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おとひめ
ふりがな文庫
“
乙姫
(
おとひめ
)” の例文
「——いつちく、たつちく太右衞門どんの
乙姫
(
おとひめ
)
樣は、湯屋で押されて泣く聲聞けば、ちん/\もが/\、おひやりこ、ひやりこ——」
銭形平次捕物控:054 麝香の匂ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
またその鐘の面に
柄附
(
えつき
)
の鐘様の
窪
(
くぼ
)
みあり、竜宮の
乙姫
(
おとひめ
)
が鏡にせんとて、ここを採り去ったという、由来書板行して、寺で売りいたと。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それも浦島太郎と
乙姫
(
おとひめ
)
の約束事のやうなもので、二人が行き合つてみなければ、はつきりと、確かめられるわけのものでもない。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
やがて
乙姫
(
おとひめ
)
さまについて、浦島はずんずん
奥
(
おく
)
へとおって行きました。めのうの
天井
(
てんじょう
)
にさんごの柱、
廊下
(
ろうか
)
にはるりがしきつめてありました。
浦島太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
艶々
(
つやつや
)
したる
島田髷
(
しまだまげ
)
も少しとけかかり、自由自在に行きつもどりつして泳ぐさまは、
竜
(
たつ
)
の都の
乙姫
(
おとひめ
)
が、
光氏
(
みつうじ
)
を慕って河に現じたり。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
それは、客観的には浦島太郎が、龍宮の
乙姫
(
おとひめ
)
様のところから、帰って来るのではないかと思われるほど、美しく、詩的であった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
ウミイチゴは、まっ赤な大きないちごそっくりで、まったく、おとぎ話の龍宮城の、
乙姫
(
おとひめ
)
さまの花園といったらいいだろうか。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
そんな
事
(
こと
)
でもできなければ、たッた
一人
(
ひとり
)
で、
腰元
(
こしもと
)
も
連
(
つ
)
れずに、
竜宮
(
りゅうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまをお
訪
(
たず
)
ねすることはできはしませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
見物がいくばくとも数知れず出たのでしたから、ちょっと見られぬ有様でして、
終
(
しま
)
いには柳橋の芸者が、
乙姫
(
おとひめ
)
になってこの水神祭に出るという騒ぎでした。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
ちつとも恐がることもなければ、
吃驚
(
びつくり
)
なさることもありません。
私
(
わたし
)
は竜宮から来た
使者
(
つかひ
)
でございます。正助さんを竜王さま、
乙姫
(
おとひめ
)
さまが
御召
(
おめし
)
でございます。
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
保吉はこう云う色彩の調和に芸術家らしい満足を感じた。殊に
乙姫
(
おとひめ
)
や
浦島太郎
(
うらしまたろう
)
の顔へ薄赤い色を加えたのは
頗
(
すこぶ
)
る
生動
(
せいどう
)
の
趣
(
おもむき
)
でも伝えたもののように信じていた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしながら、大阪のカフェーは旅の空か何かで訪問したらさぞ不思議な
竜宮
(
りゅうぐう
)
だろう。和洋の令嬢と
芸妓
(
げいぎ
)
、
乙姫
(
おとひめ
)
のイミタシオンたちがわれわれを
直
(
すぐ
)
に取り巻いてくれる。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
白雪
(
はくせつ
)
の
竜馬
(
りゅうめ
)
にめされ、
渚
(
なぎさ
)
を掛けて浦づたい、朝夕の、
茜
(
あかね
)
、紫、雲の上を山の峰へお
潜
(
しの
)
びにてお出ましの節、珍しくお手に
入
(
い
)
りましたを、
御姉君
(
おんあねぎみ
)
、
乙姫
(
おとひめ
)
様へ御進物の分でござりました。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(中略)おれこそはその者だ、たったいまからおれがこの国の支配者だ(彼はさらに両手を高くあげて叫ぶ)、よく聞くがいい、おれはいま
乙姫
(
おとひめ
)
がおれの妻だということを宣言する
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
王のそばには紅の錦の
裳
(
すそ
