ほし)” の例文
驟雨しううあとからあとからとつてるのであかつきしらまぬうちからむぎいてにはぱいむしろほし百姓ひやくしやうをどうかすると五月蠅うるさいぢめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……さあさあひときり露台みはらしへ出ようか、で、塀の上から、揃ってものほしへ出たとお思いなさい。日のほかほかと一面に当る中に、声ははしゃぎ、影は踊る。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
縁邊えんがはにはまめふるぼけた細籠ざるいれほしてある、其横そのよこあやしげな盆栽ぼんさいが二はちならべてありました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わしがお暇いただく三日ほど前にお国の母様かかさまが、東京さあかたづいて居なさる上の娘さんげから送ってよこしたちゅうて紫蘇をこまあく切ってほした様なのをよこしなすったんですがない
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
選ばれたの一名が、業物わざものをふりかぶって、土壇の上のほしわらを斬っていた。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞ無々ない/\とばかり云ひをつておのれ今にあやまるか辛目からきめ見せて呉んと云ながら一升ます波々なみ/\と一ぱいつぎ酒代さかだい幾干いくらでも勘定するぞよく見てをれと冷酒ひやざけますすみより一いきにのみほしもうぱいといひつゝ又々呑口のみくち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
の花やせきだほしク里の垣 左白
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
第一だいいちこのいへは、むかし蕎麥屋そばやで、なつ三階さんがいのものほしでビールをませた時分じぶんから引續ひきつゞいた馴染なじみなのである。——座敷ざしきも、おもむきかはつたが、そのまゝ以前いぜんおもかげしのばれる。……めいぶつのがくがあるはずだ。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほしければ當人は申に及ばず女房お政の歡喜よろこび言ん方なく迅速すみやかに腰懸まで迎ひに來り是偏へに御奉行の明斷による所なりと白洲の方に向ひてしきりに伏拜ふしをがうれし涙にくれたりけり時に後藤半四郎は再び大岡殿に向ひ恐れながら某し御奉行樣へ願ひあげ奉つりたき儀御座候右は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
女房に洗はせにはほして置たと有是等がたしかな證據しようこなり然れどもいまだ爭ふか不屆者ふとゞきものめと言れて九助は彌々いよ/\あきれ果私しの紙入は昨日金谷かなや法事ほふじの場所にて紛失ふんじつなし又衣類のすそへ血の付は金谷村の法事より歸りて後再び上新田村の無量庵むりやうあんへ相越し妻が實母じつぼ回向ゑかう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)