四季しき)” の例文
お日さまが年中かがやいて、四季しきの花がたえずさいていた、あのうつくしい花ぞのでは、そんなことはわかりませんでした。
景色けしきは、四季しきともさわやかな奧床おくゆかしい風情ふぜいである。雪景色ゆきげしきとくい。むらさきかすみあをきり、もみぢも、はなも、つきもとかぞへたい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みぎ次第しだいにて大陰暦たいゝんれき春夏秋冬しゆんかしうとうせつかゝはらず、一年の日數ひかずさだむるものなれば去年きよねん何月何日なんぐわつなんにちと、今年ことし其日そのひとはたゞとなへのみ同樣どうやうなれども四季しきせつかなら相違さうゐせり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
四季しき押通おしとほあぶらびかりするくらじま筒袖つゝそでつてたまのやうなだと町内ちやうないこわがられる亂暴らんばうなぐさむるひとなき胸苦むなぐるしさのあまり、かりにもやさしうふてれるひとのあれば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その時分じぶん宗助そうすけは、つねあたらしい世界せかいにばかりそゝがれてゐた。だから自然しぜん一通ひととほり四季しきいろせて仕舞しまつたあとでは、ふたゝ去年きよねん記憶きおくもどすために、はな紅葉もみぢむかへる必要ひつえうがなくなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こおろぎの細々ほそぼそれて、かぜみだれる芒叢すすきむらに、三つ四つ五つ、子雀こすずめうさまも、いとどあわれのあきながら、ここ谷中やなか草道くさみちばかりは、枯野かれの落葉おちばかげさえなく、四季しきわかたずうた
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
花にこそ四季しきあれ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ひろ園生そのふめに四季しきいろをたゝかはし、みやびやかなる居間ゐまめに起居きゝよ自由じゆうあり、かぜのきばの風鈴ふうりんつゆのしたゝる釣忍艸つりしのぶ、いづれをかしからぬもきを、なにをくるしんでか
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)