伯林ベルリン)” の例文
『ローエングリン』(八〇〇七八—八一)、『蝙蝠こうもり』(四五二一五—九)(以上伯林ベルリン国立歌劇場座員及び管弦団、ヴァイガート指揮)
伯林ベルリンでの経験であるが、落葉の美しいツォーの公園を散歩していた時、五、六歳くらいの子供を連れた男に行きあったことがある。
日本のこころ (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ヘーゲルの講義を聞かんとして、四方より伯林ベルリンに集まれる学生は、此講義を衣食の資に利用せんとの野心を以て集まれるにあらず。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この頃伯林ベルリン灌仏会かんぶつえ滔々とうとうとして独逸ドイツ語で演説した文学士なんかにくらべると倫敦の日本人はよほど不景気と見える。(五月二十三日)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
『いや、それではかえって恐れ入りまするから、ええ、伯林ベルリンのほうは伯林のほうと致しまして、ええこちらはわたくしが——。』
漱石そっくりで漱石ではない息子の顔立ちは、伯林ベルリンの雑踏をこえて、今も目にのこって居ります。一種異様な寂しさと哀れさとがあった。
今夜遅く伯林ベルリンに赴く三浦財部たからべの二学士を始め久しく船中の生活を共にした永島事務長や牧野会計が停車場ステイシヨンへ見送りに来てれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さういふミユンヘン新聞の手がかり以外に、伯林ベルリンの友人からも何処どこからも何等事件の真相を知るべき手がかりが全く杜絶してしまつてゐる。
日本大地震 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
日比ひごろ伯林ベルリンの留學生の中にて、或る勢力ある一群と余との間に、面白からぬ關係ありて、彼人々は余を猜疑し、又遂に余を讒誣ざんぶするに至りぬ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
戦争いくさになつてからは、さう暢気のんきな事も出来ないが、伯林ベルリンの市中では、いつも大晦日おほみそかは、市街まちを歩く人達が、出会頭であひがしらに誰彼の容捨はなく
昔、先生が、伯林ベルリンに留学してゐた時分の事である。今のカイゼルのおとうさんに当る、ウイルヘルム第一世が、崩御された。
手巾 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
数年後、欧洲大戦乱が勃発して、伯林ベルリンにあった妾は一座を解散して、単独でムウドレのロダンさんのお室に身を寄せました。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
ヘニング夫人の娘フリーデルが、今度父に伴われて伯林ベルリンへ行くことになったと云って、或る日夫人が訪ねて来たのは、十一月の中旬であった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私が二十八歳の黎明……伯林ベルリン市役所の傭医員を勤めていた私は、カイゼルの名によって直ちに軍医中尉を拝命して戦線にでよ……との命令で
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ああ昨日東京で、ドラグ・ネットを見た。「伯林ベルリン」を見た、ドラグ・ネットは佳かった。バンクロフトはうまい、スタンバアグは立派なポエトだ。
巴里パリの空は寒天の寄せものだし、伯林ベルリンの空は硝子ガラス製だし、倫敦ロンドンの空は石綿だった。そしていまこの日本の空は——
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
竜動ロンドン繁昌記 竜動の繁栄は実に誇るに足り、伯林ベルリン巴里パリもこれをしのぐことができようか。牛津オックスフォード街の春の月、海土ハイド公園の中の四季の花々もあるのだ。)
西航日録 (新字新仮名) / 井上円了(著)
もしくは伯林ベルリンの万国地学協会へ呈出する目的でしたためた、乗艦シャッガァ号の航海記録とも称すべきものなのです。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
独逸人もむし伯林ベルリンを以て起算点としたいと論じ、米国人はワシントンその他何れにても相当に完備した自国の天文台の所在地を以てこれにてんとしている。
東西相触れて (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
その前独逸ドイツ伯林ベルリンがん病院でも、欹目やぶにらみの手術とて子供のとうを刺す処を半分ばかり見て、私は急いでその場を逃出してその時には無事に済んだことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
もう一度白耳義ベルジックのブラッセルか、倫敦ロンドンあたりで落合いたいものだと約束して行った教授、一年ぶりで伯林ベルリンの地を踏んだと言って帰国の途上から葉書をくれた助教授
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
病気がやや平らになったを見計らって大阪商船の末永支配人が附添い、四月五日在留日本人の某々らに送られて心淋しくも露都を出発し、伯林ベルリン迂廻うかいして倫敦ロンドンに着し
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
都会嫌だから、伯林ベルリンなんぞには足をめないらしいのです。尤もハウプトマンは大好だいすきと見えます。
 こゝに於て余は独逸人に一問を足した、伯林ベルリンでカイゼルの命名日に、何人なんぴとかかゝる処で愛国的示威運動を企てたら、独逸の警察や社会は果して之を何といふであらうかと。
露都雑記 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
夜更けての後なり、ふとしたる事より、はしなく談音楽の上に移るや、伯林ベルリンよりの土産とか云ふ秘蔵の蓄音機を取り出して、特に我がために数番の曲を撰んで聞かせられたり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
全体手品師のように、人の物を勝手に紙の上に図を引いて奪うということが出来る理屈のものではない。かつて伯林ベルリンに於て列国会議を開いて阿弗利加アフリカの分割をやった事がある。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
