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手燭
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てしよく
ふりがな文庫
“
手燭
(
てしよく
)” の例文
手を取つて引上げぬばかり、後ではさすがに
端
(
はし
)
たないと氣が付いたか、女房のお靜が持つて來た
手燭
(
てしよく
)
の灯の中に苦笑して居ります。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
細君は怒つて先に部屋へ
入
(
はひ
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふ。隣の部屋から
先
(
さき
)
の夫人のマドレエヌが
手燭
(
てしよく
)
を執つて
現
(
あら
)
はれ一人残つたモリエエルを慰める。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
肩
(
かた
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
雛
(
ひな
)
の
繪
(
ゑ
)
に
見
(
み
)
る……
袖
(
そで
)
を
左右
(
さいう
)
から
重
(
かさ
)
ねた
中
(
なか
)
に、どちらの
手
(
て
)
だらう、
手燭
(
てしよく
)
か、
臺
(
だい
)
か、
裸火
(
はだかび
)
の
蝋燭
(
らふそく
)
を
捧
(
さゝ
)
げて
居
(
ゐ
)
た。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一月十九日の朝、五時を打つか打たぬに、ベシーは、
手燭
(
てしよく
)
を私の部屋に持つて來た。私は、もう起きて、殆んど着物を着てしまつたところだつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
食事のあと、友達は
手燭
(
てしよく
)
をともして現れました。「物置には
燈
(
あかり
)
がないのだ」渡り廊下を通るとき、海風が、酔ひにほてつた私の顔を叩いてゐました。
南風譜:――牧野信一へ――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
聞し
周藏
(
しうざう
)
七左衞門の兩人も馳來り勝手より
手燭
(
てしよく
)
を取寄る此時村の
小使
(
あるき
)
三五郎は
臺所
(
だいどころ
)
に
寢
(
ね
)
て居たりしが
物音
(
ものおと
)
に驚き
金盥
(
かなだらひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
やつと
灌木
(
くわんぼく
)
の高さしか無い
柊
(
ひひらぎ
)
よ、
僞善
(
ぎぜん
)
の尻を刺す
鑿
(
のみ
)
、
愛着
(
あいぢやく
)
の
背
(
せ
)
を
刻
(
きざ
)
む
鏨
(
たがね
)
、鞭の
柄
(
え
)
、
手燭
(
てしよく
)
の
取手
(
とつて
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
ゆふ窓におく
手燭
(
てしよく
)
ほどの月あかり
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
そして
手燭
(
てしよく
)
と
木太刀
(
きだち
)
とを
提
(
さ
)
げて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
平次は何んの手も加へないのに、窓の戸は内から、靜かに開いて、
手燭
(
てしよく
)
を持つた老人の顏が、重々しく外を眺めてゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中に厚紙の台に木の
柄
(
え
)
を附けて蝋燭を立てた
手燭
(
てしよく
)
を売る
老爺
(
おやぢ
)
が一人
混
(
まじ
)
つて居る。見物人は皆其れを争つて買ふのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ほと/\と板戸を
敲
(
たゝ
)
き、「この執念深き奥方、何とて
今宵
(
こよひ
)
に泣きたまはざる」と
打笑
(
うちわら
)
ひけるほどこそあれ、
生温
(
なまぬる
)
き風一陣吹出で、腰元の
携
(
たづさ
)
へたる
手燭
(
てしよく
)
を消したり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
聞き主人の五兵衞は
出來
(
いできた
)
りナニ
悴
(
せがれ
)
がみえぬと夫れは
何所
(
どこ
)
へ行たかと家内中を
探
(
さが
)
せ
共
(
ども
)
一向に
影
(
かげ
)
も見えず
猶
(
なほ
)
隈
(
くま
)
なく
探
(
さが
)
し
求
(
もと
)
むる
中
(
うち
)
裏口
(
うらぐち
)
の
庇間合
(
ひあはひ
)
に五郎藏が倒れて居たりと
大聲
(
おほごゑ
)
揚
(
あげ
)
て呼はるゆゑ夫れと云て
手燭
(
てしよく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「暗くなる時下女のお松が締めて、夕飯の後で私か福次郎が見廻り、それから寢る時主人が
手燭
(
てしよく
)
を持つて一々調べることになつて居ります」
銭形平次捕物控:179 お登世の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分は
手燭
(
てしよく
)
の火で前の女の帽の
縁
(
ふち
)
や
裳
(
も
)
の
後
(
うしろ
)
を焼きはしないかと案じる外に何の思ふ所も無かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
たちを、こゝにあるもののやうに、あらぬ
跫音
(
あしおと
)
を
考
(
かんが
)
へて、
咳
(
しはぶき
)
を
聞
(
き
)
く
耳
(
みゝ
)
には、
人氣勢
(
ひとけはひ
)
のない
二階
(
にかい
)
から、
手燭
(
てしよく
)
して、する/\と
壇
(
だん
)
を
下
(
お
)
りた
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を、
然
(
さ
)
まで
可恐
(
おそろし
)
いとは
思
(
おも
)
はなかつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眞つ黒な人間は、暫く外の樣子を見て居る樣子でしたが、誰も見とがめる者が無いと判ると、引つ返して家の中から
手燭
(
てしよく
)
を持つて來ました。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「もう、
子刻
(
こゝのつ
)
(十二時)近かつたと存じます。奧樣がお呼びになりましたので、
手燭
(
てしよく
)
をつけて、廊下にお迎へ申し上げ、——」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手燭
(
てしよく
)
を持つて、お秀は案内しました。六疊と八疊の二た間續き、その手前に長四疊があつて、奧にはまだ、一と間くらゐありさうな作りです。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜半近いのに、まだ起きて居たらしく、お雛は自分で格子の内に、
