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ふりがな文庫
“
御霊
(
みたま
)” の例文
旧字:
御靈
それは
先年
(
せんねん
)
西海
(
せいかい
)
の
果
(
はて
)
に
崩御
(
ほうぎょ
)
あらせられた
貴人
(
きじん
)
の
御霊
(
みたま
)
であったが、それを拝すると共に
眼前
(
めさき
)
が
暗
(
くら
)
んで馬から落ちたのだと云う噂であった。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お前が大阪から姿を消してしまってから二年ばかり経ったある日、
御霊
(
みたま
)
神社の前を歩いていると、薄汚い男がチラシをくれようとした。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
やがて
女房
(
にょうぼう
)
も、この
世
(
よ
)
から
去
(
さ
)
るときがきました。
子供
(
こども
)
らは、
母
(
はは
)
の
御霊
(
みたま
)
をも
亡父
(
ぼうふ
)
のそれといっしょに
仏壇
(
ぶつだん
)
の
中
(
なか
)
に
祭
(
まつ
)
ったのであります。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大きな土木工事には、土の神、木の神の
御霊
(
みたま
)
を安んぜしめるために、人柱をささげるということは、ほかにも聞いたおぼえがある。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
電気炉
(
でんきろ
)
による火葬、
骨上
(
こつあ
)
げと順序よく運んで、午後三時には、雪子さんの
御霊
(
みたま
)
は、もう告別式会場のA斎場に安置されていた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
太子の
御霊
(
みたま
)
を感じるので、その山は、神々しかった。しかし、もし魔が棲む山と見たなら、
轟々
(
ごうごう
)
と鳴る暗い松風もものすごい
形相
(
ぎょうそう
)
なのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして水から上がるとただちに天が裂けて
御霊
(
みたま
)
が
己
(
おのれ
)
に、原語どおりに言えば「己の中に」——マタイ伝、ルカ伝には「上」にとなっていますが
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
実を云いますと、いつも
御霊
(
みたま
)
所の中で、母と対座しておりますうちに、兄は時折、その高代という言葉を口にするのです。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
紙は今も祭事になくてならない品物である。その
和
(
やは
)
らぎと浄らかさとは、神の
御霊
(
みたま
)
に相応はしいのである。
和紙の教へ
(新字旧仮名)
/
柳宗悦
(著)
殊
(
こと
)
に高い方のM百貨店は、僕の先祖代々
碌
(
ろく
)
を
喰
(
は
)
んだ北越百万石の領主が、
東照神君
(
とうしょうしんくん
)
の
御霊
(
みたま
)
詣での
途次
(
とじ
)
、お供先が往来の真ン中で、
鳶
(
とび
)
の者と喧嘩になった為めに
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
母后についで背の君を
喪
(
うしな
)
った多至波奈姫が、太子生前の教を思い、推古天皇の御ゆるしを得て、太子の
御霊
(
みたま
)
の赴くであろうパラダイスを悲しみつつ描いたのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
是なども最初は生粉の間に形をきめ、それを湯に入れて煮て引き上げて食ったのである。それと同じ形が年の暮の供物、
御霊
(
みたま
)
の
飯
(
めし
)
というものにも附いてまわっている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人の生まるる始めのこと、死にてのちの理などを
推慮
(
おしはかり
)
にいうは、
甚
(
いと
)
も
益
(
やく
)
なき
事
(
わざ
)
なれば、ただに古伝説を守りて、人の生まるることは、
天津神
(
あまつかみ
)
の
奇
(
くすしく
)
妙
(
たえ
)
なる
産霊
(
むすび
)
の
御霊
(
みたま
)
によりて
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
もうあんな恐ろしいものは居ないから、安心しよや。もうもう大丈夫だ。ゆうべは俺もよく寝られたし、
御霊
(
みたま
)
さまは皆を守っていて下さるし、今朝は近頃にない気分が
清々
(
せいせい
)
とした
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あら情無や勿体なしや、さては院の
御霊
(
みたま
)
の猶此
土
(
ど
)
をば捨てさせ玉はで、妄執の闇に
漂泊
(
さすら
)
ひあくがれ、こゝにあらはれ玉ひし歟、あら悲しや、と地に伏して西行涙をとゞめあへず。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「家中の者に代り、御先祖代々の
御霊
(
みたま
)
に代って、礼を申すぞ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「やよ。初花どの。霊あらば聞き給へ。御身の悪念は此の片面鬼三郎が受継ぎたり。今の世の悪念は後の世の正道たるべし。痛はしき母上の
御霊
(
みたま
)
と共に、心安く極楽とやらむへ行き給へ。南無幽霊頓性菩提」
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あはれ欠けざることなき「孤独
清貧
(
せいひん
)
」の
御霊
(
みたま
)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
義父司馬先生の
御霊
(
みたま
)
に、もの申す。生前お眼にかかる
機会
(
おり
)
のなかったことを、伊賀の柳生源三郎、ふかく
遺憾
(
いかん
)
に存じまする。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今夜が討入なのだ! 思いぞ積る赤穂浪人が六百五十余日の苦心を、こよいこそ一気に
霽
(
は
)
らして、亡君の
御霊
(
みたま
)
に
臣子
(
しんし
)
の赤い血を捧げる晩なのだ!
