いわゆる実行的人生の理想または帰結を標榜することでないか。もしそうであるなら、私にはまだ人生観を論ずる資格はない。
序に代えて人生観上の自然主義を論ず (新字新仮名) / 島村抱月(著)
だれよりも自分はまじめな人間であると標榜している人が、そんな常識で想像もできぬようなことを仕組んで愛人をそっと持つなどということは
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕―― (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ヤトラカン・サミ博士が、その一つの邪魔派を標榜する練達の道士であることは、いうまでもないのである。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
板倉と云うのは、阪神国道の田中の停留所を少し北へ這入った所に「板倉写場」と云う看板を掲げて、芸術写真を標榜した小さなスタディオを経営している写真館の主人であった。
「平明にして余韻ある句」というのは、かつて私が当時のいわゆる新傾向句の難解にしてやはり諷詠を忘れた句の多かったのに対して、正しい俳句を標榜した言葉であったのでした。
この「純正アナーキスト」はあくまで純粋な自由連合主義を標榜していて、ボル派まがいの組織活動や組合運動などを不純なものとしていたのだが、実際はそのために孤立化して行った。
一時はプロレタリア芸術を標榜して洋画塾を開いていた青楓氏は、その頃もはや日本画専門となられ、以前からのアトリエも売ってしまい、新たに日本式の家屋を買い取って、住んで居られた。
僕は自由人を標榜して伊藤公暗殺——。
安重根:――十四の場面―― (新字新仮名) / 谷譲次、林不忘(著)
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
或いは神楽師を標榜して、世を忍ぶやからではないか、そうだとすれば、時節柄、意外の人材が隠れていないものでもない、つきあい様によっては、話しようによっては
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ですから貧しいのに、決して貧しさを恥じているのでもなく、さりとて貧しさをわざと標榜しているのでもなく、ここにこれらの雑器の動かす事の出来ぬ強みがあるのを感じます。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いま、勝家すでに滅び、北ノ庄も陥ちたとはいえ、生来の猛気と、秀吉嫌いを標榜していた意地からしても
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俗人と違うことを標榜していたものが、俗の世間へ帰った気が自分でもして妙なものであろう。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)