山国やまぐに)” の例文
旧字:山國
もちろん海抜六百尺をもって最高点となすユトランドにおいてはわがくにのごとき山国やまぐににおけるごとく洪水の害を見ることはありません。
なぜって、わしは山国やまぐにの生れでね、小さいときから、山のぼりや木のぼりをやっていて、それにかけてはお猿さんより上手なんだからね
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あゝ、山国やまぐに門附かどづけ芸人、誇れば、魔法つかひと言ひたいが、いかな、までの事もない。昨日きのうから御目おめに掛けた、あれは手品ぢや。」
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なにしろういう山国やまぐにには不思議なことが絶えないので困る。いや、飛んだ長話でお邪魔をしました。(立上る。)
人狼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あるとき、殿とのさまは山国やまぐに旅行りょこうなされました。その地方ちほうには、殿とのさまのお宿やどをするいい宿屋やどやもありませんでしたから、百姓家しょうやにおまりなされました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
男「小川村というのは上州も東口とやら、山国やまぐにと聞きましたが、大層遠方へおいでゞございますねえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
信州は山国やまぐにでも、もう薪の少なくなった地方の一つだが、それでも各郡にこの千駄焚きという語はのこっていて、じっさいはただほうぼうの家から、松の枝などを持ちより
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
畠仕事はたけしごとをして居る百姓の働き振を見ては、まるで遊んでる様ですな、と云う。かれは生活の闘烈しい雪の山国やまぐにに生れ、彼自身も烈しい戦の人であった。彼は小学教員であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
但馬たじま山国やまぐに
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
すずしいはずの信州しんしゅう上越じょうえつ山国やまぐに地方においてさえ、夜は雨戸をあけていないと、ねむられないほどの暑くるしさだった。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かぜもふわ/\とえだくすぐつて、はら/\わらはせてはなにしやうとするらしい、つぼなかのやうではあるが、山国やまぐにをぼろ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いくらさしあげたいとおもっても、山国やまぐに不便ふべんなところでありましたから、さしあげるものもありませんでしたけれど、殿とのさまは、百しょう真心まごころをうれしくおもわれ、そして
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
懐には合口あいくちをのんで居る位に心掛けて、怪しい者が来ると脊負しょって居る包をねて置いて、懐中の合口を引抜くと云う事で始終山国やまぐにを歩くから油断はしません。よく旅慣れて居るもので御座ります。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
が、でゝてもしづくわからぬ。——あめるのではない、つき欠伸あくびするいきがかゝるのであらう……そんなばんにはかはをそけるとふが、山国やまぐにそれ相応ふさはぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「こちらへきて、幸福こうふくの一つは、れわたったあおそらられることですが、それにつけ、いっそう、あのさびしい山国やまぐにで、はたらひとたちのことをおもいます。」と、いたのでありました。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
武士「久しく山国やまぐにへ来て居て田舎者に成りました」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
(これは、なんでござりまする、)と山国やまぐにひとなどはこと出家しゆつけると丁寧ていねいにいつてくれる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこは、山国やまぐにちいさな発電所はつでんしょでした。りょう一は、ここへ勤務きんむしたのです。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
じつ矢叫やさけびごとながれおとも、春雨はるさめ密語さゝやきぞ、とく、温泉いでゆけむりのあたゝかい、山国やまぐにながらむらさきかすみ立籠たてこもねやを、すみれちたいけと見る、鴛鴦えんわうふすま寝物語ねものがたりに——主従しゆじう三世さんぜ親子おやこ一世いつせ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まだ方々ほうぼうあるいてとしれに、山国やまぐにまちかえるといった。」
山に雪光る (新字新仮名) / 小川未明(著)
未知みち山国やまぐに生活せいかつがなつかしまれたのであります。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)