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捻向
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ねじむ
ふりがな文庫
“
捻向
(
ねじむ
)” の例文
という
顔色
(
がんしょく
)
で、竹の鞭を、ト
笏
(
しゃく
)
に取って、
尖
(
さき
)
を握って
捻向
(
ねじむ
)
きながら、帽子の下に暗い額で、髯の白いに、金が
顕
(
あらわ
)
な
北叟笑
(
ほくそえみ
)
。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
或物
(
あるもの
)
を窓の外へ
推出
(
おしだ
)
し
突出
(
つきだ
)
すような身のこなし、それが済むと
忽
(
たちま
)
ち身を
捻向
(
ねじむ
)
けて私の顔をジロリ、睨まれたが最期、私はおぼえず
悚然
(
ぞっ
)
として
最初
(
はじめ
)
の勇気も
何処
(
どこ
)
へやら
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
エルマは首を
捻向
(
ねじむ
)
けるようにして
対手
(
あいて
)
の顔を見た。それは見覚えのある警察署長の顔であった。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
好
(
よ
)
し一つ頭を
捻向
(
ねじむ
)
けて
四下
(
そこら
)
の
光景
(
ようす
)
を視てやろう。それには丁度
先刻
(
さっき
)
しがた眼を覚して例の
小草
(
おぐさ
)
を
倒
(
さかしま
)
に
這降
(
はいおり
)
る蟻を視た時、
起揚
(
おきあが
)
ろうとして
仰向
(
あおむけ
)
に
倒
(
こ
)
けて、
伏臥
(
うつぶし
)
にはならなかったから、勝手が
好
(
い
)
い。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
極めて狭い
溝板
(
どぶいた
)
の上を通行の人は
互
(
たがい
)
に身を斜めに
捻向
(
ねじむ
)
けて行き
交
(
ちが
)
う。
稽古
(
けいこ
)
の
三味線
(
しゃみせん
)
に人の話声が
交
(
まじ
)
って聞える。
洗物
(
あらいもの
)
する
水音
(
みずおと
)
も聞える。赤い腰巻に
裾
(
すそ
)
をまくった
小女
(
こおんな
)
が
草箒
(
くさぼうき
)
で溝板の上を掃いている。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
むっくり飛上ったかと半身を起して
捻向
(
ねじむ
)
く
気勢
(
けはい
)
。女房も、思案に落した煙管を杖。
斉
(
ひと
)
しく見遣った、台所の腰障子、いつの間にか細目に開いて、ぬうと赤黒い
脛
(
すね
)
が一本。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
残らず橋を渡るや否や、士官は馬上ながら急に
後
(
うしろ
)
を
捻向
(
ねじむ
)
いて、
大声
(
たいせい
)
に
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
千鈞
(
せんきん
)
の重さで、すくんだ
頸首
(
くび
)
へ
獅噛
(
しが
)
みついて離れようとしません、世間様へお附合ばかり少々櫛目を入れましたこの
素頭
(
すあたま
)
を
捻向
(
ねじむ
)
けて見ました処が、何と拍子ぬけにも何にも
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
肩でこう
捻向
(
ねじむ
)
いて高く上を視る処に、耳はねえが、あのトランプのハアト形に
頭
(
かしら
)
を
押立
(
おった
)
った
梟
(
ふくろ
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
、梟、梟と一口に
称
(
とな
)
えて、何嶽と言うほどじゃねえ、丘が
一座
(
ひとくら
)
、その
頂辺
(
てっぺん
)
に
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
げじげじのような眉が動いて、さも重そうな首を
此方
(
こなた
)
に
捻向
(
ねじむ
)
けんとして、それも
得
(
え
)
せず。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何かに
取掴
(
とッつか
)
まったらしく、堅くなってそこらを
捻向
(
ねじむ
)
く……と、峠とも山とも知れず、ただ樹の上に樹が
累
(
かさ
)
なり、中空を
蔽
(
おお
)
うて四方から
押被
(
おっかぶ
)
さって
聳
(
そび
)
え立つ——その向って
行
(
ゆ
)
くべき
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
熟
(
じっ
)
と
睜
(
みは
)
った、目の
冴
(
さえ
)
は、勇士が
剣
(
つるぎ
)
を
撓
(
た
)
むるがごとく、袖を抱いてすッくと立つ、姿を絞って、じりじりと、絵図の
面
(
おもて
)
に——
捻向
(
ねじむ
)
く血相、暗い影が
颯
(
さっ
)
と
射
(
さ
)
して、線を描いた紙の上を
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思い思いに
捻向
(
ねじむ
)
いて、
硝子戸
(
がらすど
)
から覗く中に、片足膝の上へ投げて、
丁子巴
(
ちょうじどもえ
)
の羽織の袖を組合わせて、茶のその中折を
額深
(
ひたいぶか
)
く、ふらふら
坐眠
(
いねむ
)
りをしていたらしい人物は、酒井俊蔵であった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その脚で畳を
蹴
(
け
)
たが、
頤
(
おとがい
)
を突出した
反身
(
そりみ
)
の顔を、鴨川と後室の方へ
捻向
(
ねじむ
)
けて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人懐
(
ひとなつッ
)
こいといったような調子で、光起に
背
(
せな
)
を
捻向
(
ねじむ
)
けると、
頸
(
うなじ
)
を伸して
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の羽織の裏、
紅
(
くれない
)
なるを片落しに背筋の
斜
(
ななめ
)
に見ゆるまで、
抜衣紋
(
ぬきえもん
)
に
辷
(
すべ
)
らかした、肌の色の
蒼白
(
あおじろ
)
いのが、殊に干からびて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時、
捻向
(
ねじむ
)
いて、くなくなと首を垂れると、
摺
(
ず
)
った
後褄
(
うしろづま
)
を、あの
真黒
(
まっくろ
)
な
嘴
(
くちばし
)
で、ぐい、と
啣
(
くわ
)
えて上げた、と思え。……鳥のような、獣のような
異体
(
いてい
)
な黄色い脚を、ぬい、と
端折
(
はしょ
)
った、傍若無人で。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(寝ながら
捻向
(
ねじむ
)
く)これでもか、これでもか、と遣って下せえ。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
目を見合わせて
北叟笑
(
ほくそえ
)
みした、伝九、更めて、
面
(
つら
)
を
捻向
(
ねじむ
)
け
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と夜具風呂敷の
黄母衣越
(
きほろごし
)
に、
茜色
(
あかねいろ
)
のその
顱巻
(
はちまき
)
を
捻向
(
ねじむ
)
けて
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、幹事もはじめて、こう逆に
捻向
(
ねじむ
)
いて
背後
(
うしろ
)
を見た。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小児
(
こども
)
はなお含んだまま、いたいけに
捻向
(
ねじむ
)
いて
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
捻
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“捻”で始まる語句
捻
捻込
捻出
捻伏
捻倒
捻上
捻紙
捻子
捻切
捻挫