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呵責
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かしゃく
ふりがな文庫
“
呵責
(
かしゃく
)” の例文
ましてそれを、(そうであろう)を(そうであった)にして、
鵜呑
(
うの
)
みにしてしまって、
冷罵
(
れいば
)
するのはあまりの
呵責
(
かしゃく
)
ではあるまいか。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
このもの
凄
(
すご
)
い
虞
(
おそ
)
れが昼も夜も私を悩ました。昼はそのもの思いの
呵責
(
かしゃく
)
がひどいものであったし——夜となればこのうえもなかった。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
けれど彼は、自分のために姉が刻苦してるのを見ると、重苦しい
呵責
(
かしゃく
)
の念を感ずるのだった。彼はそのことを姉に言った。姉は答えた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
探偵に頼みさえしなければ、
尠
(
すく
)
なくとも私自身が妻を裏切っているような心の
呵責
(
かしゃく
)
からだけは、免れることができるからであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
罪を責められるよりも、それは道之進にとって耐えがたい
呵責
(
かしゃく
)
の言葉だった……彼は低く頭を垂れややしばらく息をのんでいた。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
その
呵責
(
かしゃく
)
が終った後に、道人は三人に筆と紙とをあたえて、服罪の
口供
(
こうきょう
)
を書かせ、さらに大きな筆をとってみずからその判決文を書きました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……なべて、美人の美の、真を
露
(
あらわ
)
に見ようとなれば、悩ませてみるか、泣かせてみるか、
呵責
(
かしゃく
)
しなければ見えてまいりませぬ
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたしはこのうえこのおそろしい
呵責
(
かしゃく
)
を見ずにすんだ。なぜといってこのしゅんかんドアがあいて、ヴィタリス親方がはいって来たからである。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「その方はここをどこだと思う?
速
(
すみやか
)
に返答をすれば好し、さもなければ時を移さず、地獄の
呵責
(
かしゃく
)
に
遇
(
あ
)
わせてくれるぞ」と、
威丈高
(
いたけだか
)
に
罵
(
ののし
)
りました。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
拷問というのは、その
呵責
(
かしゃく
)
のつらさに、罪のないものでも、虚偽の自白をする場合の起り得るような責め方です。肉体上の拷問がこれに当ります。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
とてもここにこうしてはいられぬ、面目のないことだと思いました。米友は、それ故に良心の
呵責
(
かしゃく
)
を受けています。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それがためにチベット政府は非常の疑いを増して、
無辜
(
むこ
)
の知人を獄に下し大いに
呵責
(
かしゃく
)
拷問
(
ごうもん
)
して居るということです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かのインフェルノの煉獄の
永劫
(
えいごう
)
呵責
(
かしゃく
)
の相伴者として描き出されたものであることを、想いおこされるのであった。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
イワノウィッチは、隊伍のうちに加わりながら、大きい良心の
呵責
(
かしゃく
)
を担っていた。彼は、勇敢に戦い、自分の生命をできるだけ高価に売ることを考えた。
勲章を貰う話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私はそれにならされました。自分はなぐさまれる
犠牲
(
いけにえ
)
、お客は
呵責
(
かしゃく
)
する鬼ときめました。あなたは私を娘として取り扱ってくださった最初のかたでした。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そして愛子の見ている前で、愛するものが愛する者を憎んだ時ばかりに見せる残虐な
呵責
(
かしゃく
)
を貞世に与えたりした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
鞭影
(
べんえい
)
への恐怖、言いかえれば世の中から
爪弾
(
つまはじ
)
きされはせぬかという懸念、牢屋への憎悪、そんなものを人は良心の
呵責
(
かしゃく
)
と呼んで落ちついているようである。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
当てもない妻の霊に対して、おんなじような
詫
(
わ
)
びごとを繰返し繰返し良心の
呵責
(
かしゃく
)
を
胡麻化
(
ごまか
)
しているのであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし、若い巡査には、左枝の苦悶も、
呵責
(
かしゃく
)
にひしめくような有様も、しかもそうしていながら、なにかを
凝然
(
じっ
)
と見詰めているような気がしてならなかった。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
良心の
呵責
(
かしゃく
)
のもとに、精根の尽きるような生活を、典型的な
放恣
(
ほうし
)
な異常な、自分でも心の底ではいやでたまらない生活を送ることになるよりほかはなかった。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
息子のために娘を犠牲にする事を承知したので、自分でも内心ひそかに良心の
呵責
(
かしゃく
)
を感じているのだろうか。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
綱手は、それで、地獄のような
呵責
(
かしゃく
)
を感じているのであった。十分に、それくらいのことは、承知していた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
こんな
呵責
(
かしゃく
)
に逢うのはつまり甕から上へあがりたいばかりの願である。あがりたいのは山々であるが上がれないのは知れ切っている。吾輩の足は三寸に足らぬ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
囚徒らは背をかがめ、
呵責
(
かしゃく
)
の下に恐るべき服従を強いられ、鎖につながれた
狼
(
おおかみ
)
のような目つきをして皆黙ってしまった。コゼットは全身を震わした、そして言った。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かくの如き道徳上深甚の意義あるに
拘
(
かか
)
わらず、あまり東洋人の脳裏には強き感じを持っておらぬが、
而
(
しか
)
も真理の自然に有する力は大なるもので何となく良心の
呵責
(
かしゃく
)
があり
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
話の
辻褄
(
つじつま
)
はそれで合いました。お崎も自分がお染だったことに、何の疑いも挟みませんが、そう信ずる一方には、恐ろしい
