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圧
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あっ
ふりがな文庫
“
圧
(
あっ
)” の例文
旧字:
壓
「マアどうしたのだろう!」校長は
喫驚
(
びっくり
)
すると共に、何とも言い難き苦悩が胸を
圧
(
あっ
)
して来た。心も空に、気が気ではない。倉蔵は門を開けながら
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そのとき烈しい香料の匂いが、溝の臭気を
圧
(
あっ
)
しながら、ふうわりと
羅
(
うすもの
)
のように漂いながら匂っていることをかんじた。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
かかる
議論
(
ぎろん
)
にまるで
心
(
こころ
)
を
圧
(
あっ
)
しられたアンドレイ、エヒミチは
遂
(
つい
)
に
匙
(
さじ
)
を
投
(
な
)
げて、
病院
(
びょういん
)
にも
毎日
(
まいにち
)
は
通
(
かよ
)
わなくなるに
至
(
いた
)
った。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
けれど、
親木
(
おやぎ
)
は、
子供
(
こども
)
に
圧
(
あっ
)
せられて、
地面
(
じめん
)
をはって、
泥
(
どろ
)
に
葉
(
は
)
が
汚
(
よご
)
されて、
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もなかったのであります。
親木と若木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ぽっちりと目をあいて見廻す瞳に、まず
圧
(
あっ
)
しかかる黒い
巌
(
いわお
)
の天井を意識した。次いで、氷になった
岩牀
(
いわどこ
)
。両脇に垂れさがる荒石の壁。したしたと、岩伝う
雫
(
しずく
)
の音。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
父親は今でも然うだが、独り言のように
諺
(
ことわざ
)
を
呟
(
つぶや
)
く癖があった。僕はそれを小耳に挾んで覚えていたのだった。博覧強記の点はその頃から菊太郎君を
圧
(
あっ
)
していたのらしい。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
石垣をあがると、廟の廻廊に、金剛獅子の常明燈が、あたりを淡く照らしていて、その大屋根を
圧
(
あっ
)
している
敏達帝
(
びだつてい
)
の御陵のある冬山のあたりを、千鳥の影がかすめて行った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
通りすがりに考えつつ、
立離
(
たちはな
)
れた。
面
(
おもて
)
を
圧
(
あっ
)
して
菜種
(
なたね
)
の花。
眩
(
まばゆ
)
い日影が輝くばかり。
左手
(
ゆんで
)
の
崕
(
がけ
)
の緑なのも、向うの山の青いのも、
偏
(
かたえ
)
にこの
真黄色
(
まっきいろ
)
の、
僅
(
わずか
)
に
限
(
かぎり
)
あるを語るに過ぎず。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戸の外を、桜
樹立
(
こだち
)
がぐるりと囲む……桜が……しんしんと咲き静まった桜樹立が真夜中に……
棟
(
むね
)
を
圧
(
あっ
)
して桜樹立が……桜樹立がしんしんと……私は、ぞっとして
夜具
(
やぐ
)
をかぶった。
病房にたわむ花
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼の同僚は、彼の威勢に
圧
(
あっ
)
せられて
唯々
(
いい
)
たり、彼の下僚は、彼の意を迎合して
倉皇
(
そうこう
)
たり、天下の民心は、彼が
手剛
(
てごわ
)
き仕打に
聳動
(
しょうどう
)
せられて
愕然
(
がくぜん
)
たり。彼は
騎虎
(
きこ
)
の勢に乗じて、
印幡沼
(
いんばぬま
)
の
開鑿
(
かいさく
)
に着手せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
しかし数日前の月輪家の招宴から帰った後の状態はさらに悪くなっている、刻々と、意思は
蝕
(
むしば
)
まれ、信念は敗地へ追いつめられて行く、どうしようもない本能の
圧
(
あっ
)
す力である。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この歌は、平安朝に
艶名
(
えんめい
)
一世
(
いっせ
)
を
圧
(
あっ
)
した、
田
(
た
)
かりける
童
(
わらべ
)
に
襖
(
あお
)
をかりて、あをかりしより思ひそめてき、とあこがれた
情
(
なさけ
)
に感じて、奥へと言ひて呼び入れけるとなむ……
名媛
(
めいえん
)
の作と思う。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さてまた
考
(
かんが
)
えれば
考
(
かんが
)
うる
程
(
ほど
)
迷
(
まよ
)
って、
心中
(
しんちゅう
)
はいよいよ
苦悶
(
くもん
)
と、
恐怖
(
きょうふ
)
とに
圧
(
あっ
)
しられる。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
上陸
(
じょうりく
)
すると、すぐに、
彼
(
かれ
)
の
部隊
(
ぶたい
)
は、
前線
(
ぜんせん
)
に
出動
(
しゅつどう
)
を
命
(
めい
)
ぜられました。そこでは、
激
(
はげ
)
しい
戦闘
(
せんとう
)
が
開始
(
かいし
)
された。
大砲
(
たいほう
)
の
音
(
おと
)
は
山野
(
さんや
)
を
圧
(
あっ
)
し、
銃弾
(
じゅうだん
)
は、一
本
(
ぽん
)
残
(
のこ
)
さず
草
(
くさ
)
を
飛
(
と
)
ばして
雨
(
あめ
)
のごとく
降
(
ふ
)
り
注
(
そそ
)
いだ。
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「そうだとも、われらよりは深い思慮で遊ばすことだ。つまらぬ憂いは、かえってご思念の
邪
(
さまた
)
げになる」すると
黄昏
(
たそがれ
)
の
寂
(
じゃく
)
とした物静かな空気が、
伽藍
(
がらん
)
の高い天井から
圧
(
あっ
)
しるように下りてきて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、忠明は、彼の顔を睨まえて師の座から一言に
圧
(
あっ
)
して
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼を
圧
(
あっ
)
して、明智勢は城門の下までむらがり駈けた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
圧
常用漢字
小5
部首:⼟
5画
“圧”を含む語句
圧迫
圧伏
圧力計
抑圧
圧倒
鎮圧
圧石
威圧
圧附
消圧
圧逼
圧搾空気
圧倒的
押圧
圧殺
圧抑
圧縮
圧制者
低気圧
気圧
...