながら、
喜三郎
(
きさぶろう
)
の取りなしを
機会
(
しお
)
にして、左近の同道を承諾した。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
女の仕えていた宮が突然お亡くなりになったのを
機会
(
しお
)
に、女は暫く宮仕えから退いて、又昔のように父母の下でつつましい朝夕を送り出していた。
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
これがその昔祇園街で全盛を誇った薄雲太夫の後身かと思うと、私は妙な好奇心にも駆られながら、そう打ち融けた言葉をかけられたのを
機会
(
しお
)
に
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ところが余り暑い盛りに大患後の
身体
(
からだ
)
をぶっ
通
(
とお
)
しに使うのはどんなものだろうという親切な心配をしてくれる人が出て来たので、それを
好
(
い
)
い
機会
(
しお
)
に
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、それを
機会
(
しお
)
に、弥生はそこそこに戸口に出て、女と女の長い挨拶ののちに、露地をゆく
跫音
(
あしおと
)
がやがて消え去った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「顔でうぬぼれるのはおよしなさいね。みっともないから……」と、云いながら、それを
機会
(
しお
)
のように、身を起した新子はまたびっくりしてしまった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いい
機会
(
しお
)
だから今日は一つみんなにもいおう。たしかにそれは天子のご不徳ではある。けれど
宋朝
(
そうちょう
)
の
今上
(
きんじょう
)
、
徽宗
(
きそう
)
皇帝は元来お人のよい公正なおかたなのだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかにのん気な老中以下の役人どもとて、
大凡
(
おおよそ
)
、浜川たちのして来たことに、気がついているらしく、これを
機会
(
しお
)
に、絶家させるのだろうといっているがね——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
と、これもいったん床へはいった君太郎がムックリ起き上ったのを
機会
(
しお
)
に、私も蒲団を離れてしまった。
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
とまぜつ返したのを
機会
(
しお
)
に、一座は華やかに笑ひ崩れた。糸は見事元の通りにほぐされてしまつた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
せっかくお常から案じ事のあるらしゅう言われたを
機会
(
しお
)
に今ぞと思うより早くまたもくだらぬ方に話を
外
(
はず
)
され、櫛を出すどころか、心はいよいよ重うなり、游ぐどころか
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これは、本来の目的がはずれて、まぐれ当りに神尾にぶっつかり、神尾の方でも、また
逼塞
(
ひっそく
)
の生活にいいかげん退屈しているのを
機会
(
しお
)
に、がんりきを頼んだものと見える。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あの華やかな「東京」を
見棄
(
みすて
)
てこんなネオンライト一つない町に、進んで来たわけではなかったが、医者に相当ひどい神経衰弱だ、といわれたのを
機会
(
しお
)
に、失恋の東京から
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
さんざん責めたが、何としても白状をしない与次郎は、これを
機会
(
しお
)
に許されて帰りました。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と言われて五郎治は是を
機会
(
しお
)
に其の座を
退
(
しりぞ
)
きました。暫く経つと紋之丞様がばと起上って
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まさかと思うかもしれんが、わしはおまえが大好きになってしまったのだよ……それでも、これを
機会
(
しお
)
に一つ、わしらのような罪障の深い者のために、お祈りをしてくれるんだな。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
機会
(
しお
)
に「ほんに吾々は恐しい人じゃ
有
(
あり
)
ません、
斯
(
こう
)
して来たのも捕縛など云う恐る
可
(
べ
)
き目的では無いのです」是だけ聞きて倉子は少し安心の色を現すかと思いしに少しも
爾
(
さ
)
ること無く
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そのうちに父母が相続いてこの世を去ったのをよい
機会
(
しお
)
に、私の家を横領して、田地田畑一切のものを自分の物にしてしまうと、自分から藪原の長者と名のり、諸国の人買いと結託し
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ペトローヴィッチはそれを
機会
(
しお
)
に、自分は看板もかけずに狭い裏通りに住んでおり、その上、アカーキイ・アカーキエウィッチとは古い馴染であればこそ、こんなに安く引受けたのであるが
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
そこで彼は大井が一息ついたのを
機会
(
しお
)
にして、切符と引換えに受取ったプログラムを拡げながら、話題を今夜演奏される音楽の方面へ持って行った。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
呉服屋
(
ごふくや
)
に物言うのもはばかるほどであったお蔭で、半年経たぬうちにやっと元の額になったのを
機会
(
しお
)
に、いつまでも二階借りしていては人に
侮
(
あなど
)
られる
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それを
機会
(
しお
)
に勘次は無言のまま帰りかけた。勇みの彼の心さえ暗くなるほど、栄太の死体は酸鼻を極めていた。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この
機会
(
しお
)
に、雪之丞に、この屋敷に乗り込ませて、ばたばたと、事をすませてしまった方が、いいと思うがな! いかに
悪徒
(
しれもの
)
