トップ
>
大釜
>
おおがま
ふりがな文庫
“
大釜
(
おおがま
)” の例文
硫黄
(
いおう
)
の
臭
(
におい
)
もせず、
蒼
(
あお
)
い火も吹出さず、
大釜
(
おおがま
)
に湯玉の散るのも聞えはしないが、こんな山には、ともすると地獄谷というのがあって
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その前日あたりから、この辺の大きな店で、道端に
大釜
(
おおがま
)
を据えて、握り
拳
(
こぶし
)
くらいある唐の芋ですが、それを
丸茹
(
まるゆで
)
にするのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
建網
(
たてあみ
)
に損じの有る無し、網をおろす場所の海底の模様、
大釜
(
おおがま
)
を
据
(
す
)
えるべき位置、
桟橋
(
さんばし
)
の改造、
薪炭
(
しんたん
)
の買い入れ、米塩の運搬、仲買い人との契約
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ですからしまいには、泉一ぱいの水が、その焔でぐらぐらとわきたって、ちょうど
大釜
(
おおがま
)
のお湯がふきこぼれるように、土の上へふき
上
(
あが
)
って来ました。
ぶくぶく長々火の目小僧
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
爐の口へたき物をくべる者、爐の上は
大釜
(
おおがま
)
がかかっている。湯気が青白く吹き出ている。その中の液を汲み出す者。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
大
(
おお
)
きい
家
(
いえ
)
がありましてね、そこの
飯炊
(
めした
)
き
釜
(
がま
)
は、まず三
斗
(
と
)
ぐらいは
炊
(
た
)
ける
大釜
(
おおがま
)
でした。あれはえらい
銭
(
ぜに
)
になります。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
大きな、
素張
(
すば
)
らしく美事な焼芋で、質のよい品を売ったので大
繁昌
(
はんじょう
)
だった。三ツの
大釜
(
おおがま
)
が間に合わないといった。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
本陣の勝手口の木戸をあけたところに
築
(
つ
)
いてある
土竈
(
どがま
)
からはさかんに枯れ松葉の煙のいぶるような朝が来た。
餅搗
(
もちつ
)
きの時に使う古い
大釜
(
おおがま
)
がそこにかかった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先ごろ、熊野新宮へ御寄進の
大釜
(
おおがま
)
一口に、
大檀那
(
おおだんな
)
鎌倉ノ
執権
(
しっけん
)
北条高時と、
御銘
(
ぎょめい
)
を
鋳
(
い
)
らせたものを運ばせたとか伺っていた。それの帰りの一と組だろう、この
輩
(
やから
)
も
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その神は不思議な
大釜
(
おおがま
)
に五色の
虹
(
にじ
)
を焼き出し、シナの天を建て直した。しかしながら、また女媧は
蒼天
(
そうてん
)
にある二個の
小隙
(
しょうげき
)
を埋めることを忘れたと言われている。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
そっと小屋を
覗
(
のぞ
)
いてみると、蕗が山のように積んである中で、
大釜
(
おおがま
)
にどんどん火を
焚
(
た
)
き浪江がせっせと蕗を小さく切る側から、家士たちが
茹
(
ゆ
)
であげたのを大きな箱に詰めている。
蕗問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
兵站部の三箇の
大釜
(
おおがま
)
には火が盛んに燃えて、煙が薄暮の空に濃く
靡
(
なび
)
いていた。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
米友が社前をのぞいて見ると、
大釜
(
おおがま
)
が
据
(
す
)
えてあってそれでお
粥
(
かゆ
)
を煮ています。世話人のような威勢のいいのが五六人で、そのお粥の給仕をしてやると、群がり集まった連中がうまそうに食っています。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ころ柿のような髪を結った霜げた女中が、
雑炊
(
ぞうすい
)
でもするのでしょう——土間で
大釜
(
おおがま
)
の下を
焚
(
た
)
いていました。番頭は帳場に青い顔をしていました。
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浜には
津軽
(
つがる
)
や
秋田
(
あきた
)
へんから集まって来た