呵責
(
かしゃく
)
の
笞
(
しもと
)
が、
犇々
(
ひしひし
)
とお染の心をさいなむのです。
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼にも良心の
呵責
(
かしゃく
)
がいくらかあったのです。しかし彼にあっては恐怖心よりも好奇心の方が強くありました。彼はイエスを見たいものだと求めました(ルカ九の九参照)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
あの人たちは、地上にいたときに愛していた人たちから離されている間に、この人たちにとって最も残酷な
呵責
(
かしゃく
)
である放心の苦難を受けて、煉獄の浄火に
聖
(
きよ
)
められたのです。
世界怪談名作集:11 聖餐祭
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
彼が自己の行為に関して、何か良心の
呵責
(
かしゃく
)
を受けているのであると、わたしは思われない。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
良心の
呵責
(
かしゃく
)
という程のものを覚えない。勿論あんな処へ行くのは、悪い事だと思う。あんな処へ行こうと預期して、自分の家の
閾
(
しきい
)
を越えて出掛けることがあろうとは思わない。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ですから、そんな
打破
(
ぶちこわ
)
しをしないでも、妙子さんさえ下さると、円満に納まるばかりか、私も、どんなにか気が
易
(
やす
)
まって、良心の
呵責
(
かしゃく
)
を免れることが出来ますッて云うのにね。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また金だけ送って疎開先におき放しになっている妻子、特に子供たちに良心的
呵責
(
かしゃく
)
も感じるようになる。更に共産党、人民の党と考えていたものを裏切ったと思う、苦痛もある。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
冷たい私の知恵は私の耳に
囁
(
ささ
)
やいて、恋ではない、恋ではないとわれとわが心を欺いてわずかに良心の
呵責
(
かしゃく
)
を免れていたが、今宵この月の光を浴びて来し方の
詐欺
(
いつわり
)
に思い至ると
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
第三に、犯罪者が犯行後、良心の
呵責
(
かしゃく
)
その他の理由によりて、自殺をする場合がある。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
と左膳はお藤を自室に幽閉して日々打つ殴る蹴るの
呵責
(
かしゃく
)
を加えているのだが、お藤は源十郎のために、お艶をさらう便宜をはかったにすぎないことは、左膳にもよくわかっていたから
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
が今まで私の記してきたことは私の受けた
呵責
(
かしゃく
)
の歴史の、ほんの一部分にすぎないのだ。それも最も代表的な、もっとも残酷な呵責の記録ではないのだ。私はわざとそれを書かなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
節約を忘れたというはげしい
呵責
(
かしゃく
)
の念にとりつかれ、ほんの
僅
(
わず
)
かな出費をもぱったりと差しひかえてしまい、やがて零落して養老院に入れられてしまうだろうなどと
自棄
(
やけ
)
になって言うのだ。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
任を果した安らかさと同時に良心の
呵責
(
かしゃく
)
も加わって、別に追手などいるわけもないのに、はかまのもも立ちを高くとると、そのまま外へ逃げ出し、家に帰ると、ひっそり小さくなっていた。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
往昔
(
むかし
)
、孔子は「
怪力
(
かいりょく
)
乱神を語らず」といわれたるに、予がごとき浅学の者、天地間の大怪たる幽霊、鬼神を論ずるは、孔子もしましまさば、一声の下に
呵責
(
かしゃく
)
し去るはもちろんなりといえども
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
児太郎は、それきり奥の間へ黙って
這入
(
はい
)
ってしまった。弥吉はぼんやり坐って、このごろは唯
呵責
(
かしゃく
)
と
折檻
(
せっかん
)
よりしか児太郎から受けない彼は、なおそこから脱け切れない自分を自分で
呪
(
のろ
)
うていた。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
うちしりぞけることのできない
呵責
(
かしゃく
)
の
鞭
(
むち
)
を、力いっぱいふるうのだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
天降った「救い」そのものさえも天が人間に降す
呵責
(
かしゃく
)
の道具であった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
乗客これを船長或は会計役へ申し入るべく自身
呵責
(
かしゃく
)
等かたく無用のこと
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
彼は老伯爵夫人の死についても別に良心の
呵責
(
かしゃく
)
などを感じなかった。ただ彼を悲しませたのは、一攫千金を夢みていた大切な秘密を失って、取り返しのつかないことをしたという後悔だけであった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
それでも僧侶として、わたしの良心の
呵責
(
かしゃく
)
は今まで以上にわたしを苦しめ始めました。わたしはいかなる方法で自分の肉体を抑制し、浄化することが出来るかについて、まったく
途方
(
とほう
)
に暮れたのです。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
良心の
呵責
(
かしゃく
)
は一歩毎に強く加わるので有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
相手が素直にかの笛を渡してくれただけに、斬取り強盗にひとしい重々の罪悪が彼のこころにいよいよ強い
呵責
(
かしゃく
)
をあたえた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昂進
(
こうしん
)
するばかりであったが、同時に(どんなに狂的な快楽のなかでも)いつも罪の
呵責
(
かしゃく
)
と赦しを乞う涙をともなっていた。
葦は見ていた
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
拭いがたい
呵責
(
かしゃく
)
をわれとわが身にしているのである。そのうえについ先頃は、身の毛をよだてるような一事もあった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから皆が一層非常な
呵責
(
かしゃく
)
を受けるようになったのですが、一体あなたはニャートンからこちらへお越しになったかあるいは空を飛んでお越しになったか
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
“呵責”の意味
《名詞》
呵責(かしゃく)
厳しく責めること。責め苛むこと。
(出典:Wiktionary)
呵
漢検1級
部首:⼝
8画
責
常用漢字
小5
部首:⾙
11画
“呵”で始まる語句
呵々
呵
呵成
呵々大笑
呵嘖
呵然
呵殿
呵呀
呵氣
呵梨勒果