の隠居だって、天運が尽きたのを知れば
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
任原関
(
じんげんぜき
)
にはご当地でもすんでに二年間の勝ちッ放し。ことしで三年目。来年はもう
泰山
(
たいざん
)
には見えられませぬ。腕に覚えのある新顔のお相手には、今日一番がさいごの
機会
(
しお
)
だ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今度は、初霜が逆襲気味で、醒ヶ井の
咽喉首
(
のどくび
)
を抑えていると、それを
機会
(
しお
)
にして若いのが
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
下へ降りるや
否
(
いな
)
や、いきなり
風呂場
(
ふろば
)
へ行って、水をざあざあ頭へかけた。茶の間の時計を見ると、もう
午過
(
ひるすぎ
)
なので、それを好い
機会
(
しお
)
に、そこへ
坐
(
す
)
わって飯を片づける事にした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と云うを
聞入
(
きゝい
)
れず、源次郎は是を
機会
(
しお
)
に
跣足
(
はだし
)
にて
根府川石
(
ねぶかわいし
)
の
飛石
(
とびいし
)
を伝いて帰りました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
橋の上に
小児
(
こども
)
を連れた乳母が居たが、
此方
(
こなた
)
から連立って、二人が
行掛
(
ゆきかか
)
った
機会
(
しお
)
に
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とその時小僧が呼びに来たのを
機会
(
しお
)
に店の方へ立って行ってしまいました。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「お姉さんが、こんなに急にお帰りになると思わなかったんだもの……だから不意にこんなこといっちゃって……」いいわけにもならぬことをいいながら、
階下
(
した
)
へ降りる
機会
(
しお
)
を、計っていた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
少しも早くなるべく自然に切り上げる
機会
(
しお
)
を待っていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
これにはあの摩利信乃法師も、返事のしようさえなさそうにしばらくはただ、
頷
(
うなず
)
いてばかりいるようでございましたが、やがてその姫君と云う
言
(
ことば
)
を
機会
(
しお
)
に
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
話している内に道頓堀の芝居小屋のハネになり、丁度そこは朝日座の楽屋裏の前だったもの故、七八人一時に客が寄って来たのを
機会
(
しお
)
に、暫く客の絶間がなかった。
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
武家奉公で世間もせまく、年も若い儀作は、これが
機会
(
しお
)
となって、うまうままるめこまれたと見える。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もう大抵、話すべき要領は尽きたと見えて、それを
機会
(
しお
)
に話は切れてしまいました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おかめはこれを
好
(
いゝ
)
機会
(
しお
)
にして分家へ話をすれば、分家の
爺
(
じゝい
)
は堅いから多助を追出すのは手間暇いらずだから、斯ういう都合にしましょう、
彼
(
あゝ
)
いう都合にしましょうと
密々話
(
ひそ/\ばなし
)
をしている所へ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
身じん幕をまたたく間につけ、
父御
(
ててご
)
にのみ、罪を
被
(
かぶ
)
せたばかりか、お取調べの間の御入牢中をいい
機会
(
しお
)
に日ごろから、そなたの母御の容色に、目をつけていた、土部三斎——浪路どのの父御が
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ともかく、白け切って二人の論争が一時終わったのを
機会
(
しお
)
に、私は
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「何ですか」と立ち掛けた尻を
卸
(
おろ
)
す
機会
(
しお
)
に、
準胡坐
(
じゅんあぐら
)
の姿勢を取る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
好
(
よ
)
き
機会
(
しお
)
とや思いけん。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで
珈琲
(
コオヒイ
)
が尽きたのを
機会
(
しお
)
にして、短くなった葉巻を捨てながら、そっと
卓
(
テエブル
)
から立上ると、それが静にした
心算
(
つもり
)
でも、やはり先生の注意を
擾
(
みだ
)
したのであろう。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
種吉はちょうど氏神の祭で例年通りお渡りの人足に雇われたのを
機会
(
しお
)
に、手を引いた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
と覚悟した文次は、ぱっと刀影が流れるのを
機会
(
しお
)
に、手近の障子を蹴倒した。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そんな出来ねえ相談を
打
(
ぶ
)
たれちゃア困ります、御病人の前で
高
(
でけ
)
え声じゃア云えねえが、
殊
(
こと
)
に寄ったら
其様
(
そん
)
な事を
機会
(
しお
)
にして
他
(
ほか
)
へ見せてくんろという事ではないかと思うと、誠に気が痛みやすな
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それを
機会
(
しお
)
に、私も自分の部屋へ戻って来たが
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
“機会”の意味
《名詞》
機 会(きかい)
何かをするのに丁度よいとき。
(出典:Wiktionary)
機
常用漢字
小4
部首:⽊
16画
会
常用漢字
小2
部首:⼈
6画
“機会”で始まる語句
機会主義者
機会的な作品