旅雁
(
りょがん
)
のような漁夫たちが、
鰊
(
にしん
)
の
建網
(
たてあみ
)
の修繕をしたり、
大釜
(
おおがま
)
の
据
(
す
)
え
付
(
つ
)
けをしたりして、黒ずんだ自然の中に
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
戸を
卸
(
おろ
)
した六
間
(
けん
)
間口
(
まぐち
)
の
艾屋
(
もぐさや
)
の軒下に、すばらしい
大釜
(
おおがま
)
が看板に
据
(
す
)
えてあった。釜で覚えていたのである。
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこの
土竈
(
どがま
)
の前には古い
大釜
(
おおがま
)
を取り出すものがある。ここの勝手口の外には枯れ松葉を運ぶものがある。玄関の左右には陣中のような二張りの幕も張り回された。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
どこからか古い
雛段
(
ひなだん
)
を出して来て順序よく並べ、
暫
(
しばら
)
くするとまた並べ替えるのでした。
大釜
(
おおがま
)
を古道具屋から買って来て、書生に水を一ぱい張らせます。夕方植木に水をやるのは私の役でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
発戸河岸
(
ほっとかし
)
のほうにわかれる
路
(
みち
)
の
角
(
かど
)
には、ここらで評判だという
饂飩
(
うどん
)
屋があった。朝から
大釜
(
おおがま
)
には湯がたぎって、
主
(
あるじ
)
らしい男が、大きなのべ板にうどん粉をなすって、せっせと玉を伸ばしていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
蛇責
(
へびぜめ
)
こそ恐しかりけり。
大釜
(
おおがま
)
一個
(
ひとつ
)
まず舞台に据えたり。
背後
(
うしろ
)
に六角の太き柱立てて、釜に入れたる浅尾の
咽喉
(
のんど
)
を鎖もて
縛
(
いまし
)
めて、真白なる
衣
(
きぬ
)
着せたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
納屋の中からは
大釜
(
おおがま
)
や
締框
(
しめわく
)
がかつぎ出され、ホック船やワク船をつとのようにおおうていた
蓆
(
むしろ
)
が取りのけられ、
旅烏
(
たびがらす
)
といっしょに集まって来た漁夫たちが
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この混雑のあとには、御通行当日の
大釜
(
おおがま
)
の用意とか、
膳飯
(
ぜんぱん
)
の準備とかが続いた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
疣々
(
いぼいぼ
)
打った
鉄棒
(
かなぼう
)
をさし
荷
(
にな
)
いに、桶屋も
籠屋
(
かごや
)
も手伝ったろう。
張抜
(
はりぬき
)
らしい
真黒
(
まっくろ
)
な
大釜
(
おおがま
)
を、
蓋
(
ふた
)
なしに担いだ、
牛頭
(
ごず
)
、
馬頭
(
めず
)
の青鬼、赤鬼。青鬼が前へ、赤鬼が
後棒
(
あとぼう
)
で、
可恐
(
おそろ
)
しい面を
被
(
かぶ
)
った。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
野天
(
のてん
)
に
大釜
(
おおがま
)
をかけた
土竈
(
どべっつい
)
からは青々とした煙の立ち上るのも目につきました。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大釜
(
おおがま
)
に湯気を
濛々
(
もうもう
)
と、狭い
巷
(
ちまた
)
に
漲
(
みなぎ
)
らせて、
逞
(
たくま
)
しい
漢
(
おのこ
)
が
向顱巻
(
むこうはちまき
)
で
踏
(
ふみ
)
はだかり、青竹の
割箸
(
わりばし
)
の逞しいやつを使って、
押立
(
おった
)
ちながら、二尺に余る
大蟹
(
おおがに
)
の
真赤
(
まっか
)
に
茹
(
ゆだ
)
る処をほかほかと引上げ引上げ
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飾
(
かざり
)
の鳥には、雉子、
山鶏
(
やまどり
)
、秋草、もみじを切出したのを、
三重
(
みえ
)
、
七重
(
ななえ
)
に——たなびかせた、その
真中
(
まんなか
)
に、丸太
薪
(
たきぎ
)
を
堆
(
うずたか
)
く烈々と
燻
(
く
)
べ、
大釜
(
おおがま
)
に湯を沸かせ、湯玉の
霰
(
あられ
)
にたばしる中を、
前後
(
あとさき
)
に行違い
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
釜
常用漢字
中学
部首:⾦
10画
“大釜”で始まる語句
大釜戸