手燭
(
てしよく
)
を持つた顏を見せました。寢亂れては居るが、なか/\豊滿な良い年増です。
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
用箪笥
(
ようだんす
)
へ入れたところを、後ろから忍び寄つた曲者に脇腹を
刺
(
さ
)
され、あつと振り返るところを、
手燭
(
てしよく
)
を叩き落されて、用箪笥の
財布
(
さいふ
)
を盜まれたんださうで
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
近所の家からは、
手燭
(
てしよく
)
や提灯を持つて飛出す者もある騷ぎです。その灯の中へ救ひ上げた子供をつれて來ると
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まだ、面白いことがある、内儀さんが殺された時と同じやうに、
手燭
(
てしよく
)
をつけて風呂場に置き、お前は着物を着たまゝで構はないから流しに立つて居てくれ」
銭形平次捕物控:264 八五郎の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「何んの
怨
(
うら
)
みか知らぬが——夜盜のたぐひではあるまい。何んにも盜られた物はなく、奧の後ろには、
手燭
(
てしよく
)
を持つて、糸と申す腰元が付いて居たといふから——」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やゝ暫らく經つてから、物音を聞付けたらしい主人のお紋は、女中に
手燭
(
てしよく
)
を
灯
(
とも
)
させて驅け付けました。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
到頭
手燭
(
てしよく
)
と提灯を點けさせて、釜吉と八五郎に前後から照させ乍ら、庭の方まで出かけて行きました。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私が小僧の寅松に
手燭
(
てしよく
)
を持たせて、二人で行つて見ますと、——あの通りの姿で死んでをりました
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜になりきつてひどく不便ではありますが、八五郎と久兵衞の持つた
手燭
(
てしよく
)
が、案外隅々までも照して、晝では氣のつかないところまで、注意が屆くといふ便利もあります。
銭形平次捕物控:265 美しき鎌いたち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これほどの重大事を、何んの
蟠
(
わだかま
)
りもなく言つてのけて、瀧三郎は
手燭
(
てしよく
)
を取つて先に立ちました。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「——死骸は檢屍が濟んで、昨日の中に
母屋
(
おもや
)
へ移したが、小牧の旦那が此の中でやられたんだ。
手燭
(
てしよく
)
を斬り落されてゐるところを見ると、後ろから飛かゝつたやつでもない——」
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何が何やらわからずに、大きい聲を出しますと、娘のお幾が、
手燭
(
てしよく
)
を持つて飛んで來てくれました。その時はもう曲者は影も形もなく、何んで突いたか、得物も見付かりません。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お君の妹のお吉さ、——あの娘は優しい顏をしてゐるが大した氣性者だ、——姉の悲鳴を聽いて
手燭
(
てしよく
)
を持つて飛び出すと、姉は井戸端で殺されて、曲者は木戸の外へ逃げるところだ。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と平次が聲をかけると、默つて廊下に用意してある
手燭
(
てしよく
)
に灯を入れて、風呂場に持つて來たものがあります。緊張して少し青い顏をしてをりますが、案外落着いた内儀の弟の駒吉です。
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たつた一つの
手燭
(
てしよく
)
で、平次は實によく調べて行きます。
生濕
(
なまじめ
)
りの庭には
誂
(
あつら
)
へたやうに足跡があつて、それがかなり大きいことや、突當りの木戸は外から簡單に
輪鍵
(
わかぎ
)
の外せることを見極め
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
續いて二人の曲者は、
提灯
(
ちやうちん
)
やら
手燭
(
てしよく
)
を持つて、それに續くのがよくわかります。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ね、親分、この通り、——孫三郎が天井裏で何を搜したか、念のため、
手燭
(
てしよく
)
を借りて這ひ上がつて見ると、奧の奧でもあることか、押入のすぐ上、天井裏のトバ口にこれがあつたんです」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ろくに返事もせずに出かけましたが、間もなく井戸端のあたりで、姉さんの聲で私を呼ぶやうな、變な押し潰されたやうな聲がするので、お仕事で使つてゐた
手燭
(
てしよく
)
を持つて飛び出して見ると——
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
プーンと言つた
鋸引
(
のこぎりびき
)
でもするやうな、
虻
(
あぶ
)
が障子の間へ入つたやうな、——私も聽きましたとも。すると主人は飛起きて、
絆纒
(
はんてん
)
を引つ掛けて、
手燭
(
てしよく
)
と鍵を持つて、廊下傳ひに土藏の方へ行きました。
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
内儀
(
かみ
)
は
手燭
(
てしよく
)
、八五郎は提灯を持つて、川の水面に下りました。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
手燭
(
てしよく
)
がありましたから、馴れると仕事には不自由しません」
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お勝手から
手燭
(
てしよく
)
を持つて風呂場へ平次も入ります。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
房吉は
手燭
(
てしよく
)
を持つてもどつてきました。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
手燭
(
てしよく
)
がなくなつて居る」
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
誰か
手燭
(
てしよく
)
を持出すと
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
手燭
(
てしよく
)
は?」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
燭
漢検準1級
部首:⽕
17画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手摺