小児せうに)” の例文
旧字:小兒
小児せうにの如くタワイなく、意気地いくぢなく、湾白わんぱくで、ダヾをこねて、あそずきで、無法むはふで、歿分暁わからずやで、或時あるときはおやま大将たいしやうとなりて空威張からゐばりをし
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
おびもせざる女片手かたて小児せうに背負せおひ提灯ちやうちんさげ高処たかきところにげのぼるは、ちかければそこらあらはに見ゆ、いのちとつりがへなればなにをもはづかしとはおもふべからず。
愛くるしい三歳ぐらゐ小児せうにの裸の石像が無邪気な姿勢をして立ちながら手で軽く支へた前の物から、細い噴水が勢ひよく円を描いて流れて落ちるのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
這麽こんな社会だから、赤裸々な、堂々たる、小児せうにの心を持ツた、声の太い人間が出て来ると、鼠賊共、大騒ぎだい。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おそれながら御前ごぜんさまはお大名だいみやう御身おみりながら、お月さまとおほせられましては、小児せうに童子わらべことにて、歌俳諧うたはいかいにでも月は月で事はますやうぞんじます。
昔の大名の心意気 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ことに、支那にありては人参に関して荒唐な伝説があり、「抱朴子はうぼくし」には「人参千歳くわして小児せうにとなる」
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
伊勢物語に、「二人して結びし紐を一人して相見るまでは解かじとぞ思ふ」思ふに下裳したも小児せうにの附紐の如く肌着に着けたる紐なるべし。或は今下じめといふものの如く結びたるものならむか。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
教会けうくわい草木さうもくまた動物どうぶつの如き自然物しぜんぶつにあらず、草木は時期じきさだめてはなむすび、小児せうに時期じき経過けいくわすれば成人せいじんして智力ちりよく啓発けいはつに至るべし、しかれども教会けうくわい人為的じんゐてきなり、復興ふくこうせんとほつせば明日めうにち
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
男子なんしにも、六八ずゐ煬帝やうだい臣家しんか六九麻叔謀ましゆくぼうといふもの、小児せうにの肉を嗜好このみて、ひそかに民の小児をぬすみ、これをしてくらひしも七〇あなれど、是は浅ましき七一えびす心にて、あるじのかたり給ふとはことなり。
これと同じ姿勢をした木彫の小児せうに巴里パリイのクルニイの博物館ミユウゼで観た事をおもひ出したが、この奇抜な放尿の噴水に如何いかなる由来があるかは早速さつそく繰返して見た案内書ヹヂカアにも見当ら無い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
且つ又聖経バイブルの教ふるところれば天国てんこくかんとすれば是非ぜひとも小児せうにこゝろたざるべからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
其年九月のはじめ安産あんざんしてしかも男子なりければ、掌中てのうちたまたる心地こゝちにて家内かないよろこびいさみ、産婦さんふすこやか肥立ひだち乳汁ちゝも一子にあまるほどなれば小児せうに肥太こえふと可賀名めでたきなをつけて千歳ちとせ寿ことぶきけり。
小児せうにの顔を
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)