トップ
>
喉笛
>
のどぶえ
ふりがな文庫
“
喉笛
(
のどぶえ
)” の例文
あんな
慘
(
むご
)
たらしい目に逢はせた、惡者を擧げて下さいますやうに。私はもう、
喉笛
(
のどぶえ
)
へ噛み付いてやりたいやうな心持になつて居ります
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
喉笛
(
のどぶえ
)
には娘がえりに刺した筈の針がささっている、娘は悲鳴をあげると地にくずおれた、従者たちは叫びをあげて逃げ散った。
現代語訳 平家物語:08 第八巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
と、啓之助をゆすっていると、どこからか、ヒュッ——と風を切ってきた矢が、三次の
喉笛
(
のどぶえ
)
を貫いて、白い
矢羽
(
やばね
)
を真ッ赤に染めた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし畜生の悲しさには、それとも知らぬ狼の群は彼の正面に半円を書いて
喉笛
(
のどぶえ
)
を狙ってパッパッパッと電光のように飛びかかる。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「だって才次の野郎はあにいを恨んでたろう」と金太は云った、「いつでも隙があったら
喉笛
(
のどぶえ
)
へくらいつきそうな顔をしてたぜ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
安「只今に成って婆さんに帰ってくれろと申しますると
何
(
ど
)
んなに
怒
(
おこ
)
るか知れません、私の
喉笛
(
のどぶえ
)
へ喰い付きそうな権幕ですから」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「実際、考えて見ると床屋ぐらい信用のある商売はありませんな。俺は斯うやって旦那の
喉笛
(
のどぶえ
)
へ剃刀へ当てがっています」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
倉地は
喉笛
(
のどぶえ
)
をあけっ
放
(
ぱな
)
した低い声で葉子の耳もとにこういってみたが、葉子は理不尽にも激しく頭を振るばかりだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
弥五右衛門は「
喉笛
(
のどぶえ
)
を刺されい」と云った。しかし乃美が再び手を下さぬ間に、弥五右衛門は絶息した。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
若い地鶏は、勝に
乗
(
じょう
)
じてそのあとを追ったが、やがて、築山の頂に立って大きな羽ばたきをした。そして牝鶏の群を見おろしながら、たかだかと
喉笛
(
のどぶえ
)
を鳴らした。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
仰向
(
あおむ
)
きに倒れてもがいている熊の
喉笛
(
のどぶえ
)
に、虎の牙が突き刺さっていた。
強靭
(
きょうじん
)
な肩の筋肉がムクムクと盛りあがって、太い首が鋼鉄の器械のように左右に振り動かされた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いっそ飛び
蒐
(
かか
)
って白い
喉笛
(
のどぶえ
)
を食い切ってやろうかとまで、劇しい
忿怒
(
ふんぬ
)
にかられていた。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「どうしてもこうしてもあるものか。
御定
(
おさだま
)
りの
角
(
つの
)
をはやしたのさ。おれでさえこのくらいだから、お前なぞが
遇
(
あ
)
って見ろ。たちまち
喉笛
(
のどぶえ
)
へ噛みつかれるぜ。まず早い話が
満洲犬
(
まんしゅうけん
)
さ。」
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
竹の
鉾
(
ほこ
)
にてみずから
喉笛
(
のどぶえ
)
を突き通して相果てた。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
喉笛
(
のどぶえ
)
にそとすべらせば
玉盃の曲
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
片手にはドギドギする剃刀を持つて、
喉笛
(
のどぶえ
)
を狙ひ寄るやうに——思はずアツと聲をあげて、その剃刀の手を掴んだのも無理でせうか
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、逸早くその手はサッとうしろへ逃げて、万太郎の短気、あわや、自分の
小柄
(
こづか
)
で自分の
喉笛
(
のどぶえ
)
を切ってしまうところでありました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
孝「困りますな、みす/\鼻の先へ
敵
(
かたき
)
が出れば仕方がございませんから、立派な侍でも
何
(
なん
)
でもかまいません、
飛
(
とび
)
ついて
喉笛
(
のどぶえ
)
でも喰い取ってやります」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は見物席に向かって
一
(
ひ
)
と声高く
咆哮
(
ほうこう
)
したかと思うと、いきなり二本の前脚を倒れている美女の胸にかけて、その
喉笛
(
のどぶえ
)
に、今度こそは生きた人間の喉笛に、
牙
(
きば
)
を突き立てようとした。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その混乱の中に、あるいは今自分は倉地の
喉笛
(
のどぶえ
)
に針のようになった自分の十本の
爪
(
つめ
)
を立てて、ねじりもがきながら争っているのではないかとも思った。それもやがて夢のようだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一匹の巨大な白犬が、人間の男を抱きすくめ、その
喉笛
(
のどぶえ
)
を食い裂いているのです。
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小町 まあ、何と云う
図々
(
ずうずう
)
しい人だ! 嘘つき!
