小言こゞと)” の例文
胸が苦しくなったので、伝三郎は小言こゞとは後廻しにして反吐を吐きに便所に立った。初乃がペタ/\後に随いて行った。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
みなのもの祝義しうぎでもつかはしませうとてこたへもかずずん/\と引出ひきいだすを、きやくはしらよりかゝつてながめながら小言こゞともいはず、諸事しよじおまかせ申すと寛大かんだいひとなり。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どうしたものかんがへ、こまつたものとなげき、はては意見いけん小言こゞとぜてさまざまかせぬ。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ほんとにおぶうならかへりに吃度きつとよつておれよ、うそきだからなにふかれやしないと店先みせさきつて馴染なじみらしきつツかけ下駄げたをとこをとらへて小言こゞとをいふやうなものひぶり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ヱヽくらしいそのものいひをすこなほさずは奧樣おくさまらしくきこへまい、結城ゆふきさんがたらおもふさまいふて、小言こゞとをいはせてせようとて朝之助とものすけかほるより此樣こんことまをしまする
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
太郎たらう仕立したてるにも母樣はゝさん馬鹿ばかにするになられたらなんとしまする、ふだけのこと屹度きつとふて、それがるいと小言こゞとをいふたらなんわたしにもうちありますとてるがからうではいか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おなじくならびし花瓶はないけたほし、散々さん/″\破損けがをさせしに、旦那だんなつぎ御酒ごしゆめしあがりながら、美登利みどり轉婆てんばぎるのとはれしばかり小言こゞとかりき、ほかひとならば一とほりのおこりではるまじと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あとでいたとき直樣すぐさまかへしにかうとつたら、親父とつさんにあたまから小言こゞとつて其時そのとき泣寢入なきねいり一昨年おととしはそらね、おまへつてるとほ筆屋ふでやみせ表町おもてまち若衆わかいしゆ寄合よりあつ茶番ちやばんなにかやつたらう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
是にもはらはたてども良人おつとあそばすことなればと我慢がまんしてわたしなに言葉ことばあらそひしたこと御座ござんせぬけれど、朝飯あさはんあがるときから小言こゞとえず、召使めしつかひまへにて散々さん/″\わたし不器用ぶきよう不作法ぶさはう御並おならへなされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)