)
を長く曳いて、竜宮の
乙姫
(
おとひめ
)
さまかと思われる美しい女が女王のような驕慢な態度でおなじく珠の榻に倚りかかっていた。千枝松は伸び上がってまたおどろいた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鯛
(
たい
)
や海亀に姿をかえて、たまたま岸近く遊びに出ていた竜宮の
乙姫
(
おとひめ
)
が、凡俗のために苦しめられているのを救って、豊かに賞せられた話は色々とあり、是にも島ごとの発達は著しいが
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
竜宮城へいって
乙姫
(
おとひめ
)
様に歓待されるまま、そこで何日かを遊び暮して元の浜へ帰って来た時には、
白髪
(
しらが
)
の
翁
(
おきな
)
になっていたといいますが、今の私の場合にも、何かそんな気がしてならないのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
父様
(
ととさま
)
御帰りになった時は
斯
(
こう
)
して
為
(
す
)
る者ぞと教えし
御辞誼
(
おじぎ
)
の
仕様
(
しよう
)
能
(
よ
)
く覚えて、
起居
(
たちい
)
動作
(
ふるまい
)
のしとやかさ、
能
(
よ
)
く
仕付
(
しつけ
)
たと
誉
(
ほめ
)
らるゝ日を
待
(
まち
)
て居るに、
何処
(
どこ
)
の
竜宮
(
りゅうぐう
)
へ行かれて
乙姫
(
おとひめ
)
の
傍
(
そば
)
にでも
居
(
お
)
らるゝ事ぞと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「この近所では亀島河岸のモダン
乙姫
(
おとひめ
)
と申しております」
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「——いっちく、たっちく
太右衛門
(
たえもん
)
どんの
乙姫
(
おとひめ
)
様は、湯屋で押されて泣く声聞けば、ちんちんもがもが、おひゃりこ、ひゃりこ——」
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なるほど、
乙姫
(
おとひめ
)
さまが、人間のいちばんだいじなたからを入れておくとおっしゃったあれは、人間の
寿命
(
じゅみょう
)
だったのだな」
浦島太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
私
(
わたくし
)
は
斯
(
こ
)
ういうものでございますが、
現世
(
げんせ
)
に
居
(
お
)
りました
時
(
とき
)
から
深
(
ふか
)
くあなた
様
(
さま
)
をお
慕
(
した
)
い
申
(
もう
)
し、
殊
(
こと
)
に
先日
(
せんじつ
)
乙姫
(
おとひめ
)
さまから
委細
(
いさい
)
を
承
(
うけたまわ
)
りましてから、
一層
(
いっそう
)
お
懐
(
なつ
)
かしく
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
乙姫
(
おとひめ
)
は——彼はちょっと考えた
後
(
のち
)
、乙姫もやはり衣裳だけは一面に赤い色を塗ることにした。浦島太郎は考えずとも
好
(
い
)
い、漁夫の着物は濃い
藍色
(
あいいろ
)
、
腰蓑
(
こしみの
)
は薄い
黄色
(
きいろ
)
である。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
イッチク、タイチク、タエモンドンの
乙姫
(
おとひめ
)
さまが、チンガラホに追われて——
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
といって、玉手箱をこわきにかかえたまま、りゅう
宮
(
ぐう
)
の門を出ますと、
乙姫
(
おとひめ
)
さまは、またおおぜいの
腰元
(
こしもと
)
をつれて、門のそとまでお見送りになりました。
浦島太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
人間
(
にんげん
)
の
世界
(
せかい
)
には、
浦島太郎
(
うらしまたろう
)
という
人
(
ひと
)
が
竜宮
(
りゅうぐう
)
へ
行
(
い
)
って
乙姫
(
おとひめ
)
さまのお
婿様
(
むこさま
)
になったという
名高
(
なだか
)
いお
伽噺
(
とぎばなし
)
がございますが、あれは
実際
(
じっさい
)
あった
事柄
(
ことがら
)
なのでございましょうか……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
乙姫
(
おとひめ
)
さんの
竜
(
たつ
)
の都からくる春の潮の、
海洋
(
わたつみ
)
の
霞
(
かすみ
)
が娘の目に来た。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
乙
常用漢字
中学
部首:⼄
1画
姫
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
“乙姫”で始まる語句
乙姫様
乙姫樣