まさ)” の例文
旧字:
生らもとよりまさに約に先んじて該地に到り、生ら点火を待ちて信と為す。切に約信たがうことなく、生らの望む所に副われんことを祈る。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
わたくしは後にめぐむさんに聞いた所を以て此に補記しようとおもふ。しかしそのまさに補ふべき所のものは、たゞに安石の上のみではない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
このヤマヂサはまさにこれにやあらんか、順抄に本草を引て売子木を賀波治佐乃木と注したり、これ山萵苣にむかへたる名なるべし
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ある坊さんの説教に列して、金剛経こんごうきょうにある「応無所住而生其心」(まさに住する所なくして、しかも其の心を生ずべし)
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
画像が行なわれたのは同経に「まさに我が像を画き種々の瓔珞ようらくもて周帀しゅうそう荘厳しょうごんすべし」とあるによったものと思われる。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
仰有おつしやる通りみな後世にのこりて、後世は一々これが批判に任ぜざるからずとせば、なりたくなきは後世なるかな。後世はまさ塵芥ぢんかい掃除さうぢよの請負所の如くなるべし。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
項羽かううや漢の高祖が未だ事を挙げざる前、しんの始皇帝の行列を観て、項羽は取つて以て代るべしと言ひ、高祖は大丈夫まさに是の如くなるべしと言つたといふ
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「緑髪ハ波ニしたがツテ散リ、紅顔ハ浪ヲツテ無シ、何ニツテ伍相ごしょうニ逢フ、まさニ是秋胡しゅうこヲ想フベシ」
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
我が大王の告げたまふところに、世間は虚仮こけだ仏のみれ真なりと。の法を玩味ぐわんみするに、我が大王はまさに天寿国に生れまさむ。しかも彼の国の形は眼に看叵みがたき所なり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
汝及び衆生まさに心を専らにし、念を一処に繋けて、西方を想ふべし。云はく、何が想をなすや。凡想をなすとは、一切の衆生、生盲に非るよりは、目有る徒、皆日没を見よ。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
或はたゝめるは、まさにこの時なるなからむや、今は山と、人と、石室と、地衣植物と、じん天地を霧の小壺せうこに蔵せられて、混茫こんばう一切をべんぜず、登山の騎客はこと/″\く二合二勺にて馬を下る。
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
時に一臣あり、すなわち王にもうして言う、およそこの事はまさに二種あるべし。一はこれ鬼魅にして、二はこれ方術なり。細土を以て諸門の中に置き、人をして守衛せしめ往来する者を断つべし。
記する有り 庚申山こうしんやまけみす幾春秋 賢妻生きてそそぐ熱心血 名父めいふ死して留む枯髑髏 早く猩奴しようど名姓を冒すを知らば まさに犬子仇讐を拝する無かるべし 宝珠是れ長く埋没すべけん 夜々精光斗牛を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
理窟りくつからいえば、母胎を出でた瞬間から、もはや墓場への第一歩をふみ出しているのです。だからまさに生に啼いて、死を怖るること勿れです。死ぬことがいやだったら、生まれてこねばよいのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
唯応爛酔報厚意 まさ爛酔らんすいして厚意こういむくゆべく
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
昨日踏青とうせい小約未だまさもとらざるべし
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
九霄きうせうまさともを得たるなるべし
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
まさ衝天しょうてんがいがあったね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
広寒隊裏こうかんたいりまさあいねたむべし
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
兵家 Clausewitz は受動的抗抵を弱国のまさに取るべき手段だと云っている。僕は先天的失恋者で、そして境遇上の弱者であった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
則ち明夜人定じんてい後脚船一隻を発し、柿崎村海浜の人家無き処に至りて、生らをむかえられよ。生らもとよりまさに約に先んじて該地に至り相待つべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
史をあんじて兵馬の事を記す、筆墨もまたみたり。燕王えんおう事を挙げてより四年、ついその志を得たり。天意か、人望か、すうか、いきおいか、将又はたまた理のまさしかるべきものあるか。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
嘉永五年は蘭軒歿後第二十三年で、其嗣子榛軒のまさに世を去るべき年である。詩存に元旦の絶句がある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
此器 堅くまた実なり、こうす まさに知る可きなるべし。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まさ世々よよ 三に遊ぶべし
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)