失敗しっぱい)” の例文
おとこは、いえかえり、今度こんどは、失敗しっぱいをしないつもりで、けた仏像ぶつぞうをふろしきにつつんで、むら金持かねもちのところへってかけました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのため、いまにも地面じめんにさわりそうです。ズルスケはこのガンめがけて、思いきり高くねあがりました。が、またまた失敗しっぱいです。
もっともすこし失敗しっぱいしたところもあって、うまくえうせてはしまわなかったがね。うまくいかなかったところは、ひとみとつめだ。
木戸銭きどせんをだしていない大道芸だいどうげいのせいでもあろうが、とかく人間は、かれの成功せいこうよりもかれの失敗しっぱいをよろこぶ傾向けいこうをたぶんにもっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくし岩屋いわや修行しゅぎょうというのは、つまりうした失敗しっぱいとお叱言こごとりかえしで、自分じぶんながらほとほと愛想あいそきるくらいでございました。
それでもわたしはこの旅行のはじめから、親方をわらわせるような失敗しっぱいえんじて、ポーに着くまで、そのためなぶられどおしになぶられるほかはなかった。
女の子はきながら、まま母のところへかけていって、とんでもない失敗しっぱいをしたことを話しました。ところが、まま母は女の子をひどくしかりつけました。
平生へいぜいからきみがよせといつたのをきけばよかつた。これはわたし失敗しっぱいはなはだすみませんでした。あやまります
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
これを要するに維新いしんの際、脱走だっそう一挙いっきょ失敗しっぱいしたるは、氏が政治上の死にして、たといその肉体の身は死せざるも最早もはや政治上に再生さいせいすべからざるものと観念してただ一身をつつし
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「おい、失敗しっぱいだよ。失敗だ。ひどくしくじった。きみふくろにはまだ沢山たくさんあるか。」
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
主人は百方ひゃっぽうをつくして、この国で生まれた人間ですからというような糸口いとぐちを引きだそうとこころみたが、いつでも失敗しっぱいにおわった。かれは主人にたいしたときにも、ときをきらわず立ってしまう。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
失敗しっぱいすると、失敗のもとたりし理由を人格視パーソニファイして、あのかねのためにたたられたとか、あの機械のために一身をほろぼしたとか、ついにはこれを供給した人にこのうらみせ、なんなにがしはあれほど老練ろうれんであるから
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「いやだいやだ。僕がやれば、みんな助かるんだもの。僕はどうしてもやるよ。僕はね。あのファットマンの背中せなかでする芸なら、なんでも失敗しっぱいしないという自信じしんがあるんだからね。そんなに心配しないでやらせてくれよ。」
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
にいさん、なにが幸福しあわせになり、なにが不幸福ふしあわせになるか、わかったものでありません。あれからわたしは、事業じぎょうおこして失敗しっぱいしました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
だめだ、また失敗しっぱいだ。どうもうまくいかんぞ。三十万かな、いや、四十万かな、なにしろたいしたかずだ。おれはだまされたのかな? こんなことを
たしかなものであったから、花が当日におくれたり早すぎたりするなどという失敗しっぱいはなかったが、それだけにめんどうな手数のかかることはしかたがなかった。
けれど、冬じゅうおなかのへっていたことも、きょう一日の失敗しっぱいにくらべれば、なんでもありません。
「ああ、あっちにもみちがあるのか。そっちへも制札せいさつをしておかなかったのは失敗しっぱいだった。ねえ、きみ。」と云いながらあとからしなびたメリケンふくろをかついで来た黒服に云いました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それから、いくたびも失敗しっぱいして、ながあいだかかって、やっと、かれは、てつぎんとを混合こんごうすることによって、ついに、愉快ゆかい音色ねいろすことに成功せいこうしました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのためある音楽師おんがくしを二、三人やくそくしたが、まぎわになってだめになったので、あしたの興行こうぎょう失敗しっぱいになるのではないかと心配していたところであった。
ペテロは失敗しっぱいしたけれども、気をおとさずに、かえって、神さまをなぐさめようとして
石切り場にねむろうとして失敗しっぱいして、それからあとの始末を一とおり話しかけて、やっと五分たつかたたないうちに、そのに向かっているドアを引っかく音が聞こえた。
おとこは、失敗しっぱいしてしまいました。そのいえると、かれは、残念ざんねんでたまりませんでした。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、事業じぎょう失敗しっぱいをして、いまさら故郷こきょうへはかえれません。わたし故郷こきょうは、ここからとおうございます。どこかへかせぎでもして、てたいとおもって、あてもなく、やってきたのです。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うまくゆけば二つで二千三百りょうになるものをとおもいますと、ほんとうにかえしのつかない、失敗しっぱいをしたとづきました。かれは、どうかしてこのわせをしなければならぬとおもいました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、いちばんこまったことには、なにか自分じぶん不注意ふちゅういで、失敗しっぱいをしたものが、しろかげたからといって、ほんとうは、もしないのに、すべての過失かしつしろかげしてしまったことでありました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)