ふく)” の例文
ここおいせいぐんものをして、(五三)萬弩ばんどみちはさんでふくせしめ、(五四)していはく、『くれがるをともはつせよ』
も勤れば決斷には如才有まじそれひとの命の重き事は申さずとも承知ならん然ばよく/\吟味に念をいれ囚人めしうど九助が罪を訊糺とひたゞし罪にふくせざる中はこれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
余事はさておき、意地を張って身請を拒みました花里も、小主水の説得にふくしていよ/\廃業すると申しますので、海上渡さんはお鼻が高うございます。
けだし雪は雲にしやうじて陽位やうゐ也、霜はつゆに生じて陰位いんゐ也といへり。越後の夏を謝肇淛しやでうせつが此せつふくせり。
千人をりていつわりてくだらしめ、燕王を迎えて城に入らしめ、かねて壮士を城上に伏せて、王の入るをうかがいて大鉄板をおとしてこれを撃ち、又別にふくを設けて橋を断たしめんとす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
文芸上ロマンチイシズムの次に自然主義が起り、自然主義の次に理想的民衆主義が起りつゝあるのも、実はその一ふくの大きな『あらはれ』である。生滅のリズムである。
生滅の心理 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
むかし三皇、五帝も、徳をもって御位を譲り、徳なきは徳あるに譲るを常とし、たとえ天理にふくさずとも、必ず自ら滅ぶか、或いは次代の帝たる勢力に追われておりましょう。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老驥ろうきれきふくすれども、志千里にありという意がこのうちに蔵せられている。第三もまた同じ事である。作者は天命に任せるとはいっているが、意を栄達に絶っているのではなさそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
社会改良事業は正義堂々主義一歩を譲らざるものの為し遂げべきものにあらず、必ず彼にふくし是を拝し、円滑完満の政略を取らざるを得ず、然り我は主義にのみり救世の事業を実行せんのみ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「覚えがないというのか。男らしく罪にふくしたまえ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
殺されいかでか罪にふくし申さんやと申すに大岡殿其方如何にあらそふとも河原の死骸しがいは馬丁とうつせみの兩人にして昌次郎夫婦は存命ぞんめいいたし居るぞ然るに傳吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
武士の一分いちぶん相立ち申さず、お上へ対し恐多おそれおおい事とは存じながら、かく狼藉ろうぜきいたし候段、重々恐入りたてまつります、此の上は無実の罪にふくしたる友之助をお助け下され
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けだし雪は雲にしやうじて陽位やうゐ也、霜はつゆに生じて陰位いんゐ也といへり。越後の夏を謝肇淛しやでうせつが此せつふくせり。
かつて彼の命の下にあえなき最期をとげた漢朝のふく皇后や、とう貴妃や、また国舅こっきゅう董承とうじょうなどの一族があらわれて、縹渺ひょうびょうと、血にそみた白旗はっきをひるがえして見せ、また雲の中に金鼓きんこを鳴らし
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなはその(四九)歩軍ほぐんて、その(五〇)輕鋭けいえいと、(五一)ばいかうあはせてこれへり。孫子そんし其行そのかうはかるに、くれまさ馬陵ばりよういたるべし。馬陵ばりようみちせまくしてかたは(五二)阻隘そあいおほく、へいふくし。
吟味ぎんみ致すに筋違すぢちがひとは如何なる儀にや此段承まはりたしと御老人らうじんにがり切たる有樣なれば將軍にも御當惑たうわくの體にてさすが名君のふくし見え給ひほとんど御こまりの御樣子にて太田主計頭を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
黙って、わしの下知にふく
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)