暫く見ないうちにすっかり大人になった、来年はまた伯林ベルリンに行けると張切っていた中村さんから、ず、あなたが中国辺の女学校で、体操の先生をしているとの話を聞きました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
小島郷療養所において和蘭オランダ軍医メールデルホールトの指導をうけ、明治三年一家東京に移るや、渡独して、まずブラウンシュワイク普通医学校に学べり、その後伯林ベルリン大学に転じて
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
千八百八十二年(明治十五年)独逸ブレスロオの Gierkeジルケ 教授伯林ベルリンの Kunstgewerbemuseum(工芸美術館)においてその所蔵せる日本画二百点を陳列しき。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
重荷に小附の折革鞄ポオトフォリオ、慾張って挟んだ書物の、背のクロオスの文字が、伯林ベルリンの、星の光はかくぞとて、きらきら異彩を放つのを、瓢箪ひょうたん式に膝に引着け、あの右角の、三等待合の入口を
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
考へ拔いた揚句今夜私は伯林ベルリンで降りるとボオイに云つたが不可いけないと云ふ。何うしても伯林で降りるのだと云つても頑として不可ないと云ふ。荷物の關税の關係などの事でさう云ふのである。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
夜、伯林ベルリン著。三菱商事藤室益三夫妻に迎へられ大和旅館に入る。沿道触目。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
くびに巻いていた手拭——高野君が物好きに、わざわざ小包で伯林ベルリンまで贈ってよこした、幸四郎の手拭を破って、取り敢えず繃帯をしてやったが、血を拭くと肉が破れて骨が白く表われている。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
伯林ベルリンではパリーの革命を報道する
伯林ベルリン国立歌劇場管弦団は、伯林ベルリンフィルハーモニーと相対する名楽団で、よく訓練され、渾然として一体をなした表現が強味である。
伯林ベルリンではすべての市街自動車のエンジンを一晩じゅう動かしておくことによって夜中に発動機油の氷結するのを防がなければならなかった。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
誰だったか独逸人を地獄へおとしたら、屹度きつと地獄と伯林ベルリンとの比較研究を始めて、地獄の道にも伯林の大通おほどほりのやうに菩提樹の並樹なみきを植付けたい。
大変に失礼な事を云うようじゃが、伯林ベルリンに居られる時のような巧妙親切を極めた、君一流の手腕は、戦場では不必要と考えてもらいたい事です。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
○独逸の伯林ベルリンの傍に在る皇室附属の森林で、独逸皇帝が露国皇太子と共に猟をせられた所が、たつた一時間半に七百三十九頭の鹿がとれたさうだ。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
独逸ドイツなどでは出来ないというので、伯林ベルリンの土を取り寄せて見たが、それを今までの理論から見て、摺り潰して見たら、はたして霜柱が立った由である。
「霜柱の研究」について (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
某新聞紙の編輯長へんしふちやうに説きて、余を社の通信員となし、伯林ベルリンに留まりて政治学芸の事などを報道せしむることとなしつ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
学問に於て伯林ベルリン維納ヰインに対峙して居ると云はれるこの都は、更に芸術に於て独墺両国中に卓出して居ると云ふ事である。音楽は聞く機会が無かつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
伯林ベルリンの各家は地下室を居間として六七時間平気でガンばりつづけて来ているそうですが、こちらでは火消仕事が各人の責任ですから、消耗は大でしょう。
日々に壊滅して行く伯林ベルリンの小産階級。あすこでこういう程度の荒物屋は荒物商いだけでは勿論足りないので大概素人洗濯を内職にしていた。親一人、子一人。
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
巴里パリー伯林ベルリン、ブラッセル、アムステルダム、いずれも電信の速力は一杯にウォール街に資金を流入した。大西洋北岸の富の余剰よじょうはいまや米国株式に変形したとたんじさせた。
大阪万華鏡 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
ルドルフの斡旋あっせんで、伯林ベルリンにいる彼の姉のもとへ身を寄せることが出来るようになったのと、そんなことから思い立ったのだそうであるが、しかしカタリナの終局の目的は
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
(街灯がまひるのように照らす伯林ベルリンのまちで、麦酒ビールを売る店頭で杯をいくども傾ける。深夜にいたるも往来の人が絶えず、夢のまにも電車のひびきがきこえてきたのであった。)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
維也納の背後に維也納森林帯のあるのは、伯林ベルリンの背後に緑林帯グリユーネワルドのあるにひとしい。ただ緑林帯の稍人工的なるに比して、維也納森林帯はおのづからなる寂びと落付とをもつてゐる。
接吻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ヘーゲルの伯林ベルリン大学に哲学を講じたる時、ヘーゲルに毫も哲学を売るの意なし。かれの講義は真を説くの講義にあらず、真を体せる人の講義なり。舌の講義にあらず、心の講義なり。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
使節の事を終り、巴里を去て英吉利イギリスに渡り、英吉利から和蘭オランダ、和蘭から普魯西プロスの都の伯林ベルリンに行き、伯林から露西亜ロシアのペートルスボルグ、れから再び巴里にかえって来て、仏蘭西から船にのっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)