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、私がこの樹立の中にまいりますのを、大変お嫌いになりまして、毎朝
行
(
ぎょう
)
をなさる
御霊
(
みたま
)
所の中にも、私だけは
穢
(
けが
)
れたものとして入れようとはなさいません。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
信じる者にとって神仏はつねに現存である。太子への思慕が激しく民心に宿ったとき、その祈念が眼のあたり太子の
御霊
(
みたま
)
にふれ、金人を夢みたとしても不思議はあるまい。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
「
御霊
(
みたま
)
さま」はまだ自分等と一緒に居て下さるとおげんが思ったのは、旦那にお新を逢わせることの出来た時だった。けれども、これほどのおげんの悦びもそう長くは続かなかった。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼
(
かれ
)
の
女房
(
にょうぼう
)
は、いまおばあさんとなりました。そして、
彼女
(
かのじょ
)
が、
生
(
い
)
きながらえている
間
(
あいだ
)
は、
毎晩
(
まいばん
)
のように、
利助
(
りすけ
)
のさかずきに
酒
(
さけ
)
をついで、これを
亡父
(
ぼうふ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
祭
(
まつ
)
ってある
仏壇
(
ぶつだん
)
の
前
(
まえ
)
に
供
(
そな
)
えました。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
またこのことこそ、先君の
御霊
(
みたま
)
もかならず
泉下
(
せんか
)
において御満足に思し召しておらるるであろうことを信じて疑いませぬ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとは斑鳩宮寝殿の近く、隔絶された太子内観の道場であり、ここにこもって深思されたと伝えられる。いずれにしても太子の
御霊
(
みたま
)
は、いまなお
憩
(
いこ
)
うことなく
在
(
いま
)
すであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
橋本では、先代からの例として、仏式でなく家の「
御霊
(
みたま
)
」を祭った。お種は
序
(
ついで
)
に小泉の母の二年をも記念する積りであった。年を
経
(
と
)
るにつれて、余計に彼女はこういうことを大切にするように成った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
という書出しで、近頃、変心の臆病者が続出するが、残る者は、この際いよいよ必死の結束をかためなければなるまいと
戒
(
いまし
)
め、亡君の
御霊
(
みたま
)
も御照覧あるべしと、結んである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
井には、枯れ草や
墻
(
かき
)
を投げ入れて、ご死骸を隠して参りました。その母の
御霊
(
みたま
)
が公子を護って下されたのでしょう、それがしただ一騎、公子をふところに抱き参らせ、敵の重囲を
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
道理で小屋こそ粗末なものだったが、
庇
(
ひさし
)
を見ると、
注連縄
(
しめなわ
)
がめぐらしてある。もう
御霊
(
みたま
)
の
象
(
かたち
)
はここに竣工して、あとは塚の地形とか
壇石
(
だんいし
)
、
亀石
(
かめいし
)
のすえこみなどを待つばかりとなっていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“御霊”の意味
《名詞》
霊魂に対する尊敬語。
特に大きな祟りをなす霊魂に対する語。
(出典:Wiktionary)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
霊
常用漢字
中学
部首:⾬
15画
“御霊”で始まる語句
御霊屋
御霊廟
御霊代
御霊会
御霊林
御霊様
御霊現
御霊社
御霊迎
御霊遷