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嚴
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いか
ふりがな文庫
“
嚴
(
いか
)” の例文
新字:
厳
顏も體格に相應して大きな角張つた顏で、鬚が頬骨の外へ出てる程長く跳ねて、頬鬚の無い鍾馗そのまゝの
嚴
(
いか
)
めしい顏をしてゐた。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
妹は
嚴
(
いか
)
つく口を噤んで
黒瞳
(
くろめ
)
を相手の顏へ据ゑたが、すると、馬越はそのわざとらしい浮薄な態度にむかつとして、急に起ち上つて玄關の方へ出た。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
第一に男性のである故に、また第二に黒く
猛
(
たけ
)
く
嚴
(
いか
)
めしい故に。ヘイに來てからも手紙を郵便局へ入れた時も、まだその顏は私の前に浮かんでゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
嚴
(
いか
)
し、嚴つし、嚴めし、
啀喍
(
いがむ
)
の類の語も、深く本づくところを考ふれば、皆
氣息
(
いき
)
に關して居るかも知れぬ。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
この上もなく
嚴
(
いか
)
めしく構へた阿星右太五郎は、自分の言葉に感極まつて、ポロポロと泣いてゐるのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
云ふ一体に新道には不平と見え馬も舊道
行人
(
ゆくひと
)
も舊道なり只運送馬車のみ道は遠けれど
平坦
(
たひら
)
ゆゑ新道を驅けるとぞ此邊の屋作り皆な玄關搆へにて
嚴
(
いか
)
めしく男も
雪見袴
(
ゆきみばかま
)
とかいふものを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
提唱
(
ていしやう
)
のある
場所
(
ばしよ
)
は、
矢張
(
やは
)
り
一窓庵
(
いつさうあん
)
から一
町
(
ちやう
)
も
隔
(
へだゝ
)
つてゐた。
蓮池
(
れんち
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
して、それを
左
(
ひだり
)
へ
曲
(
まが
)
らずに
眞直
(
まつすぐ
)
に
突
(
つ
)
き
當
(
あた
)
ると、
屋根瓦
(
やねがはら
)
を
嚴
(
いか
)
めしく
重
(
かさ
)
ねた
高
(
たか
)
い
軒
(
のき
)
が、
松
(
まつ
)
の
間
(
あひだ
)
に
仰
(
あふ
)
がれた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
只
(
たゞ
)
嚴
(
いか
)
めしく
見
(
み
)
える
警察官
(
けいさつくわん
)
が
恐
(
おそ
)
ろしくてどうしても
足
(
あし
)
が
進
(
すゝ
)
まないのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さうして民家の上方に、一郭の城が
嚴
(
いか
)
めしく聳えてゐた。廣びろと橋がこちらに架けられた。大きく門が開かれた。高だかと角笛が鳴りひびいた。聞くがいい! 喧噪、武具の音、吠える犬。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
何
(
なん
)
とやら
嚴
(
いか
)
めしき
名
(
な
)
の
親分
(
おやぶん
)
が
手下
(
てか
)
につきて、
揃
(
そろ
)
ひの
手
(
て
)
ぬぐひ
長提燈
(
ながてうちん
)
、
賽
(
さい
)
ころ
振
(
ふ
)
る
事
(
こと
)
おぼえぬうちは
素見
(
ひやかし
)
の
格子先
(
かうしさき
)
に
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つての
串談
(
じようだん
)
も
言
(
い
)
ひがたしとや、
眞面目
(
まじめ
)
につとむる
我
(
わ
)
が
家業
(
かげう
)
は
晝
(
ひる
)
のうちばかり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
時
(
とき
)
に
享保
(
きやうほ
)
十年九月七日越後高田の
城主
(
じやうしゆ
)
榊原家
(
さかきばらけ
)
の
郡奉行
(
こほりぶぎやう
)
伊藤
(
いとう
)
伴
(
はん
