ばか)” の例文
もし此儘で置てはだ後世を誤るばかりと思ふから聞ひた儘を筆記して、土陽新聞の余白を借り、諸君の一さいを煩す事にしました
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
と毒づいてあったので、剛毅な善兵衛も色を失った、消印を見ると三十マイルばかり隔た□□市から速達便で郵送されたことが判った。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
始終子供にばかかかっていれば生活が出来ないから、拠無よんどころなくこのかしつけ、ないたらこれを与えてくれと、おもゆをこしらえて隣家の女房に頼み
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
千万遍繰返して申込んだ所で、要するに蛙の面へ水を掛ける様なもので、ればる程癪に触るばかりだ。
ただそこここと見廻しているばかりでしたが、「モット側へおより」と徳蔵おじにいわれて、オジオジしながら二タ足三足、奥さまの御寝おやすみなってるほうへよりますと
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
れがめに大邊たいへん危險きけんるとのことですが、わたくし田舍いなかりまする時分じぶんこれれについ實見じつけんしたことりますから、れをばまうようぞんじます、れは二さいばかりの子供こども
御内端おうちばすぎてのお物思ものおもひくよ/\ばかあそばせばこそ昨日今日きのふけふ御顏色おいろもわるし御病おわづらひでもあそばしたら御兩親をふたかたさまはさらなることなりまをすも慮外りよぐわいながらいもとおもふぞとての御慈愛じあい姉上あねうへ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金三円ばかりもあれば破産の不幸にも至るまいという書状からしても、つえとも頼む男兄弟の、たよりにならなかったことがしれ、かえって妹たちの方が苦しいなかからその急を救った。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
黄金丸は饑渇うえに疲れて、勇気日頃に劣れども、また尋常なみなみの犬にあらぬに、彼方かなたもなかなかこれに劣らず、互ひに挑闘いどみたたかふさま、彼の花和尚かおしょう赤松林せきしょうりんに、九紋竜くもんりゅうと争ひけるも、かくやと思ふばかりなり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
又、明日は千葉へ、常州より無念流の試合ばか
十一才の誕生の日には母のゆるしを得て一日学校を休み、例の通り少しばかりのいはひをしてらいました。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
京都きょうとの某壮士或る事件を頼まれ、神戸こうべへ赴き三日ばかりで、帰るつもりのところが十日もかかり、その上に示談金が取れず、たくわえの旅費はつかいきり、帰りの汽車賃にも差支さしつか
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
かはあれども御使者おししや歸路きろにつきたまひしのちしてのことばいまわすがたし、御身おんみ竹村たけむらゆかしとおぼすか、みどりどのとやらしたはしくおもたまふか、さらばいかばか雪三せつざうにくしとおぼすなるべし
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まじめで静かだったもんだから、近処のものがあたりまえの子供のあどけなく可愛ところがないといい/\しましたが、どうしたものか奥さまは僕を可愛やとおっしゃらぬばかりに
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
◎先年伊勢いせへ赴き、二週間ばかり滞在した事があった、ある夜友人に招かれて、贄崎にえさき寿楼ことぶきろうで一酌を催し、是非ぜひ泊れといったが、少し都合があって、同所を辞したのは午前一時頃である
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)