九尾
(
きゅうび
)
の狐! 男たらし!
騙
(
かた
)
り!
尼天狗
(
あまてんぐ
)
! おひきずり! もうもうもう、今度顔を合せたが最後、きっと
喉笛
(
のどぶえ
)
に
噛
(
か
)
みついてやるから。
口惜
(
くや
)
しい。
二人小町
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
傷口は
喉笛
(
のどぶえ
)
から右耳の下へ
斜
(
なゝめ
)
に割いた凄まじいもので、得物は
匕首
(
あひくち
)
か脇差か、肉のハゼて居るところを見ると、相當刄の厚いものらしく
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
子之吉は、筏をはなすと同時に、
脇差
(
わきざし
)
をぬいて、みごとにわが
喉笛
(
のどぶえ
)
をかッ切ったまま、
濠
(
ほり
)
のなかへ身を沈めてしまったのである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とあわや
喉笛
(
のどぶえ
)
へ突き立てようと身構えました。さて文治が再度の難船に舟人
諸共
(
もろとも
)
気絶いたしました次第は前回に申上げました。天義士を棄てず、あたりの船頭がこれを見付けまして
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さてしばらく
揉
(
も
)
み合いまするうちに、猛獣のいずれかが傷つくは
必定
(
ひつじょう
)
、さあ、一たん血を見ますると、肉に
餓
(
う
)
えたる彼らは、
俄然
(
がぜん
)
としてその
兇暴
(
きょうぼう
)
性を増しきたり、ついには敵の
喉笛
(
のどぶえ
)
を
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうして
喉笛
(
のどぶえ
)
を噛み切った。
虚空
(
こくう
)
を
掴
(
つか
)
む指が見えた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「その通りだ、——物置の羽目板に立つた矢を拔いて、お駒の
喉笛
(
のどぶえ
)
へ突つ立てた奴が居るんだ。現場でその證據を見せてやらう」
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いきなり締めつけられたような呼吸の
逼迫
(
ひっぱく
)
を感じると、もう、うしろの人間の五本の指が、食いこむように左右太の
喉笛
(
のどぶえ
)
を、圧していた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と考えて居りますと、
片方
(
かたっぽ
)
では片手で
探
(
さぐ
)
り、
此処
(
こゝ
)
ら
辺
(
あたり
)
が
喉笛
(
のどぶえ
)
と思う処を探り当てゝ、懐から取出したぎらつく刄物を、
逆手
(
さかて
)
に取って、ウヽーンと上から力に任せて
頸窩骨
(
ぼんのくぼ
)
へ
突込
(
つッこ
)
んだ。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「さような女の怨みなど、恐れて恋が出来ようか。もうこうなれば二人の中、どっちか死なずば納まるまい。右衛門さんのお身の上、どうなるものか気にはかかれど、降りかかる火の粉は払わねばならぬ。そっちが鎌ならこっちはこれじゃ。
喉笛
(
のどぶえ
)
刺されぬ用心しや」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
つかみに行くのじゃ。——オオ、一度江戸表へ立ち帰った上に、改めて、阿波二十五万石の
喉笛
(
のどぶえ
)
へ、とどめを刺しに出なおそう!
