だん)” の例文
旧字:
ここは外夷に、屋島は内海の乱に、常時、防人さきもりだんがおかれていたものであろう。だから壇ノ浦のそばには火山ひのやま(のろし山)の名もある。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、みんなが、一だんとなって、ペスをさがしにゆきました。そのなかに、ちいさいまさちゃんもはいっていました。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
お父さんは余程以前からこういう目論見もくろみをしていたと見えて、旅行日程の書いてある手帳を持って来た。そうして二人がなお話しているところへだんさんがノソッと姿を現した。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
けれども、返事へんじをしようと思っているうちに、このカラスの一だんのおかしららしい、さっきの大ガラスが、ニールスの耳もとで、「目玉めだまのことを忘れるな!」と、しかりつけました。
みことにかかってほろぼされた賊徒ぞくとかず何万なんまんともれぬ。で、それが一だん怨霊おんりょうとなってすきうかがい、たまたまこころよからぬ海神かいじんたすけけをて、あんな稀有けう暴風雨あらしをまきおこしたのじゃ。
... 八代目だいめだんらう市村羽左衛門いちむらうざゑもん怪談くわいだん沢村宗さはむらそうらう御殿女中ごでんぢよちう怪談くわいだん岩井半いはゐはんらう怪談くわいだん其他そのた聞いた事見た事を種々いろ/\集めてゐるんですが」とふと、是真翁ぜしんをうが「円朝ゑんてうさん、めう怪談くわいだん種子たねがある。 ...
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれは、そうおもうと、憤然ふんぜんとして、すきをて、このサーカスだんからそうと苦心くしんしたのであります。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
蛾次郎がじろうもにわかにあわてだして、半助のからだを背負せおって、一目散いちもくさんにそこを立ちさった。すると、たった一足ひとあしちがいに、あらしのように殺到した一だんの軍馬があった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「時々来ます。突如いきなり引き合せて、誰だと訊いてやりましょうか? 面白いですな、これは。妻も喜びますよ。家で同窓会が出来ます。然う/\、会社ではだんさんが同窓の先輩です」
冠婚葬祭博士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
いしうえこしをおろして、前方ぜんぽうていると、ちょうど、があちらの山脈さんみゃくあいだはいりかかっています。金色こんじきにまぶしくふちどられたくもの一だんが、そのまえはしっていました。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
見るまに沖の明るみは一だんの火の玉となって、金粉のごとき火のを空にふきあげた。夜のうしお燦爛さんらんめられて、あたかも龍宮城が焼けおちているかのような壮観そうかんを現じた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もんぺを穿き、白の髪止かみどめをしめた一だんの少女たちが、ひとりのわらべの手足をもってたすけあい、もりからさわへ、沢から渓流けいりゅうへ、浅瀬あさせをわたってザブザブと峡の向こうへよじのぼる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、二、三ねんもたった、のちのことです。少年しょうねんは、あるサーカスだんくわわって、諸国しょこく流浪るろうしていました。自分じぶんあねが、サーカスだんくわわっているようなうわさをいたからでもありました。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いわれてみれば、古記に“豊浦とよらだん”などという文字もある。「玉葉」の著者九条兼実は、清盛嫌いで、反平家派の巨頭だが、さすがにこの人は、団ノ浦と書いて、檀とは書いていない。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう難しく穿鑿せんさくするなら、ダンはだんで、団ノ浦でなければ、正確ではない。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)