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埋
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うづも
ふりがな文庫
“
埋
(
うづも
)” の例文
昔わざ/\都の
橐駝師
(
うゑきや
)
を連れて來て造らせたといふ
遠州流
(
ゑんしうりう
)
の
前栽
(
せんざい
)
も殘らず草に
埋
(
うづも
)
れて、大きな石の頭だけがニヨキツと見えてゐた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その小さな石塔が持つて来た沢山の花に
半
(
なかば
)
埋
(
うづも
)
れてゐるのがあるだけだつた。ダリアの黄。シネラリアの薄くれなゐ。えぞ菊の紫。
草みち
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
昼寐
(
ひるね
)
の
夜具
(
やぐ
)
を
敷
(
し
)
きながら
墓地
(
ぼち
)
の
方
(
はう
)
を
見下
(
みおろ
)
すと、いつも
落葉
(
おちば
)
に
埋
(
うづも
)
れたまゝ
打棄
(
うちす
)
てゝある
古
(
ふる
)
びた
墓
(
はか
)
も
今日
(
けふ
)
は
奇麗
(
きれい
)
に
掃除
(
さうぢ
)
されて、
花
(
はな
)
や
線香
(
せんかう
)
が
供
(
そな
)
へられてゐる。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
外
(
そと
)
百番の
謡
(
うたひ
)
に見えし松山
鏡
(
かゞみ
)
といふも此地也。そのうたひにある鏡が池の
古跡
(
こせき
)
もこゝにあり、今は池にもあらぬやうに
埋
(
うづも
)
れたれど、その
跡
(
あと
)
とてのこれり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その墓に
埋
(
うづも
)
れた心が、
何
(
ど
)
れだけ熱情的で罪深く、また反逆的であつたにせよ、そが上に咲く花は無邪気の眼で我等に視入り、その眼は永遠の調和と無限の生命とを
愛は、力は土より
(新字旧仮名)
/
中沢臨川
(著)
▼ もっと見る
草に
埋
(
うづも
)
れた溝と、梅や桃を植ゑた農家の垣根の間の少し上りになつた
凸凹路
(
でこぼこみち
)
を、まだ二十歩とは歩かぬうちに、行手には二三人の生徒らしい男の児の姿が見えた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
燻臭
(
いぶりくさ
)
き悪気は
四辺
(
あたり
)
に
充満
(
みちみ
)
ちて、踏荒されし道は水に
漐
(
しと
)
り、
燼
(
もえがら
)
に
埋
(
うづも
)
れ、
焼杭
(
やけくひ
)
焼瓦
(
やけがはら
)
など所狭く積重ねたる
空地
(
くうち
)
を、火元とて
板囲
(
いたがこひ
)
も
得為
(
えせ
)
ず、それとも分かぬ焼原の
狼藉
(
ろうぜき
)
として
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
秋の野風に
暴
(
さら
)
して、恨みさびたる其樣は、如何なる大道心者にても、
心
(
こゝろ
)
動
(
うご
)
かんばかりなるに、峰の嵐に
埋
(
うづも
)
れて嘆きの聲の聞えぬにや、鈴の音は調子少しも亂れず、行ひすましたる瀧口が心
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
対岸の蘆、河の真中にある洲、水に近い
楊
(
やなぎ
)
などは白い雪に
埋
(
うづも
)
れて、何となく深い物の奥の知れない方から
水勢
(
みづせ
)
が押し寄せて来て居るやうに見える。高い岸の上の休茶屋には川船を待つ人達が居る。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
夏草は刈りはらはねば葺かずとも
菖蒲
(
あやめ
)
よもぎに
埋
(
うづも
)
るる庵
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
たづきなさ——わが魂は
埋
(
うづも
)
れぬ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
しかも人知れず
埋
(
うづも
)
れたその池の中にも、生物は絶えずその生と滅とを続けてゐるのであつた。夜は
蛙
(
かはづ
)
の鳴く声が
喧
(
やかま
)
しくそこからきこえた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
苔と落葉と土とに
埋
(
うづも
)
れてしまつた古い石碑の
面
(
おもて
)
を恐る/\洗ひ清めながら、磨滅した
文字
(
もんじ
)
の一ツ一ツを
捜
(
さぐ
)
り出して行くやうな心持で、自分は先づ第一に
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
人家
(
じんか
)
にちかき
流
(
ながれ
)
さへかくのごとくなれば、この二
条
(
すぢ
)
の
流
(
ながれ
)
の
水源
(
みなかみ
)
も雪に
埋
(
うづも
)
れ、
水用
(
すゐよう
)
を
失
(
うしの
)
ふのみならず水あがりの
懼
(
おそれ
)
あるゆゑ、
所
(
ところ
)
の人
力
(
ちから
)
を
併
(
あはせ
)
て流のかゝり口の雪を
穿
(
うがつ
)
事なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
年久く
飼
(
かは
)
るる
老猫
(
ろうみよう
)
の
凡
(
およ
)
そ
子狗
(
こいぬ
)
ほどなるが、棄てたる雪の
塊
(
かたまり
)
のやうに
長火鉢
(
ながひばち
)
の
猫板
(
ねこいた
)
の上に
蹲
(
うづくま
)
りて、前足の
隻落
(
かたしおと
)
して
爪頭
(
つまさき
)
の灰に
埋
(
うづも
)
るるをも知らず、
齁
(
いびき
)
をさへ
掻
(
か
)
きて
熟睡
(
うまい
)
したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
形骸
(
かたち
)
は
良
(
よ
)
しや冷土の中に
埋
(
うづも
)
れても、魂は定かに六尺の上に聞こしめされん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
埋
(
うづも
)
れしわが
追憶
(
おもひで
)
や。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
田舎に
埋
(
うづも
)
れ果てゝ了ふのを慨く若い熱い心に促されて、お互にしめし合せて、いくらかの金を持つて、深夜から暁にかけて、積雪を踏んで故郷を出て来た。
田舎からの手紙
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
雪いまだ
消
(
きえ
)
ず、山々はさら也
田圃
(
たはた
)
も
渺々
(
べう/\
)
たる
曠平
(
くわうへい
)
の
雪面
(
せつめん
)
なれば、
枝川
(
えだかは
)
は雪に
埋
(
うづも
)
れ水は雪の下を流れ、大河といへども冬の初より
岸
(
きし
)
の水まづ
氷
(
こほ
)
りて氷の上に雪をつもらせ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
かの妨げられし恋は、破鏡の再び合ふを得て楽み、吾が
割
(
さか
)
れし愛は落花の
復
(
かへ
)
る無くして
畢
(
をは
)
らんのみ! いで、吾はかくて空く
埋
(
うづも
)
るべきか、風に
因
(
よ
)
りて飛ぶべきか、水に落ちて流るべきか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
埋
常用漢字
中学
部首:⼟
10画
“埋”を含む語句
埋葬
生埋
埋合
溝埋
埋火
降埋
埋木
埋没
埋立
穴埋
埋蔵
埋葬地
埋尽
埋伏
埋立地
埋兵
埋草
埋地
仮埋葬
埋堀
...