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お濱さんが一應疑はれるわけさ、が、正面から
喉笛
(
のどぶえ
)
へ突き立てた出刄が、後ろへ突き拔けるほど深く刺してあるんだぜ、全く恐ろしい力だ。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
死骸は
喉笛
(
のどぶえ
)
を左から掻き切られ、足を縁側に投出して、それでもたしなみよく、半分疊の上に、押しつくねたやうにこと切れて居りました。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一足飛びのいた作左衛門が
喉笛
(
のどぶえ
)
狙って突き上げた手練のはやさ誤またずぐさッと刺したので、血は水玉と
四辺
(
あたり
)
に飛んだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と見るや、あの
直刄
(
すぐば
)
の匕首が火の中をサツと飛んで、縁側で呆然と見て居る鶴屋利右衞門の
喉笛
(
のどぶえ
)
へグサと突つ立つたのです。
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ギュッと
喉笛
(
のどぶえ
)
をしめつけられ、さらにうらみかさなる
拳
(
こぶし
)
の雨が、ところきらわずに
乱打
(
らんだ
)
してきそうなので、いまは強がりンぼの
鼻柱
(
はなばしら
)
がくじけたらしく
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「血がひどいから滅茶滅茶に見えるが、後ろから抱きこむように、急所を狙って
喉笛
(
のどぶえ
)
を掻き切ったのは大した手際だね」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
驚いた
薛覇
(
せっぱ
)
が、上を見て、あッ——といったと思うと、これまた、クルクルッと体を廻してぶっ仆れた。その
喉笛
(
のどぶえ
)
にも、彼方の死骸にも、矢が立っていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
調べて見ると、傷は後ろから抱きすくめて
喉笛
(
のどぶえ
)
をゑぐつたらしく、大變な血ですが、其處には刄物も落ちては居ません。
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
朱
(
あか
)
い
槍
(
やり
)
がサッとさがる——玄蕃はふみこんで、二の太刀をかぶったが、そのとき、流星のごとくとんだ
槍
(
やり
)
の
穂
(
ほ
)
が、ビュッと、
鬼玄蕃
(
おにげんば
)
の
喉笛
(
のどぶえ
)
から血玉をとばした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顔へ掛けた
巾
(
きれ
)
を取ると、荒縄で
喉笛
(
のどぶえ
)
を絞め上げられた、番頭正次郎の顔は、二た眼とは見られない
凄
(
すさ
)
まじいものです。
銭形平次捕物控:055 路地の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
袖に巻いて、あわや、自分の
喉笛
(
のどぶえ
)
——グサッと突き立てそうにしたので、万吉があわてて袖を引っ張ると、お綱はそれを振りもぎって、パタパタと奥の部屋へ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少し乗出し加減に
虚空
(
こくう
)
を
掴
(
つか
)
んでおりますが、深々と
喉笛
(
のどぶえ
)
をえぐった傷の様子では、声をも立てずに死んだ様子です。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、俺の立場としては、断じて、生かして置くことはゆるされない。見ていてくれ、今にきっと、
喉笛
(
のどぶえ
)
を掻っ切られた綽空の
空骸
(
むくろ
)
が、往来に
曝
(
さら
)
される日がやってくるから」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傷は左の
喉笛
(
のどぶえ
)
、二丁
剃刀
(
かみそり
)
か、細身の
匕首
(
あひくち
)
か、さう言ふもので掻き切り、あまり聲も立てずに死んだことでせう。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
幾度か、瀬兵衛のすがたは、朱をあびて、
蹌
(
よろ
)
めいたが、
豹
(
ひょう
)
のごとく、躍ってはまた、敵を
斃
(
たお
)
した。——というよりは、遂には、口をもって、敵の
喉笛
(
のどぶえ
)
へ噛みつくような勢いだった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
噛み切つた夜具の袖の布だよ、——下手人はお君の
喉笛
(
のどぶえ
)
を切つて、直ぐ夜具の袖で口を押えたのだ。聲を
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ウーム……」と、源次は縄の輪に
喉笛
(
のどぶえ
)
をしめられて、苦しそうな眼を吊りあげた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
喉笛
(
のどぶえ
)
、少し右寄り、前から後ろへ突き拔けるほどの傷で——部屋の中には血の氣もない短刀が一つ」
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
喉
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
笛
常用漢字
小3
部首:⽵
11画
“喉”で始まる語句
喉
喉元
喉首
喉輪
喉声
喉頭
喉仏
喉音
喉佛
喉頸