)
右衞門公事方吟味役小野寺源兵衞川崎金右衞門其外役所へ
揃
(
そろ
)
ひければ
繩付
(
なはつき
)
のまゝ傳吉を
引据
(
ひきすゑ
)
訴訟人
(
そしようにん
)
上臺憑司
(
かみだいひようじ
)
をも呼出し伊藤は
嚴
(
いか
)
めしく
白洲
(
しらす
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
何
(
なん
)
だつッて?』
芋蟲
(
いもむし
)
は
嚴
(
いか
)
めしさうに
云
(
い
)
つて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
いはば
巫覡
(
かんなぎ
)
嚴
(
いか
)
らしく
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
太く黒い眉、黒い毛を横に
梳
(
と
)
かしてあるので益々
角
(
かく
)
ばつて見える
嚴
(
いか
)
つい
額
(
ひたひ
)
、それでもつて私は彼をあの旅人だと知つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「本當に奇麗な人なら、それでいゝんですけど、あたしなんぞ駄目よ。お化粧しないと、顏が
嚴
(
いか
)
つくなつて。」
新婚旅行
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
もう一人、
鞍掛藏人
(
くらかけくらんど
)
といふ恐ろしく
嚴
(
いか
)
めしい名を持つた浪人者が居候をして居ります。四十
年輩
(
ねんぱい
)
の遠縁のお國者で、名前のむづかしいに似ぬ、猫の子のやうな二本差でした。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして牧師があすこで云はうとしてゐるやうに、確かに最も
嚴
(
いか
)
めしい神の裁き、消しがたい
業火
(
ごふくわ
)
、死ぬことのない蟲けらの地獄に
墮
(
お
)
ちて行くのが當然なのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
こんなことで外へ出ると、眼の前に、道を
隔
(
へだ
)
てて
嚴
(
いか
)
めしい武家屋敷が立ち塞がつてをります。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
田屋三郎兵衞といふ
嚴
(
いか
)
めしい名は、二本
手挾
(
たばさ
)
んだ時の名をそのまゝ、器用と小祿で覺えたアルバイトの
錺
(
かざり
)
を、浪人した後の
暖簾
(
のれん
)
名、田屋の三郎兵衞と名乘つたといふことでした。
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尤も
身扮
(
みなり
)
はありふれた町娘で、少しの
嚴
(
いか
)
めしさもあるわけはないのですが、折り屈みがキチンとして、少し淺黒くさへある、
白粉
(
おしろい
)
つ氣のない顏立ち、それもまた不思議な魅力です。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
次の間から出て來た又次郎、——若い美しい女房に
溺
(
おぼ
)
れ切つて、家業より外には何の樂しみも望みも持つて居ないらしい若者、父親の
嚴
(
いか
)
めしい眼を避けるやうに、いそ/\と先に立ちます。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中年の武家は、樣子の
嚴
(
いか
)
めしさに似ず、ひどく折入つた態度になるのでした。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
庚申塚
(
かうしんづか
)
から少し手前、黒木長者の
嚴
(
いか
)
めしい土塀の外に、五六本の雜木が繁つて、その中に、一基の地藏尊、鼻も耳も缺け乍ら、慈眼を垂れた、まことに目出度き
相好
(
さうがう
)
の佛樣が祀られて居りました。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御召物は粗末な
紬
(
つむぎ
)
で、御羽織は少し山が入つて居ましたが立派な羽二重で御座いました。御紋は丸に二つ引、御腰の物の
拵
(
こしら
)
へも、大變御粗末でしたが、御人柄は立派で、少し
嚴
(
いか
)
つい方で御座いました。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嚴
部首:⼝
20画
“嚴”を含む語句
嚴重
莊嚴
嚴格
威嚴
嚴肅
尊嚴
嚴敷
嚴橿
手嚴
嚴命
華嚴
嚴然
嚴罰
森嚴
嚴島
峻嚴
謹嚴
嚴正
嚴刻
端嚴
...